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高級スプーンの部屋  〜 新着順表示 〜


[567] あなたの居ない永遠に
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いつものように
少しじゃれあった後
笑顔で
あなたは部屋を出た
何も疑わずに待っていた
TVのないこの部屋で
壊れたコンポの前で
午前三時を回っても

おかしいな
何かあったのかな
コチコチと進む秒針
立ち上がると軋む床
いつもならとっくに
帰って来ている頃なのに

落ち着かずに過ぎてゆく
当たり前に流れてゆく
あなたの居ない空間に
ぽつんと一人残されて

迷いなく
輪郭を描けても
どれだけ動きを
似せられても
「 」を付けて
語らせても
意味はないな
あなたは居ないし
言葉もないな
私がひとり
呟くだけで

もしも今
偶然に
あなたと
この部屋で
出会えたとしても
無視されて終わるのかな
一言も交わせずに
冷たくあしらわれ
それでも
あなたは
すべてを見透かして
傷付いてしまうのかな

捨てたのは
諦めていたのは
本当は
そう
私は私の過ちを
償いもせず
罰さえも躱し
あなたから逃れて
この部屋でひとり
悔やんでいるだけで
悪いのは全部
誰なのか
自分の口からじゃ
言えなくて

時計はコチコチと
鳴り止まず
私は立ったり座ったり
落ち着きなく
床を軋ませる

あなたの帰りを待って
これからも私は
新しい始まりを遠ざけて
想像もしなかった
この部屋で


―耳鳴りがする
脈絡のない文脈が
不必要に訴えかけてくる
小言みたいな
言い訳を重ねていると
内側から響き渡り
揺れる
古くなった頭蓋骨―


あなたの居ない永遠に
ぽつんと一人残されて

2006/05/06 (Sat)

[566] 見習い狸の皮算用
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新しいものを
追い掛けるのは
自分の尻尾を
掴もうとするようなもの
過去は常に
最先端にあって
未来に生まれる者ほど
先は長く
辿り着く
その日は遠い

百年早いと
鼻で笑われた坊主は
意地になって
前に前に
手を伸ばす
何かを掴んで
輝く顔
その手を
ゆっくり開くと
そこには
ほこりがあるだけで

和尚の尻尾は
まだまだ
掴めそうにない
先の事しか考えず
足下を
掬われてばかりだと
気付けもしないうちは

2006/05/06 (Sat)

[565] 青ざめるスカーレット
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i love you
i like you
i need you
きみを愛してる
きみを愛してる
きみを愛してる

私の気持ち知ってる?
貴方が何か発する度
言葉の価値は下がってく
よく咀嚼せずにくれたのは
陳腐でチープな
プレゼント
だったね

死にたい
けれど
生きたい
だけど
死にたい
でもね
生きたい
だから
死にたい
なのに
会いたい
きみに
逢いたい
きみを
愛したい

私の気持ち知ってる?
貴方が何か発する度
言葉の価値は下がってく
よく咀嚼せずにくれたのは
陳腐でチープな
イエナイキズ
だったね

いつまでもずっと未来永劫
永遠に永久に誰よりもきみ
が大好きだよ愛してる一緒
に居たい離れたくないし離
れられない世界で宇宙で一
番きみを愛してるぼくを信
じてついてきて必ずきみを
幸せにするからねぇぼくの
話聞いてる?なら返事して

前戯も本番も短い
蛋白なSEXの後
貴方は私にそう囁いた
全く
重大なことを
軽々しく叩ける口ね
笑っちゃう
さっきのバックみたいに
小刻みに身体を揺すってさ
煙草を吸っても
落ち着かないの?
なら私はこの辺りで
イけばいいのかな?
高揚して紅潮して
イったフリをすれば
それで満足ですか
それが最愛ですか

まだイかないでって
言ったのに
まだ私
終わってなかったのに
早々と
中に出してイくなんて
ホント
勝手な人ね

私の気持ち知ってる?
貴方が何か発する度
言葉の価値は下がってく
よく咀嚼せずにくれたのは
陳腐でチープな
スカーレットだったね

私もいつしか腐ってた
いや最初から腐ってたっけ
最初から最後まで
つまらない言葉しか
使えてなかったし
でも
使い物にならなくして
タダより安いモノにして
ヨイショして
盛り上げといて
その気にさせておいて
部屋に一人
置き去りにして
消えたのは誰なの
そりゃないでしょ

まだ行かないでって
言ったのに
まだ私
終わってなかったのに
早々と
外に出ていくなんて
ホント
勝手な人ね






2006/05/05 (Fri)

[564] 火間虫入道以前
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退いた分
進んでしまって
元の場所には戻れない
進んだ分
減ってしまって
空腹を誤魔化すしかない
人間の欲のカスを啜り
今日を生きる
明日はない
今日を生きる

塞がる出口の隙間から
だらだらと
流れるような呼吸をし
今日を生きる
もう人間の味はしない
鬼も不味いと
喰ってくれない

元の場所には戻れない
失って
手に入れたものを
貪っても
満たせない生活
すっきりせずに
持て余す時間を
荒らして過ごす
腹を壊して感じる
微弱な孤独の夜の中
今日を生きる

2006/05/03 (Wed)

[563] 舟幽霊の柄杓
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無力でもいい
助けようとする
気持ちが大切なんだ
彼は開き直り
笑顔で
手を差し伸べた

