ホーム > 詩人の部屋 > 高級スプーンの部屋 > 投稿順表示

高級スプーンの部屋  〜 投稿順表示 〜


[602] 雨宿り、雨上がり(前)
詩人:高級スプーン [投票][編集]

どんな話がいいだろう

絵本の中から声がする
錯覚かな
確かめようと
手に取って
そっと開く
すると
こことよく似た地面が
一面に広がって


足元だけ顔を出す
「僕」の目線で進むお話
後を追うように
ページをめくる
どこまで行っても
「僕」はうつむいたまま
前を向かないから
空もろくに登場しない
場面が変われば
地面も変わる
歩いているのだけは
分かる


ぶつぶつ呟いて
時々ため息吐いて
何やら考えて
頭を悩ませてる

どんな話がいいだろう

俺に
訊いたんじゃないよな?
独り言が妙に
胸に響く


路面にできた水たまり
蝶がそれを
うまそうに啜ってる
隅の方でちらりと咲く
雨つぶ乗せた花の群れ
星くずみたく小さく輝く
見慣れていた光景は
見逃していた風景で
改めて見ると
良いもんだな
って
聞こえてないか
こっちの声は
伝わらないか
返事はないし
そして
「僕」は進む
考えなしに
次のページへ


行く先々で声がする
道を尋ねる人
罵声を浴びせる人
エールを贈る人
色んな人の声がする
けれど
「僕」は振り向かない
聞こえてないの
シカトしてるの
なぁ
話し掛けても
応えない
お構いなしに上の空
下を向いて歩いてる


いま
「僕」の眼に映るものは
目の前にある
地面じゃないな
ここではないどこかで
どこでもないどこかを
じっと見ている
ここではないどこかで
地面じゃない自分を
きっと見ている

どんな話がいいだろう

そればかりで




2006/06/24 (Sat)

[603] 雨宿り、雨上がり(後)
詩人:高級スプーン [投票][編集]




一人歩きのお話が
辿り着く先に
待つものは
読み進む先に
掴むものは
得られるものは
本当にあるの
不安になるのは
怖くなるのは
灯りも持たずに
暗夜を独りで歩くから
そんな単純なお話で


いつだって
後向きな作りをしてて
抽象的に語っちゃって
語尾を曖昧にして括る
しまいには自分でも
理解不能な意味不明
伏線をバラまき過ぎて
収拾がつかなくなって
書き棄ててるのは
あぁ

俺か


どんな話がいいだろう

次を考え始めると
それより昔は忘れてく
その繰り返し
その繰り返し
それでいいんだ
それでいいのか


結末を知る前に
絵本を閉じるなんて
ちょっと待てよ
「僕」のお話は
まだ
終わっちゃいないだろ


自ら狭めた
道も見ないで
自ら造った
殻に籠もって
空も地面も
自分ですらも
本当は
見えていなかった
でも


無理矢理に
断ち切ろうとしたお話は
ぎこちないけど
首の皮一つ
この場所に
繋がっていたみたい


軒下で少し雨宿り
足元を確かめてみる
それから絵本を
カバンにしまうと
同時に
頭の上から声がして
気のせいかな
顔を上げると
「僕」と目が合って


はるか昔に雨上がり
落としたお話
拾って進める
気付けば「僕」は
前を向いて歩いてる
地面が変われば
自分も変わる
そんな美味しい
ハナシはないか


目を逸らして
うつむいて
相変わらず俺は
下を向いて歩いてる


ラストを飾る一行は
もう少し先でいいや

2006/06/24 (Sat)

[604] 不審心
詩人:高級スプーン [投票][編集]

聞こえない恋

始末に負えない

2006/06/25 (Sun)

[605] お好み焼きのある風景
詩人:高級スプーン [投票][編集]

じゅう

じゅう

じゅう

てこ入れ返して

じゅう

じゅう

じゅう

も一度返して

じゅう

じゅう

じゅう

ソースをべとり

マヨをすらすら

かつおと青のりお好みで

お熱いうちに召し上がれ


ほくほくほく

ほくほく食べて

ほくほく笑う

あなたはおいしい

わたしはうれしい

みんながたのしい

元気になれるお店です

活気があって家庭的

そんな風景を大切に

今日も焼きます

お好み焼きを


あちちち

油が鉄板はね返る

元気なヤツだな

負けないぞ

豚玉モダン焼そばだって

ありますあります

なんでもござれ

今日も焼き焼き

お好み焼きのある風景

2006/06/25 (Sun)

[606] オーバークローバー
詩人:高級スプーン [投票][編集]

大丈夫

まだ行ける

もっと行ける


しまった

お金が足りない

のりこし精算機

払う金がない


まだ見つかってないのに

あーあ


だからって

そんな表情しなくても

2006/06/28 (Wed)

[607] 七月の雨
詩人:高級スプーン [投票][編集]

