詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
機関銃のごとく
続け様に吠える巨象
耳を澄ませば
前が視えない
耳を潰され
聞こえないんだ
ノイズみたいな
貴女の悲鳴も
踏み潰されて
ぺしゃんこに
イッチニ!
イッチニ!
よく食べて
よく歩く
たまに止まれば
欝になる
よく眠れずに
よく寝不足
無気力でも
無欲じゃなくて
よく食べて
よく歩く
イッチニ!
イッチニ!
白い息と
共に洩らした
小さな呻き
遅れて聞こえる
我鳴り声
もう手遅れだ
意識は既に
持ってイカレた
だからお前は
戦車みたいな
巨象にグシャリ
頭蓋骨複雑骨折
前頭葉はどれだ
アタマがなけりゃ
そりゃもうスッキリ
嗚呼、素晴らしき清涼感
それでも残るモヤモヤよ
まだ不十分不快感
首から下も滅茶滅茶に
一つ残らず踏み躙って
お前の血は豹柄か
それくらい
まともじゃないこと
平気な貌して
やってのける日常
激しく穏やかに
名前で選んだ
パンツァーファウスト
ブッ放し獲る
ハイエンドな昂揚
凄まじく爽快に
関係ない人達をも
巻き込んで
心行くまで破壊する
それで楽しいだなんて
どうかしてる
そう思うんなら
どうにかしろ
踏まれているのは
お前か俺か
訊いちゃいないな
自分(ヒト)の話
聞こえないな耳元で
五月蝿く巨象が
哭いているから
語りに入り
そろそろ終わり
赤・白・黄色
綺麗に咲いた
ネオンに照らされ
明暗入り交じる街中
地平線さえ消えていた
取り残されたんじゃない
お前が拒むから
仲間はいなくなった
違う
最初から
仲間と呼べる奴なんて
怖い
知りたくないと
駄々をこね地団駄
進退なく
その場でイッチニ!
1―1だけ妙に巧い
巨象達に
踏み固められた己は
虚像と同化し
道化のように
道化のように
道化のようにはなれないな
笑ってくれる
彼女はいない
巨象に踏まれて
ぺしゃんこに
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ニシキヘビ柄
鈍く光る
真っ黒なブーツ
履かずに
漫画を描いた
赤いギャグ漫画
不規則な生活を
規則的に繰り返し
降りてくる閃きを
掴んでは磔る
余分な手足をちぎって
残った胴体同士
縫って縫ってちぎっては
磔るの繰り返し
オシャレはキャラだけ
暴れる音楽も
欲の固まりオニギリも
大好きな漫画だって
読むのを止めて
描いているのは
赤いギャグ漫画
笑えるのは俺の人生
笑えない位に笑っちまう
だから
ついつい吹き出すような
そんな
ギャグ漫画が描きたくて
描けなくて描けなくて
逃げて転んで
倒れていたって
塞ぎ込んでいたって
誰が笑っていたって
お前は笑えない
時間を気ままに潰しても
原稿はつまらないまま
後ろ指を
刺されそうになったら
進んで汚いケツを向けろ
底が見えると嘆くなら
降らせるのがお前の役目
降らないんだと嘆くなら
蓄めるのがお前の役目だ
全部全部お前がやるんだ
休んだ分だけ
死が近付いている
寄り道をしたら
帰ってくるまで
あとどれだけ
自分を
費やさなきゃなのか
考えている間すら
全速力で一直線に
お前の元へ
死が近付いている
時間を気ままに潰しても
原稿はつまらないまま
誰かに救われたって
お前は笑えない
あの時ああしていれば
こんな風にはならなかった
うるさい黙れ
今やれることを
早くやれ
死ぬ間際でさえ
悔やむつもりか
大好きなもの
幾つもあるが
気持ちの良いもの
幾つもあるが
描きたいもの
幾つもあるが
人生は一回
俺は一人
夢や希望を
語ってはそこらに捨てる
そんな暇があるなら
なぁ
いま何をしているのか
見せてみろ
ニシキヘビ柄
鈍く光る
真っ黒なブーツ
履かずに
漫画を描いた
赤いギャグ漫画
それは
赤いギャグ漫画
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笑顔なんだ
知っているからこその
苦しまなければ
分からない
マネをしたって
すぐにバレる
知らない方が幸せだと
誰かは言うけれど
ドアを開けて
靴を脱いで
あなたの元へ
姿が見え
目が合って緩んだ
次の瞬間
心を掴まれ
息ができない
反射的に
顔を逸らし
窓の外を見る
掌の上の
苦しみに踊る
それすら耐えられない
ぼくには分からない
歪みと苦しみ
あなたは飲み込み
知っているからこその
笑顔なんだ
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この先
どこまで進んでも
その影にすら
届かない
理解っていても
歩くしか
思い出はまだ
少し温かい
冷たい風が吹いた時
背中に感じて
振り返る
理解っているのに
振り返る
そこにも
貴女が居ないこと
静けさが遠く
通り過ぎた頃
運良く
聞こえた唄がある
そんな偶然
あっただろうか
思い止まる
僕のように
聞こえた唄が
あったなら
今からでも
追いつける筈だろう
この先
どれだけ歌っても
その影にすら
届かない
理解っていても
止まらない
静けさが遠く
通り過ぎた頃
運良く
聞こえるような唄
偶然
誰かが耳にしても
貴女が
振り向くことはない
思い出はまだ
少し温かい
冷たい風が吹いた時
背中に感じて
振り返る
理解っているのに
振り返る
そこに
貴女が居なくても
また前を向いて
歩くしか
深い深い
静けさの中
これから始まる
唄を連れ
先を急いで
歩くしか
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最低限の甘いワナ
リスクの割には
不味いエサ
容易く掛かる
あなたはバカ?
