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高級スプーンあと何年の部屋  〜 新着順表示 〜


[111] 無明
詩人:高級スプーンあと何年 [投票][編集]

最果ての孤独に
辿り着く前に息絶える
非力な僕には
限りある可能性にすら
ろくに手が届かない

多くの望みが枯渇した
砂漠にも月は登るのに
一切の光がない場所で
永遠にかくれんぼ
暗がりに名前はない
存在のない宙に見えない姿
光を当てれば済む話
空振りの論理じゃ
何も掴めないけれど

覚束ない頭で無知を知る
覚えのない罰を受け続ける
思いを馳せるのは強欲か
あなたに逢いたい
ただそれだけのことができない

2022/07/24 (Sun)

[110] My Way
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知りたい情報は
危険だと
鍵をかけられて
救いの手を取れと
強要してくる
その前にさ
抜け道を
教えてくれる
危ない大人を
捕まえて下さい

いのちの電話より
あなたとの繋がりが欲しい
そんな相手が見つかったらな
その矢先
見つけたけれど
何のことはない
私は私のまま
私を重荷に感じてる
あなたに持たせる
わけにもいかないし
引き攣った笑顔の
「ありがとう」
聞かせたくないし

遅延する電車
いつもの理由を
つらつらと並べられ
舌打ちしながら
スマホを手放さない
人生を捨てて
あなたがやりたかったことは
これか
違うか
何もうまくいかなかったから
自分を棄てたなら
最後だけ
うまく逝ったじゃん
私はひとり
黙祷しながら
やはりスマホを弄ってる

生きているだけで
あなたを苦しませる
今すぐ死んでも
あなたを苦しませる
どうすればいい?
ただ正常に笑えばいい
それだけのことが出来ず
それだけのことが苦しく
それだけのことで
白む空に馴染めずに
起き上がれない
休む理由ももう尽きた

何をしているんだろう

今日も解決しなかった

2022/06/17 (Fri)

[109] 同じ水槽の中でしか存在できない魚たち
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誰でも快適に
生きられる水槽なんてない

適応しなければいけない
あなた方と同じように
心の底から笑えたら

病気の私に
心配そうに
声を掛けてくるけれど
わかってる
腹の底では笑ってんだろ

歯でも十分痛いのに
人格の矯正だなんて
耐えられない
狂ってしまう

ああ
そうか

狂っているから
平然と
どんなに汚い水槽の中でも
あんた方は笑えるんだ

病気の私はそう思った

2022/06/07 (Tue)

[108] 餓鬼の一生
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未だに生活はかなわない

一行だけじゃあ
日記とも呼べないか
言い表せないそれは
語彙が少ないだけと指摘され
返す言葉も持ってなかった

生活や命を大切にしない
それに代わるものが
夢や現実逃避なら
子どもの方がリアリスト
誤魔化すために
恥を上書き

目の前の生活以外
何もない
本当に

2022/06/01 (Wed)

[107] 話し声が聞こえる。
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話し声が聞こえる

夢は現
微睡みに割り込み
咳き込み逆流するのは
目先の欲

コンビニの袋に
さっき買って
食べた全てを戻した
代金は戻ってこない

六畳一間の夜
眠気も失くして
寄り添ってくれるのは
空虚だけ
だなんて
想像上の概念を
詩的に表現してみても
表に現れてはくれない

街中を彷徨って
ひとり大きな声で
怒鳴っているように
誰からも
相手にされなくても
ひたすら
声を荒げているように
もう持たなかった
だとしても

堪え兼ねて
嘔げた吐瀉物
誰にも見られず
捨てに行く

おい空虚
何とか言えよ

ただのことばは
こだましない
沈黙が目の前を流れる
それをじっと見ている

気持ち悪さが収まって
お腹が空いたら
またコンビニで
好きな物を買えばいい

実際
並んでいるのを見ると
何も選べずに
時間だけが過ぎる

ああ、もう
無作為に手に取って
買って帰る

未来を濁すのに
丁度良い味がする
カップ麺をすする

涙もすすれば
詩になるか
うまくもないし
誰からの返事もない

食欲を満たせば
再び眠気がやって来る

遠くの方から
話し声が聞こえる



2021/12/26 (Sun)

