詩人:くじら | [投票][編集] |
冬を主張する白銀が
「今日まで」を埋め尽くす
失敗や後悔をすべて
リセットするみたいに
覆い隠してゆく
隠し事はいけないけれど
嘘を作り上げるよりは
ずっと優しくて
そう思えるのはきっと
大切なことを
大切に隠そうとする配慮
誰かを傷つけないために
僕はフカフカの安心の上で
時間に引き伸ばされてく空を
ただじっと眺めながら
昨日の言い訳を
消化している
次はなにを叫ぶ?
水色の鏡が
空の色を真似ようとする頃
静かな午後を転がる時間が
「自由」という雲を形作る
野良猫はあくびをしながら
僕らに平和のサインを送り
安心とくっついた退屈が
その寿命を延ばす
何もないから何かを探す
フリをしている
退屈しのぎに
そんな平坦な毎日
手にするのは
目に見えるものだけ
まだ我慢してる?
彫刻みたいに
不必要なものだけを
削ぎ落としたつもりで
足元に転がったのは
「決意」
隠していた弱さを知った
それを認められない自分も
ただ社会に反射しながら
今を生きている
僕は彫刻のかたまりから
「錯誤」を削り取った
隠し事はもう必要ない
今の僕には
「安心」が融けてしまう前に
足元に散らばった
「決意」を拾い集め
両手でしっかりと固める
指の隙間から
こぼれ落ちないように
僕はもう一度
深呼吸をして
スタートラインに立った
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優しい空がこの手に触れて
柔らかな暖かな
風の匂いと君の声
どれくらい流れた?
あの日の大好きな時間が
幼き理由を捨てて
大人になった君の心は
無邪気さ純粋さ
丸めて紙くずみたいに
見上げた空に飛行機雲
2つ並んで仲良しみたい
「あんな風になれたらね」って
2人いつかの仲良しみたい
失なった日は曇り空
言い訳さがして
見つけたひとりぼっち
乾いた音が遠くで響く
涙で潤う夕焼け空に
帰り道
やっぱりこっちがいいって
左手繋ぎ直して仲直り
ごめんねって笑って
ありがとうって涙した
探しあてた境界線も
君となら曖昧なままでいい
ぼやけた方が
キラキラ輝く
足元で転がした石ころ
何月生まれ?
僕はムーンストーン
君にはトパーズを
唯一無二の輝きを
なんてありきたりかな?
歯を食いしばって
立ち向かっても
向かい風は百獣の王
挫けそうで悲しくなる
いっそ言葉になって風に乗って
メロディに溶けて流されよう
逢えない日は 逢いたい日は
そんな妄想繰り返し
いつの間にか夢の中
こんな単調な毎日が
「幸せ」のひととき
色褪せても焦らないのは
その「毎日」が続くから
「続く」を疑わないから
「疑う」はキリがないから
「信じてる」
それでいい
それがいい
アメジストもサファイアも
ガーネットもエメラルドも
みんなそれぞれに
憧れが産んだ存在で
そんな石みたいに
強い意思を持って
生きることに憧れて
今日もこの優しい空に
手をかざして
願っている
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小さな希望を手のひらに乗せて
その背景の不条理と
ピントを合わせる
緑道を横切る子供たちの声
その先に投げ出された「さじ」
いつからだろう?
諦める事に抵抗しなくなったのは
信じるものがまたひとつ
藪の中へ消えてゆきました
それでもいつものように
太陽を背にして
薄く伸びた影の先を
追いかけながら
「感情」というカタマリを
なるべく音を立てずに
転がしています
波風を立てないように
想いを悟られないように
それが最善の選択かどうかも
わからないまま
あの頃の怒りや憎しみは
軌道をそれて消えていったけれど
あなたの事を僕はもう
許しているのでしょうか
湿った雲が頭上を流れてゆきました
あなたの空は何色ですか?