目先のものに用はない
そんなセリフは
どこへやら
目指したハズの
山の向こう
にある
金塊には
触れることなく
いつもの通り自滅する
あなたを愛す
わたしもバカ
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採れたての頭蓋骨の裏
ヌメヌメした部分
人差し指ですくって
ペロリとひと舐め
どんな味か
確かめる人は誰か
アナタがもし私なら
新鮮な解答は
手に入るだろうか
明かりを消した森の中
よちよちと
二本の足で進むような
懸命さと苛立ちを感じる
まだまだ余裕だな
飛び越えられない
トゲに包まれているし
裸でよじ登れば
傷のない場所は少なく
赤く濡れるのがオチさ
逃げるな
アイツとお前は違う
笑えないな
高い柵
越えられるか不安だ
でも
それだけじゃないと言う
だったら証明しろ
止められないんだろ
見えないようにやれ
投げ出すな
しっかり続きを描け
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しかし
どうすることも
できなかったのか
生きるという明滅が
速すぎて気付かなかった
誰にだって
暗くなる瞬間があること
いつかは
消えてしまうことも
夜の闇には不慣れだし
とか苦笑して
言い訳にすら
なっていないね
その辺の猫のように
突然
お前は消えてしまった
戻る場所ならあるのに
残っているのは言葉だけ
この口が余計だ
だって
届いてないんだろう
悔しければ
目を光らせ
血眼になって捜せよ
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もう青くない春
どこに行けばいいのか
迷ってる
道を閉ざされたんなら
ともかく
どこに行きたいのかも
分からない
幸せな悩みを抱え
誰よりも
不幸なツラをして
ため息ひとつ
ふたつみっつ
止まらない
この野郎
塵になって消えろと
ビールを一気
もう諦めたんだと
首を振る
もうダメなんだと
酔いが回る
それでも
頭から離れなくて
考え始めると眠れない
選んだ夢さえ
叶えられずに
急に死ぬのが怖くなる
もうこんな時間か
ふと君を思い出し
来た道ばかり振り返る
夏のクソッタレは
秋になっても
愚痴愚痴よく鳴いて
冬が始まっても
片付けられないまま
また春が来る
少し茶色くなってきた俺
未来は残り少ないぞ
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一つ成し遂げたら
また一つ
二つ成し遂げても
また一つ
幾つもの山を越えたのに
行く手を阻むよう
目の前にそびえる
次の山
夜の風が木の葉を揺らす
かさかさと
静かすぎて逆に煩い
鼓膜も心臓も破裂しろ
俺も世界もパンクしろ
哭き喚きながら走りだす
最高速度
目の前には木が
貌から突っ込み
急停止
上を向いて吠えて走るから
エアバックは膨らまない
稲光
そして
広がる闇
マエガミエナイ
その直後
空から何かが降ってきて
なんなんだと
払い除けようとする
すると
ブンブン音がする
それに
ブスブス突き刺され
無数の痛みに襲われる
早くここから
立ち去ろうと
起き上がろうとするが
ダメだ
動かない
両方の目玉が熱い
潤む視界
いつの間にか
ここは湖か
空では星が飛び回る
頭がぼやけて
聞こえる笑い声
あれ俺どうした
おかしいな
泣いていたのに笑ってる