夜君の手を引き城跡へ行く草木の吐息を胸いっぱいに呼吸しながらヒタヒタ石畳を歩む暗い石の門をくぐると城壁はクルリと取り囲み月の明かりを水のように湛え僕らは宙を漂うようだやがて粗く冷たい城壁の岩肌にもたれた君どうか今その横顔を見詰める僕に気付かずにいて下さいもしも気が付いても素知らぬふりをして…いつしか月に寄り添う雲のように僕の肩にそっと甘えて下さい.
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