冷たいコンクリートで造られた
灰色の街並みを見下ろして
優しく灯る幸せの光を数える
あなたの声がまだ聞こえていた頃
僕はあなたらしく
あなたは僕らしく
互いの成長を信じてきたけれど
守るべき嘘を諦めた時から
僕らの行く末を
見据えていたのかもしれません
今は痛みを覚えることばかり
得意になってしまったけれど
時間通りにやってくる
「不安」を必死に飛び越えて
安心にしがみつく事が
精一杯の日々で
かろうじて転ばず過ごしています
目に見えない真実まで
知る強さは必要でしょうか?
愛に成り損ねた「未練」が
あなたの名前を呟く
僕はこの先いったい
どれほどの愛を
与えられるのでしょうか
許せるのでしょうか
このまま
ここに留まってはいけないと
心の声が聞こえる
安らぐ場所へ 声が導く方へ
進まなければ
走り続けなければ
春は
まだまだ遠いけれど
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平べったい憂鬱と今日の残り
ポケットには潰す時間と退屈
空に浮かぶ弓張り月は
雲のベッドで眠りにつき
うわの空を泳ぐ僕は
冷たい風でその目を覚ます
尖った「臆病」が
血液に混ざって
僕の身体をかけ巡り
チクチク痛む心が赤く腫れる
我慢して笑ったぶん
ため息で帳尻合わせ
誰かの優しさも
上手く受け取れなかった
なんとなく落ち込んで過ごす
たいした悩みも持ってないのに
いつまで続くのかな?
今日がこんなだから
笑って過ごす明日なんて
とても想像なんかできなくて
ボリュームを上げても
雑音にかき消されてく
それでも懲りずに
同じ唄を何度も口ずさむ
世界の表と裏では
喜びと哀しみのスパイラル
上昇気流と下降気流に乗って
新しい悩みの種がばら蒔かれる
世界の余白に
ちゃんと循環してるのかな?
僕らの幸せは
希望の成れの果ての
「諦め」が地に膝をつく
でも何かをまだ期待している
そんな今日と明日の狭間で
昨日の続きの夢を見てる
言いたいことも
伝えたいことも
味のなくなったガムみたいに
いつまでも口の中に残ったまま
ポッカリ空いた僕の心に
ピッタリはまる君の存在
足りないものはわかってる
それが埋まる心地よさも
蒔かれた種を僕は育てている
心の隙間に
「悩み」の花を咲かせよう
色とりどりの難問題
空白よりはずっといいから
悩んで解決して
見つけてゆく次の景色
次のステップへ
悪あがきでもいい
この狭間から
ドロップアウトして
君の空白を埋める存在に
僕はなりたい
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光を吸い込んだ真っ白な雲
その内側に黄金色を膨らませる
音もなく広がる夜明け
一日の始まりに
込めた願い
温かい碧空は
まだ鳴り止まない
冷気を運ぶ風に一時
落ち着きを取り戻させる
束の間の「春」
一色の目映さと美しさを知る
時間が
浮かぶ白い雲に
命を与えたみたいに
膨らんだり引き伸ばしたり
ちぎれたり
空というキャンバスに
白一色でデッサンしてゆく
光の隙間に並べられた影も
またひとつのアートのよう
僕の心もあんな風に
自在にカタチを変えてゆけたなら
もっと自由に自分を
表現していけるのに
まだ迷ってる?