ひとりと

ひとりと

ひとりと

ひとり

しとしと

しとしと

雨がふる



ああ


そうか



七月か




しとしと

しとしと

ひとりと

ひとり


触れるたびに

気がついたこと


思いだせないこと


まだ大丈夫


そう



思ったようなこと



話したいけど

ひとりと

ひとり


聞こえてくるのは

雨のおと


聞こえてくるよな

声はどこ



しとしと

しとしと

雨がふる

しとしと

しとしと

雨がふる





もう






七月か

2006/07/06 (Thu)

[608] さじと虹
詩人:高級スプーン [投票][編集]

この絵に
足りないものは
なんだろう



スプーン小さじ一杯
気まぐれにすくう

虹が作りたいな


スプーンはケータイ
手のひらサイズの
小さな世界

右手と左手で
掌握したいような

自分だけの世界
人に見せたいような

抱えきれない傲慢を
皆の目の前
両手で押し込んで
満足してんだ

それはもう
ちっぽけに


スプーン小さじ一杯で
変わることもある

スプーン小さじ一杯じゃ
変わらないこともある

右手と左手で
すくってもそう


この絵に足すもの
余計なものしか
浮かばないな
余計な世話を焼くな


スプーン小さじ一杯
小さじってどれくらい

気まぐれなさじ加減
投げても虹は架からない

少なめな僕一つ
まともにすくえない

特にすくいたくもないし
犬も食わないね


午前二時より
一時間半も前のお話

続きはその先
スプーン小さじ一杯

2006/07/07 (Fri)

[609] エア21
詩人:高級スプーン [投票][編集]

はい
コレが未来です
手渡されたのは想像の
空想無学な予想図で
空とぶクルマ
タイムマシーンに
永遠の命etc...
あの頃読んだ
フィクションを
通販で頼んでみても
ガラクタしか届かない

壮大なスケールで描かれた
ナノ単位で広がる最新世界
増えるアクセス数
みんな満足かい?
新触感を目にしても
横を見ればボクの部屋
築十数年のロストな産物
こんなハズじゃなかった
妄想だけが飛躍的に進む

疲れたブレイン小休止
両手に収まる
片田舎にログイン
それから急激に発展
お釈迦様の掌で
築いた機械仕掛けの街で
飛ばせロケット
大気圏を突き破っても
画面を越えては繁栄しない
境界線があるらしい
この想い
センターで止まってる

21世紀のアリア
現代医学じゃ治せない
無軌道なミュージック
ボクの心音に混じるノイズ
デジタル音に換えて
ネコ型ロボットか
10万馬力に変身させて
そうすれば
左胸に感じる違和感
消せるだろう

エアフューチャー
まだ来ない未来演じてる
夢を見るのはもう飽きた
ロボットに支配もされず
人間同士でばかり
戦争してるから
他の惑星に移住もできない
カタカナ表記を
増やしてみても
何の進展もなく停滞中
ハローCQ
火星人か金星人辺り
応答願います
「オ元気デスカ?」
隠れてないで
姿を見せて

欲深きボクの願いは
罪にはなっても
カタチにはならない
二進法のカントリーロード
実感のない死が転がる
家で学校で会社で道端で
キリ番を踏みしめる
ネット上に残した足跡
不自然じゃない
ボクが造ったケモノ道
いつかは消える
シロモノだけど

得体の知れない恐怖は
解明するには程遠い
未開の理想郷は眠る
潜伏期間がやけに長い
じわじわと侵食し
22世紀には発祥?
その頃
ボクは死んでいる
姿は見せない
スタンドバイミー
希望は確かに傍らに
でも
どうやら
間に合わないみたい
生まれてくるのが早すぎた
ハナから
手遅れだったとは

弾くエアフューチャー
可能性だけが先走る
張り子の21世紀
こんなに
ワクワクさせといて
無敵になれないなんて
嘘だ


poem2021

2006/07/09 (Sun)

[610] 彼女が背を向ける
詩人:高級スプーン [投票][編集]

許される選択肢は
ないのに
明日には
きみが笑っていた

繰り返し
繰り返し
繰り返すことが
当たり前な顔をして
こっちに向けた目
まっすぐ見れたらな
心からそう
思えていたら
変われたのかな

だとか
ニセモノの揺らぎは
明後日には
完全に消えている

時間が解決するより
少し手前で
泣いているの
泣いているよ
そっと優しく
そっと触れても
泣いているよ

だから最初に
言ったでしょ
なんて事はなく
無言だ
許される選択肢は
ないのに

何度目かの今日に
バカが背中を見てる
必死そうに

そうなる前に
置けなかったのか

2006/07/20 (Thu)

[611] 大雨
詩人:高級スプーン [投票][編集]

聞こえない

足音すらも

聞こえない

暗い部屋には

雨音だけが






●○○●○○●
○AIKU060722○
●○○●○○●

2006/07/22 (Sat)
666件中 (581-590) [ << 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 >> ... 67
- 詩人の部屋 -