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タキシード詩者の部屋


[24] 雨の日に
詩人:タキシード詩者 [投票][編集]

ある雨の日。
いっぱい雨が降っていた。
ふと、いつも見掛ける白い猫を思い出した。
会った時は足に擦り寄ってきて、甘い声で鳴くあの子。

(お腹がすいてるのかなぁ)

痩せた体に首輪もない。
その猫が野良猫であることはすぐに分かった。
きっと寂しくってひもじくって私に甘えてるんだってことも。

でも私にはどうしてあげることもできなかった。
家で猫を飼うことは禁止されているし、管理人が団地に猫が居つくことを嫌って餌もあげちゃいけない。

ごめんね。

私は自分可愛さにこの子に何もできないでいる。

「そんなの当たり前だよ」
「規則なら仕方ないでしょ」
「信じられない!せめて餌くらいあげれば良いのに可哀想!」

きっと色んな事を思う人がいることもわかってる。

雨が降る時どうしてるんだろう?
そう思ったら、階段の下で雨を凌ぎ、その子はまだここにいた。
どうか、この子の居場所を奪わないで。
身勝手な私の一つの願い。

2005/10/21 (Fri)

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