[106] short trip
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足首まで海に浸かって
感じるエモーショナルは
略して気軽に口にできるほど
浅くはなくて

子どもの頃に作った秘密基地
誰かと分かち合ってさ
後から思い出して
みんなの前で
懐かしむセンチメンタル
それとは真逆の
秘して語らず
この感動は自分だけのものだ

本当は首元まで
いいや
頭からどっぷり
夜が更けていくように
深く深く沈んで
息も忘れて
抱いていたい

ふやけた足の指を見て
口元が緩むのを
肌で感じた
そこには何の
情緒もなくて冗長

弧を描く心臓
誰も知らない海の触感
誰にでもある内省の

2021/12/18 (Sat)

[105] nobody's fault
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夕方に起きて
迎える朝
切り替えが
うまく行かずに
混濁する脳
何も上手く活かずに
選択するNO
うまいこと言うねと
拍手をくれる
誰かは居らず
行き交う人たちは
僕の前を
素通りしていく
ピエロの格好をしていても
無駄だ
身の回りに
危険が及ぶまで
僕は透明
メイクを落とす
涙のように
高評価
言い値で買うから
こっちを向いて
それくらい
冗談ぽく
上手く笑って
言えたらなあ
季節の変わり目に
風邪を引く
そんな簡単な苦しみで
人の気を引こうなんて
使えない頭だ
早く横になれ
そして
死んでから
三ヶ月後に
見つかった

2021/11/12 (Fri)

[104] 代打
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ゴミ山に流れる流行歌
蹲って君がいる
間違って捨てられても
後悔しない
みたいな顔で

それが君の表現か

違うだろ

彩付く生も
モノクロの死も
一新されて
知らないワードで
埋まるトレンド
どれも良いから
どれでも良いから
立ち上がれない

新しい細胞が芽吹く
瞬く間に枯れていく
皆が踊ったあの唄は
先週だったか
昨日だったか
誰の上に跨っても
ノれるんだ
最高じゃんか

それを盗み見てる
表情が
ねえ
向き合う課題にならないか

何もしないなら
何もしないから

下ろした利き手を
差し出せよ




2021/11/10 (Wed)

[103] 君は凪
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不思議なことに
何も不思議じゃないのさ
動かなくなるまで
うごく体
良い社会だ
最低限の保証はされているから
底から抜け出すことは
まだ出来ないが
生きている
今年も
去年も
一昨年も
あれから
変わりはないか
誰の代わりも果たせないが
変化はある
誤りでも
間違いなく
無機質な君に相談しても
言の葉浮かべ
広がる波紋に
感情はなく
これは自問自答以外の
何者でもなく私自身だ
答を知っている過程を
何度でも繰り返す
それが今日で
それが明日で
明日が来ない日まで
今日を生きている
意味はない
全く意味はない
有機物であるかどうかも
些末だ
浮かべた言の葉
なんだっけ
五十音の羅列
意味はない
動きはあったのか
今という一瞬を
切り取っても
君は凪
不思議じゃない
何も不思議じゃないのさ

2021/10/25 (Mon)

[102] 部屋の話
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諸々忘れてしまっても
大切なことだけ覚えている
だったらさ
一緒に眼鏡を探してくれる
知らない相手に話すんだろう
あの頃過ごした
部屋の話を

諸々忘れてしまっても
くだらないことだけ覚えている
だったらさ
嫌な顔せず体を拭いてくれる
知らない相手に話すんだろう
あの頃過ごした
部屋の話を

抱えているのは
歴史には残らない思い出ばかり
持ちきれなくて
ポロポロと
こぼれ落ちた記憶
拾う術はない
全部忘れてしまうんだ
あの頃過ごした
部屋のことも

死に際
頭に浮かぶのは
もっと別のことかもしれない

ああ
思い出にするには
まだ早い

だよな
そうでなくっちゃ

2021/07/14 (Wed)
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