ホーム > 詩人の部屋 > そほとの部屋 > 新着順表示

そほとの部屋  〜 新着順表示 〜


[107] ぼくが熱をだすと
詩人:そほと [投票][編集]

ほらまた言った
言うとおもったんだ
「 りんごすってあげようか 」
ほら全部ひらがなだ
枕もとに正坐したお母さんのひざに甘えると
やさしくお布団にもどされて
ぼくは
ほよほよと眠るのです



2009/01/31 (Sat)

[106] 長生きマユ毛
詩人:そほと [投票][編集]

マユ毛に長いのが生えると
長生きの相だと知っていたから
ここんとこ
ちょっと嬉しかった
通勤途中のバックミラーで
その長いやつの消失に気付いた私は
ブレーキとアクセル
どっちを思いっきり蹴飛ばしてやろうかと
迷っていたら
タバコ入れといたはずの胸ポケットで
小人が
行儀良く並んで見上げていた
その小人らの
揃いも揃って
呆れ顔



2009/01/31 (Sat)

[105] 巨瀬の大藤
詩人:そほと [投票][編集]

小川を跨いで
洗濯物と風にゆれ
ドラム缶の
ゴミ焼く煙に燻されても
雨降れば藤の花
家の歴史を見守って
誰かさんに付けられた名前も
有ったはず



2009/01/31 (Sat)

[104] まちぼうけ
詩人:そほと [投票][編集]

                 詩・曲 そほと

いいの
もう帰るの
雨の中まちぼうけは
もういいの
あじさいの頭を
右手でポンポンして
♪てんてんてん毬 てん手毬〜
 てんてん手毬の手がそれて〜〜
帰るんだもん
傘だってあるもん

いいの
もう帰るの
雨の中まちぼうけは
もういいの
いいのもう帰るの
気がついていたのだわ
とっくにね
こう見えてわたし強いのよ
けっこうそうよ
帰るんだもん
傘だってあるもん
♪てんてんてん毬てん手毬〜
 てんてん手毬の手がそれて〜
帰るんだもん
傘だってあるもん

きっと私は今
傘の花を咲かして
いるのでしょう
きっと私は今
傘の下で
泣いているのでしょう
この雨が止んだら晴れるわ
もう泣かんよ
あじさいは雨上がり
きれいね
♪てんてんてん毬てん手毬〜 
 てんてん手毬の手がそれて〜
帰るんだもん
傘だってあるもん



2009/02/24 (Tue)

[103] ゆき
詩人:そほと [投票][編集]


すっかり雪雲

天気予報どおり

降る

あなたの義母様
たおれた
のですね

もう
助からない
のですね

あなたがしっかりしなくて
誰がしっかりするのです


言ってしまいした

こんな白
でしたっけ




2009/01/31 (Sat)

[102] 
詩人:そほと [投票][編集]

                 詩・曲 そほと

地元気象台の発表によれば
この時 鶏卵大の雹が観測されたらしい

急に暗くなった校庭に
白いものが跳ねて ころがった
一つ
また一つ
また一つ
二つ 三つ
けたたましい音を立て始めたのはピンポン玉ほどの雹だった
ぜんそくの予感

先生が教室の電気を点ける
いま何時間目だっけ
後頭部に潜んでいた闇がじわじわと広がって視界を侵食し始めた
ぜんそく
来た

休み時間になった
生まれて初めての大きな雹に
興奮し切った生徒達ははしゃぎまわる
一人ぼっちになるのが恐かったボクも
無理をしてはしゃぎまわる
視界が暗くなってきた
そうさ 空が真っ暗だからな
雹の白さが闇に眩しい

そこから記憶が飛んでいるんだ

先生の声だというのは分った
「 今 おかあさんを呼んだから 」

校庭を母に手を引かれて歩いていた
おんぶしてやるというのを断ったんだ
友達が見てるからね

学校が見えなくなると
母はしゃがんで背中を向けた
おんぶしてもらった
泣きたかった

今でも泣きたいのだ
ぜんそくの子供を残して死んでいった母と
同じ年になってしまったのだから
少しはいろんな事が分るから




2009/02/24 (Tue)

[101] ナマケモノ
詩人:そほと [投票][編集]

ボクは
自分の内宇宙の時間を生きるのに
忙しいんだ



2009/01/31 (Sat)

[100] この木に
詩人:そほと [投票][編集]

この木に
毎年四季が訪れ
その都度
緑の葉っぱを
つけたり おとしたり
なんとも言い得ぬ匂いの花を
つけたり おとしたり
もう かれこれ数十年分は
コトバを蓄えてます

ねっ だから小鳥がやってきます
ねっ だから虫が冬眠します



2009/01/31 (Sat)

[98] 微 トラウマ
詩人:そほと [投票][編集]

せっけん箱が走った
洗面器が廻った
だからぼくは
お腹に吸盤をくっつけて
マブチ水中モーターのスイッチを入れて
銭湯の湯船に浮かんだんだ
子供の頭にだって進まない事は
分かってる
進むと思いたがってるだけって事も
分かってる
それでも進んだ進んだって大はしゃぎしたんだ
新しいウソを手に入れた後ろめたい瞬間だった



2009/01/31 (Sat)

[97] ゆびずもう
詩人:そほと [投票][編集]

冷たい布団が温まったら
指相撲がしたくなった
ぴこぴこ動かしてみるが
一人相撲だな

思い出せば
一日が井戸の水汲みで始まる生活に
かつて鍛えられた母さんの
指は強靭でしなやかで
押さえ込まれたぼくの親指は
ピクリとも動けず
他の手足がジタバタジタバタ
中学生の頃にはもう勝てたはずなんだ
父さんよりケンカは強かったんだから

冷たい布団が温まったら
ゆびずもうがしたくなったよ
母さんに一度だけ
勝っといてあげればよかった



2009/01/31 (Sat)
246件中 (141-150) [ << 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 >> ... 25
- 詩人の部屋 -