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何故僕らはこれほどにも
全てを自由に選んで
全てに自由を求めるのだろう?
何故僕らはこれほどにも
知っていたはずのことを
うやむやにしては叫んで
永遠などは崩壊したはずだろう
手に入れた温もりは次第に冷めて
これが現実だった
何故僕らはこれほどにも
明日を恐れながら
100年先に希望を描くのだろう?
何故僕らはこれほどにも
満たされた世界で
抱えきれぬ空虚を抱いて
初めから知っていたはずだろう
覚めないはずの夢から覚めて
これが現実だった
これが現実だったという
嘘
これが現実だった
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触れ合う温もりは
じきに冷めて
浅い眠りから覚めた
私のため息が
空中に咲いた
奇形の空想を散らす
祈りのイメージから
じきに覚めて
火を着ける五本目
私の吐く息は
残像をひとつ型どりながら
空中を舞って
流れたそれぞれの時間は
日々の泡になって
緑の雨粒に弾かれて
鮮やかに割れたから
花にも例えられない
妙な後悔が床を染める頃に
はじまりの言葉を探して
私は震えた
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揺れながら
味気のない泡が弾けて
白昼夢から覚めた
昼下がり
湧いて出たかなしみが
ガラスに映る空に積もって
まるで入道雲のようだね
少しにごった視界の隅で
無表情なきみが泣いたように見えたのは
多分
天気予報が当たったからなんだろう
心寂しさにまかせて
いつだか植えた種は
きみの栄養分で咲き誇ったんだが
そのかなしい色が
僕の目には眩しすぎるんだ
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世間を騒がすニュースにあてられ
明日に不安を感じて
保険に入りました
前だけ向いて歩けりゃ良いんだが
案外それは難しい様で
また立ち止まって
振り返っているのです
新しく出来た都市の中心には
最新式の幸福に群がった
人 人 人
山みたいに固まって
あっさり崩れた
科学を信じて頼ってたら
利便性にとらわれて
考える事をやめました
自分の力で生き抜けりゃ良いんだが
安易な方へ流れる様で
また気付いたら
リモコン持ってたりするんです
僅か100年程の創造で
進化したとかしないとか
偉そうにタカをくくってたら
一周してまた猿になりました
始めから無かったものを失くしたって
こぞって騒ぎちらす
人 人 人
山みたいな黒い固まりは
あっさり崩れて
何も分からんまま
笑う
人 人 人
その光景はさぞ滑稽だろうね
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また私はとりとめもないものを描いていました
なくしたものだけ綺麗に見えることは始めからわかっていました
また私は意味もなく理由を探していました
後付けの理由で納得すれば
笑えるのだとわかっていました
例えば
私の墓を立てて
目にした全ては
手にした全ては夢のようなものだと言えば
誰かが笑ってくれるのでしょうか
あてどない悲しみは
目を覚ます頃に
土に還ると思っていました
また私は意味もなく言葉を書いていました
いつか私の言葉が死んだ時
そこには新たな命が宿るのでしょうか
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知らぬ間に賢くなりすぎて
生きる事すら忘れてしまって
知らぬ間に賢くなりすぎて
ひとは嘘すら信じ込んで
知らぬ間に賢くなりすぎて
知らない事は無いと言い
知らぬ間に賢くなりすぎて
温もりすらに慣れてしまった
知らぬ間に賢くなりすぎて
いつでも堂々巡ってまた同じ場所
夜が更けたら
どこかからやってくる
冷たい空気に混じった悲しみを
全部飲み干してしまいたいな
夜が明けたら
乱反射しで美しい
まるで嘘だらけの
決して届きはしない虹を
馬鹿みたいに追いかけに行きたいな
最期は何も知らないままで居たいな
見えないものばかり追って
見たことも無い場所へ行き
夢や月や土や花や風や空を見ては
まだ知らない言葉に出会い
そのまま風化していきたいね
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静かに揺れる
波を掴みながら
不慣れなクロールで
あそこにある月まで辿り着けたら
そのまま水に溶けたいね
何も要らないから
何も持たないまま
未来は知らないから
何も残さないまま
色鮮やかな
風を掴んで
不器用にクロール
あそこにある太陽まで
辿り着いたら
そのまま蒸発したいね
何も要らないから
何も持たないまま
一秒先も知らないから
空っぽのまま
緩やかな弧を描いて
クロール
目を閉じたまま
クロール
行き先も知らないまま
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春だった
色とりどりの風
柔らかい陽の中で
空中浮遊
地上5cmを緩やかに滑走しながら
空から溶け出した色彩と混ざりあって
私がもとどおりになっていった
そんな夢を見たのかどうかも
もう忘れかけていたのだが
寝ぼけ眼で
ふと見上げれば
君の目の中に映る風景は
まぎれもなく
春だった
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季節を彩る
美しい嘘が一つ
風にさそわれて
知らない場所へと帰ります
あなたは素敵な世界だと笑って
わたしは黙って煙草をふかしています
青いはずの空が色を変えて
知らない街に灯が点る頃に
風がふいにふいて
知らない花がゆれながら
いとおしい影を落としていました
どこからともなく
ふらふらと
舞い降りてきた
何とも例えられない静けさが
窓から夜を連れてきて
気付いた頃には
知らない朝がやってくるのです
昼下がり
一つの季節が過ぎる頃
知らない時間を惜しむように
知らないあなたの背中に向けて
わたしは手をふったのです
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はじまりの季節に訪れた衝動
緩やかに
鮮やかに
隙間を埋めていって
難解な理屈の必要をなくした
寝惚け眼の君の目に映る風景は
春だった
ただそれだけの事が
素晴らしい
昼下がり
ぼくは夢から覚める
寂しがり二人ぼっち
焦りもいずれ安らぎに変わるなら
弱さを隠さないままで
生きて行ければ良いと思うのだ
春風舞い上がる瞬間
君の透明な笑顔で
積み重なった過去のそれらは溶けていって
感情が溢れていく
感情は溢れていく
街の灯が1つずつ消えていく頃
疲れた表情も
くたびれた言葉も
今日一日の全てが
愛している
その一言で終われば
それで良いのだ
平静を装うずるさを
君は必要としない
うそつきなぼくを溶かしておくれよ
君が笑った
感情が溢れていく
感情は溢れていく
溢れていく
溢れていく
まるで嘘だらけの世界に月が昇る頃
疲れた表情も
くたびれた言葉も
今日一日の全てが
愛している
その一言で終われば
それで良いのだ