黒く広い宇宙に浮かぶ
蒼く小さな粒の中で
辿りつく場所は決まってるのに
行き先は決めたはずなのに
自然の猛威は
まだ僕らの前に
腕組みをして立ちはだかるけど
穏やかな日がいつか訪れると
刻み込まれた記憶を頼りに
信じていられるから
信じ続けてゆけるから
高速で回転する
この地球という球体から
振り落とされずに
安心して
立っていられるのかもしれない
ちれぢれになった
あの雲を眺めて
この心を投影している
またくっついて
ひとつの大きなカタマリになって
未来と繋がった空を
膨らんでずっと遠くまで
夢と希望を
柔らかな風に織り込んで
飛行機雲みたいに
まっすぐに正直に
僕ら手を繋いで
泳いでゆく
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なるべく安全なラインの内側で
忙しさをぶつけ合いながら
狭く不安定な日常を歩く
孤独を欲しがるフリをして
あの日の優しさも
忘れたつもりで
今日も人々は
限られた枠の中を
夢中でさまよう
不覚にも 自ら隠した
本音に怯えながら
僕らは陽気にもなれずに
巻き戻せない時間を
後悔しながら
ただ無表情を装う
人たちとすれ違う
痛みに対して鈍くなってく
もう一度本気で泣きたくて
もう一度本気で笑いたくて
何度も「恋」を
繰り返すのかもしれない
忘れないように書きとめた
ポケットの中の手紙を
僕は渡しそびれたけど
振り出しから始める為には
それはもう必要なくて
大切にしなきゃいけない
この「想い」は
言わなきゃいけない
この「言葉」は
ちゃんと目を見て伝えなければ
耳に届いても
きっと心まで届かない
時に無神経な誰かの想いは
尖った鋭利な刃物となって
容赦なく僕らの
無防備な心に突き刺さる
だから耳を塞ぐ
傷つきたくないから?
他人との間にラインを引いて
得られる安心感は
安っぽいイミテーション
誰かの声も聞こえないフリ
わかってる
本当は
聞こえてる
それでも僕らは
片寄った世界で決めつけた
価値観で分類された
ボーダーラインの内側で
息を潜めて安心している
窓を開けて風を探した
目を開けて明日を探した
本当の幸せに逢いたいから
傷ついても守りたいから
僕は足元に引かれた
ボーダーラインを
めいっぱい助走をつけて
飛び越えた
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憂鬱が広がる灰色の空に
打ち明けた昨日の失敗
ふわふわ空中を舞いながら
雪のような哀しみとなって
小さな音を跳ね返して
僕の足元に落ちた
降り積もった「臆病」に
誰かの足跡がつく
痛みを我慢することばかり
増えてゆくけれど
まだ
立ち止まることはできなくて
いっそう頑なな表情みたいに
踏み固められた道の上で
不器用にしか歩けない僕は
何度も転びそうになりながら
やっぱり空のせいにする
その不甲斐ない小さな心は
気温が下がったぶんだけ
かじかんで感覚をなくしてゆく
笑えるよね?きっとまた
「もう少し」を越えて見た景色
優しい雨を期待して
無理やり微笑んでみる
「精一杯」が
薄曇りにぶつかって
残りの「我慢」が
僕の頬を伝う
なるべく表情に嘘を張り付け
僕は笑いながら涙を使い果たした
ぼやけた白い絵の具は
僕が見ている風景に
静かにこぼれてゆく
その先が見たくて
身を乗り出した杭は
誰かの無情に打たれる
容赦なく
何が正解で何が不正解?
風に煽られ飛んでった
僕の勇気は窓の外
木の枝に引っ掛かって
今もまだ揺れてる
君の優しさに手を引かれ
どこまでが現実かわからない
この暗闇の中をさまよってる
まだ生きているのは
君を忘れられないから
もう一度君と出逢いたい
なんて馬鹿げてるけど
ささやかな期待が
今はとても温かい
「もしも」なんて
もうひとつの世界はいらない
理由も根拠も
ただ君と居たい
叶うならば
寒空に放り投げた「理屈」は
優しい雨に打たれながら
白の真ん中に
溶けて消えていった
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湖のほとり 湖面に映る
自分の姿 ぼやけた表情
涙混じりの空 疲れた昨日
笑ってる? 僕は
冬を背負った木々に
溜まった雫が
水面に輪をつくる
波が揺れ 僕も揺れた
空っぽの夢を
重そうに背負ったフリ
笑えない理由
本当は笑っているつもりだけど
表情はどこかぎこちない
手に持ったカバンの中に
行き場を無くした不安を
詰め込んで
果てのない空と
あてのない僕と
交互に見比べながら
風が吹くのを待った
混ざり合えば変わるかな
見つけられそうな明日に
見透かされていた今日が
立ち止まって振り返り
繋がった昨日のせいにする
意味なんてあるの?
