詩人:タキシード詩者 | [投票][編集] |
ある雨の日。
いっぱい雨が降っていた。
ふと、いつも見掛ける白い猫を思い出した。
会った時は足に擦り寄ってきて、甘い声で鳴くあの子。
(お腹がすいてるのかなぁ)
痩せた体に首輪もない。
その猫が野良猫であることはすぐに分かった。
きっと寂しくってひもじくって私に甘えてるんだってことも。
でも私にはどうしてあげることもできなかった。
家で猫を飼うことは禁止されているし、管理人が団地に猫が居つくことを嫌って餌もあげちゃいけない。
ごめんね。
私は自分可愛さにこの子に何もできないでいる。
「そんなの当たり前だよ」
「規則なら仕方ないでしょ」
「信じられない!せめて餌くらいあげれば良いのに可哀想!」
きっと色んな事を思う人がいることもわかってる。
雨が降る時どうしてるんだろう?
そう思ったら、階段の下で雨を凌ぎ、その子はまだここにいた。
どうか、この子の居場所を奪わないで。
身勝手な私の一つの願い。
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