詩人:里雨夜 | [投票][編集] |
手を伸ばしても
届かない光
そこにあるのに
どこにもない光
僕を照らしたまま
動かない光
いつ生まれたかも
わからない光
遠い物語を背中に乗せて 僕に語りかけてくるよ
憧れを翼にして
飛んで行こう
羽ばたいて行こう
思い出はもう遠い空の彼方
失ってもなお
老いさらばえてなお
輝きをましてゆく
そんな光
そんな光が僕をずっと見つめている
照らされている
いつだって僕らは
力をもらう
飛んで行くための
羽ばたいて行くための
大きな力を
だから
辛くても苦しくても
追うことをやめない
先へ行くことをやめない
いつだって僕らは
独りじゃないから
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憧れを詰め込んだ物語
最初は順調だったんだ
でも
いつの頃から
続きが書けなくなって
今では
更新が半年に1回のペース
詰め込んだ憧れは
純粋さ
日々を過ごすにつれ
歳を重ねるにつれ
失っていく気がして
失ったことにすら気づけなくなる気がして
作り始めた物語
僕は
もう取り返しのつかないところまで
来てしまったのだろうか
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寒さが身に凍み始め
雨の日が多くなってきた
山々は紅葉が鮮やかで
朝布団から出るのが辛くなってきた
なぜだろう
毎年この時期はどこかもの悲しくなる
重たい雲が空を覆っているからだろうか
青空から滴が落ちてくるからだろうか
それとも
疲れが溜まりやすいからだろうか
少し涙でも流そうか
空だって雷付きで大泣きする季節なんだ
僕の涙も泣き声も
きっと誰にも分からないだろう
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秋の青空を渡る飛行機雲
西の山へ隠れていくオレンジの夕日
照らされる街並み
それなりに年月を重ねて
それなりにこの世の汚さも見てきた
それでも
この世の美しさを詠いたい
坂を下るバスの車窓から望むこの世の中は
心にすーっと染み込むほど
美しいから
それなりに汚れた僕でも
美しいと思えるこの世の中だから
僕はこの世の美しさを詠いたい
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凍える身体
冷たい指先
束の間の青い空
冷えきった部屋
開けっ放しのカーテン
暮れる黄色い夕陽
いつも聞いてる音楽も
いつもの風景も
なんだか今日は灰色で
黄色い夕陽が妙に懐かしい
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冬は沈黙の季節だと思っていた
世界は雪に覆われている
多くの動物が姿を消し
空には厚い雲が常駐している
お日様の光も届かない
寒くて静かな世界
でも
雪の下には
春を待つ草木が芽吹いている
土の中では
動物たちが春を夢見ている
雲の切れ間からは
あたたかいお日様の光が射し込んでいる
あたたかくて力強い世界
冬は生命力の強い季節だと知った
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12月に入り
平年より早く雪化粧
気温も低く
冬も初頭だというのに真冬並み
今年の真冬はどんな冬になるのやら
雪やこんこ あられやこんこ
降っても降っても まだ降りやまぬ
春に恋 早く来い
炬燵でまるくなった猫が
おんもに出たいと待っている
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いつの間にか溜まっていたストレスが
心という器の中で
ドロドロの感情と混ざりあって
流れ出ようとしている
ドロドロと渦をまく
グツグツと泡がたつ
黒のるつぼ
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猫の額ほどの夜が長く伸びて
誰かの欠伸の傍らで
戦争は続き 虐めは消えない
ベッドの中 無償の愛に包まれて眠る子供と
同じ空の下 吹きさらしで身を震わせて眠る子供がいる
雨の中でも
きれいに咲いている花もあるよ
悲しみの中でも
笑っている人もいるよ
君のように
世界の隅々
知り得もしない誰かの死や不幸は わからないけれど
僕よりも ずっと多くの苦しみを知っている人もいる
だから
自分だけが悲しいと思わないで
シミだらけだよ
きれいなように見える世界でも
あなたがいう平和は
見えている範囲の中だけだ
生きたいと叫ぶ声の裏側で
自ら命を断つ音が響いている
ほら、耳をすましてみれば誰かの涙の音
けっして
誰もが生きることを心から望めるような世界じゃないんだ