僕は立ち上がり
石ころを蹴飛ばした
さっきよりも大きな波紋が
さっきよりも身近な明日を
笑い飛ばすように揺らした
何もしなくても時間は進むのに
明日までたどり着くのが精一杯で
責任の重さの分だけ
足跡が深くなったって
おぼつかない足どりでも
前に進まなきゃいけなくて
下り坂でも僕は歯を食いしばる
風に身を任せればいいのに
難しかったことが
出来るようになったけど
簡単だったことが
難しく思える 今の自分
不器用な心が情けなく震えた
空は淋しく色を変え
僕の心を濡らす
また降りだした雨は
湖面に映った景色に溶けた
「意味を与えるのは自分」
雨の音に紛れて聞こえた
その囁く声は
心に深く染み込んで
渇いてしまった僕の心を
静かに潤してゆく
「生きる意味」
それを探し続けるのが
人生なのかもしれない
答えの書いてない空を見上げ
僕は大きく息を吸った
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たどり着いた夕闇の中で
幼い木々がシルエットを揺らす
まだ帰らぬ青い鳥に
ほんの一握りの小さな夢を語る
届くならば
聞こえるならば
まだ君は生きている
涙が月を濡らして
ぼやけた表情見せたっけ
昨日の喧騒を忘れた
漂う静寂の交差点
信号機はひたむきに
僕らを正しい道へと
誰も見ていないから
ここでキスしよう
忘れられない苦い愛
甘い唇を求めて繋がる
ただひとつの正解は
僕もまだ生きていること
今僕が立っているこの場所は
安心は手に入れたけど
望んだ通りの景色かな?
躓かないように
歩いてきたつもりだけど
何度も転んで同じとこ擦りむく
そろそろ痛みにも慣れた
我慢して笑うことも増えた
それでいいのかな?
目を閉じてここを渡ろう
答えが変わるかもしれないから
信号が変わる前に
空の色が変わる前に
一瞬の幸せを掴むため
僕らは病む暇もなく
ただ走り続ける
高温で抜けるハイウェイ
手に入れたものは
すぐに色褪せるから
また次を探し求める
大切にしなきゃいけない
あの時知った温もりも
いつの間にか冷めてしまった
空腹を涙で満たす
曇り 時々 深呼吸
雨 のち 虹
両手の指で輪を作って
覗き込んだ未来に
答えが浮かんで見えたけど
両手が塞がって
触れられないもどかしさ
息を吹き掛けて掻き消した
何回目のfinal answer?
また答えは見つかる
まだ答えは見つかる
まだまだこれから
そんなこと考えながら
僕は煙草に火をつけた
気が済んだ青い鳥は
僕の夢を手みやげに
シルエットの向こうに
帰っていった
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地平線の彼方に闇が消えてゆく
僕らの夜明けに
薄紫色の明日を連れてくる
未来という巨大な空に
時間という静かな風が流れ
不鮮明だった輪郭を現す
僕はまだ
昨日の月の裏側を歩きながら
足元を照らす
光の先を探してる
まだ覚えてる? あの約束
夕日と寄り道して歩いた
手を握り誓ったあの丘で
僕が最後に使った勇気
今でもこの胸に聞こえる
「不安」という契約書は
破り捨てたはずなのに
「変わらない」日常と
「変わりたい」自分と
わかってる
僕自身が変わらなければ
目の前の景色も
色褪せた水彩画
もう色は加えられない
道端で命を枯らした
名前も知らない花が
教えてくれた
儚さと力強さが
弱い心に染みる
正しさって?
使い方を忘れた「勇気」を
僕は今も握りしめたまま
出逢うには広すぎる
この空を見上げている
不安と恐れに
未知が襲いかかり
僕は後込みしてしまう
情けない自分
あの頃のようには
笑えなくなったけど
あの花のようには
咲けなくなったけど
精一杯強がって見せる
未来と繋がる音のする方へ
僕らは手探りで歩いてる
まだ僅かに残っている
この勇気を振り絞りながら
「変わる」ために
「変える」ために