詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
悩みも痛みもないが苦しい
不安も恐れもないが虚しい
ぽっかりと空いた穴だ私は
空洞は拡がって
本当はもう
皮膚も臓器も骨も失っていて
人から見ればクリアで
鏡には映らず
自撮りでは映えない
何もないのに苦しくて
生きているだけでは虚しくて
SNSでお気持ち表明
すれど見向きもされず
されどそれに安堵し
投稿を削除する
何がしたいんだか
何かしたいんだが
何もないんだが
苦しい虚しい苦しい虚しい
心に声を当てるも
棒読みにしか聞こえず
見えていないのに
淀んで見える
これ以上続けても仕方がないと
言いながら続きを望んでる
途絶えない絶望の先を渇望
空虚なんだから
もっと謙虚になれよって
さっきから誰と喋ってるんだ
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空を何色で表しても良いじゃないか
それがアートだとお前は言うが
青い空は青以外無いだろう
夕焼けは赤く塗り
夜空は黒くする
用意された色を混ぜもせず
既存の感性で完成させた
この絵をお前は何と言う
誰も見ていなくても
法定速度をしっかり守って
敷かれたレールの上を走る
人並みの波風立たぬこの人生を見て
何と言う
誰に問う
見向きもされない人生の端っこで
腰を下ろして空を見る
あの空は何色か
青い空を青く塗り
星空に星を描く
私の描いた私の絵を
私だけが見ている
答は無い
何も無い
それでも描くのをやめなかった
それでも歩むのをやめなかった
私の人生
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新しい食事を買ったよ
そこのコンビニで
食べにくかったけど
歯を一本抜いたくらいじゃ
味は変わらない
食欲はありのまま
汚い箸の持ち方で
腹を満たす
昨日と同じように
それ以上でも
それ以下でもなく
心は動かず
脈を打つだけ
ただそれだけ
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平等に
平等に
等分に
寸分の狂いもなく
切り分けられた
あなたの狂気が
甘味を含んだ錠剤みたいで
噛まずにぬるりと喉奥へ
入り込んでゆく
明日
苦しむとしても
やめられないこの行為
ドカ食いなんて
ダサい呼び方はしないで
名前を言ってよ
甘い甘い
甘ったるい声で
濁音のつかない
私の名前を
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まだ生きたいと苦しむ人々に
僕の明日を配れたら
罪悪感を抱かずに
安らかに眠れるだろうか
無理な願いだ
笑えるよな
笑えないけど
一睡もできずに朝を迎えた
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人を殺した夢から醒めて
現実ではないことに安堵した
なぜ隠そうとする?
なぜ逃げようとする?
取り返しのつかない罪を犯している
気付いていても目を逸らし
贖おうとはせず目を瞑る
そうして見る悪夢が
わたしを人殺しにさせるのに
無かったことに
しようとしても
己からは逃れられない
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生活が困窮しているから
人には言えない
恥じらいがあるから
充電しても電源が落ちるから
それらの足枷をうまく利用して
動かない言い訳の
ゆるしを乞おうとする
気分を変えようと立ち上がるも
拘束されているのを忘れ
もつれる脚
転ける私
錠を解く鍵を溝に落として
今日一日を終える
詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
指折り数える合間に
終わってしまいそうな余生
ゴールはもう
視認できる距離にある
立ち止まる暇などない
この夜更かしに何の意味が?
問いかけるのも虚しい
考えるのも煩わしい
空白を過ごす
これ以上割く時間もないのにね
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今にも消え入りそうな炎は
しぶとく明日もゆらめいているのだろう
桜の最後の花びらだとしたら
華麗に散りたいが
生き後れたこの姿はどうだ
そんな傲慢な考えを捨て
白昼夢の部屋から外に出ろ
寄り添う人の手を払い
傷つけ涙を流させた過去は消えない
うずくまるほどのつらさだったのか
誰も覚えていない父の背中より
狭い視野に映るドラマ
特別感のない苦悩に己を重ね
動かない私は未だ透明な不鮮明
今にも消え入りそうな炎は
しぶとく明日も揺らめいているのだろう