近所に住む
小さな男の子
いつも元気いっぱいで
友達と外で遊ぶのが
好きだった
ある日突然
姿を消した
それから

毎朝電車で見かける
女子高生
部活は吹奏楽部
担当はフルート
ケーキのモンブランが
好きだった
ある日突然
姿を消した
それから

公園で生活をする老人
資産家の息子だった
仲間同士で酒を呑み
他愛のない話をするのが
好きだった
ある日突然
姿を消した
それから

二つ年上の彼女
付き合って二年
同棲して半年
泣いたり笑ったり
色々あったけど
これからも
宜しくなって
誓ったんだ
僕は彼女が
好きだった
結婚間近
姿を消した
それから

それから
無事保護された
学校の裏山で
迷子になったらしい

それから
無事保護された
親とケンカして
彼氏の家に居たらしい

それから
焼死体となって
学校の裏山で
見つかった

それから
別に男が出来て
家を出たんだと知った

近所に住む
小さな男の子は
たまたま見ていた
数人の大人達が
裏山に何かを
埋めているのを

犯人は
特定出来て居らず
依然捜索中で
現場には
犯人の物と思われる
フルートが落ちていた

水も人もスクエナイ
底があって底がない
嘘のようなホラ話

差し伸べられた手は
半透明で掴めなかった
彼を見ると
笑っていた
生気のない顔に
満面の笑みを浮かべ
手を差し伸べていた
僕は落ちていった

そういえば
彼女も好きだったよな
フルートが

2006/05/03 (Wed)

[562] 才能
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切り捨てられ
切り捨てられ
切り捨てられて
切り捨てられる

無力でも
不満でも
何をしてもしなくても
何もしなかったように
切り捨てられて
切り捨てられる

聴かないでも
読まないでも
歌わないでも
書かないでも
出会わないでも
似たようなもの
何もしない日はない
でも
何もしない日になる
写実現実事実真実
実感を見失っても
完全にもう
切り捨てられている

仰向けかな
俯せかな
視えているものは
何かな
今の状態は
どうかな

芯すら削がれ保てない
触れた底すら刻まれて
切り捨てられて
切り捨てられる

2006/05/01 (Mon)

[561] 眠ガス
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眠ガス吐いて眠らせる
何か苦しんでる彼女を
それから僕は本を取る
訳もなくページを捲る

小さな羊が一匹
めぇめぇと
低い声で唄を歌う
ひっそりと呻く唄
眠れよ眠れ
犬小屋なんかで捕まえて
全く無意味な子守唄

涙目で真っすぐに
見つめてくるから
逃げられない
童顔な彼女は
小悪魔からは程遠く
只の小柄な人間です
子供のような大人です
無邪気な笑顔を
くしゃくしゃにして
放り投げては凹んでる
沢山悲しんだ後すぐ眠る
悩みを忘れているのかな
寝顔はとても可愛くて

眠りの森の扉を叩く
姫か魔女か王子か白馬か
見知らぬ誰かに出会う為
今日も眠れない人々が集う
エレクトリカルマジカル
睡眠薬より効果的
媚薬よりも蠱惑的
安らぎ催す吐息は何処に
賑わう眠らずの森

太陽がじわじわと昇る
この部屋を充たす前に
切れる眠ガス
妙に冴えた頭を横にして
そっとベッドに沈む
隣で寝息を立ててる
君をよそに
深く深く沈む

小さな羊が一匹
めぇめぇと
森の中で泣いている
迷子の迷子の小羊よ
眠れよ眠れ
いま安らいでも平気なの
全く無意味な子守唄

眠ガス吐いて眠らせて
何か苦しんでる僕らを
それから君は何をする
訳もなく人生を送る

2006/04/30 (Sun)

[560] 日々の日の日々の日
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どんな星の上でも
どんな空の下でも

名前があるのに
名前があるだけ

はるか昔から
これから先もずっと

名前があるのに
名前があるだけ

言葉にならない
言葉などあるの

名前があるのに
名前があるだけ

いつまで経っても
変わってしまっても

名前があるのに
名前があるだけ

終わりを待っても
始まりを忘れても

名前があっても
名前があっても

言えない
癒えない
見えない
消えない

名前があるだけ
名前があるだけ

名前があるのに
名前があるだけ

どれだけ続けても
今になって思っても

名前があるだけ
なのにね
名前があるだけ
なのにね
名前があるだけ
なのにね
名前があるだけなのに

なのにね

2006/04/29 (Sat)

[559] 五円
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音楽を聴いて良かったって
小説を読んで良かったって
彼の価値に変化なし
無駄にお金を消費して
愛を買えなくなっただけ

ちょっと君
そんなものを
ドブに捨てるなよ
身を投げるなら
よそでやれ
見知らぬ人に見離され

賽銭箱に入らなかった
誰かの投げた五円玉
何の気なしに拾って
願いもせずに財布の中へ
彼は下落する一方で
回復の見込みはなさそう

音楽を聴いて良かったって
小説を読んで良かったって
僕の価値に変化なし
無駄にお金を消費して
才を買えなくなっただけ

無一文と紙一重の人生で
何を注いでも結果は同じ
幾らかの面で
当たりが出ても
幸福は決して揃わない

虫のよすぎる話を重ね
一冊の本にして
幾らで売るつもりだ

2006/04/17 (Mon)

[558] 57577
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桜散る

雨天決行

鍋パーティ

花より僕ら

鶏団子ッス


AIKU060415でおま♪

2006/04/14 (Fri)
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