詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
朝だよ
また朝が来たよ
窓を叩く陽の光
おはようを交わして
眠りにつくのが
私の日課
緩やかな坂道を
ゆっくりと
下っていくような幸せ
走る車の音を尻目に
ささやかな嘘
囁いた
どうして
見破れないかなあ
あと一歩から
もう三歩
踏み出した足を
当ててみて
おやすみ
またね
瞼の裏の白い世界
遠くへ遠くへ
消えていく
さようなら
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
俺の人権で
お前の表現を奪った
取り返したいなら
自由を寄越せ
煙草が吸えない僕だから
気付いた時には遅かった
その色を使うな
その筆を使うな
肌を肌色で塗るな
空を空色で塗るな
だからといって
その色を使うな
勝手に創造するな
これを使いたまえ
決まっていない
カタチを固定
人の死なない
ミステリー
誰もボケない
バラエティー
爆発するな
暴れるな
血飛沫なんて言語道断
自由は俺のモノ
誰にも渡すものか
表現を取り戻し
お前から人権を
奪ってやる
煙草を捨てた
差別した
盗んだ
真似た
モザイク外した
薬をまいた
子供を売った
女を犯した
人を殺した
国を捨てた
フィクションを書いた
本音を吐いた
全人類マイナスひとりに
否定され
殺された表現は悪か
自分だけが
肯定し
生かした表現は善か
大切な人に見てほしい
みんなに見てほしい
お前にだけ見てほしい
別に誰も見なくていい
表現さなければいいものを
人間さなければいいものを
もう遅い
書いちゃった
仕方ない
消しちゃうぞ
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
どこまで続く浮遊感
どこにも行けない浮遊感
たどり着けない浮遊感
それは気のせい浮遊感
いつかは落ちる浮遊感
飛ぶ鳥“も”一羽残らず
死んでいく
勢いよく落ちる浮遊感
「似合う?」と言われ
真っ向から否定して
「ありがとう」を
受け取ることってあるの?
そんな浮き方してちゃ
誰だって沈むよな
テーマパーク
キャラクター
もらった風船
一週間以内
しぼんでいく姿
可哀想で
見ていられない
でも実は
飽きられて
見られてないだけ
どこまで続く浮遊感
どこにも行けない浮遊感
たどり着けない浮遊感
それは気のせい浮遊感
いつかは落ちる浮遊感
地上から
数センチメンタル
なんだこの浮遊感
「人には言えない」を
動力に浮いています
いつかは落ちる浮遊感
それまでを
どう過ごそうか
漂う思想
沖まで流れて浮遊感
助けは来ない浮遊感
まぁいいや
ぷかぷかひゅーん
ぷかぷかひゅーん
間抜けな効果音だけど
救いようのない展開
単純にifする
ぷかぷかひゅーん
まぁいいや
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
残そうとしたものが
残らなくて
半角カナで
バグらせたみたいな
意味を為さない羅列しか
残らないなら
残そうとしたぼくは
ぼくの人生は
意味を為さないのか
意味を為さない
ぼくの人生の中で
生まれた
ぼくの羅列は
ある日突然
風化する
あるいは
誰にも見られずに
終わる
見られたとしても
それは
誰の記憶にも
誰の心にも残らずに
残ったとしても
それは
一度も思い出されずに
忘れ去られて
やっぱり終わるような
意味を為さない羅列なら
残してどうする
残したい気持ちだけ
宙に浮かぶけど
そんなもの
残ったとしても
意味を為さないんじゃ
薄れていっても
ゼロにはならない
気休め程度の
思想いに揺られ
今日も書き留めた
そもそも残して
どうするつもりだ
誰かに読ませて
どうするつもりだ
深い考えはない
別にやらなくてもいいのに
生きる必要もないのに
知らない
意味を為さないとしても
今日も書き留める
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
嘘つきは嫌いだ
Y字路の手前で迷う
あなたは
どちらの道から
来ましたか?
分岐点で立っていた人に
案内してもらい
私はその村に辿り着いた
人間関係に悩まされ
疲れ極まって
久々に泣いた
少しすっきりした頭で
「会社を辞めよう」
そう決断した
駅から離れていてもいい
田舎でもいい
条件は一つ
それなら
ここがいいですよ
差された指の先
その場で決めた
浮気している
彼女に別れを告げ
列車を乗り継ぎ
二時間半
清々しいぐらい
何もない
縛られるものも
何もない
思うと自然に
口元がほころんだ
にやにやするな
気持ち悪い
すれ違いざま
女が言った
なんだいきなり
思った瞬間
急に立ち止まるなボケと
オヤジが私を
押し退けた
なんなんだ?
そういう事かと
またニヤついた
何あいつキモい
変人だ
言われて私は
笑っていた
声に出して
笑っていた
村人は
思った事を
口にしただけ
それが嬉しくて
私は笑っていた
それから一年
君には
期待してないから
上司にそう言われ
カッとなって殴った
頭の中で
だけだけど
お前と特に
話す事ないんだけど
友人にそう言われ
愛想笑いで誤魔化した
彼女に
寂しい寂しいと
つきまとわれて
うるさいなと
振り払った
浮気してやると
彼女は泣いた
今
本気で言ったんだコイツ
反省よりも先に
怒りが込み上げてきた
そんな気持ちを隠して
私は
愛していると
彼女を抱いた
嬉しいと
彼女は言った
虚しくなった
こんなハズじゃなかった
最悪な村だ
物取りに
物を盗りますと言われ
包丁で刺された
最悪なのは
俺の方か
どんな時だって
どんな土地だって
住めば都
そうは思えなかった
自分が変わらなきゃ
何を変えても
結果は同じ
そういえば
あれから一度も
見かけなかったな
人の少ない
小さな村なのに
通りがかったあの時
分岐点に立っていた
あの人を
意識が朦朧とする最中
耳にした言葉
嘘つきは嫌いだ
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
つけっぱなしの
けいこうとう
ひらめくものも
ひらめかない
みたされていても
ものたりない
じぶんをさがす
わたしはろぼっと
じぶんをかくす
あなたはにんげん
イマノワタシハ
モウヒトリノジブン
ふたつあるなら
ひとつおくれよ
かくしておくなら
かしておくれよ
ジブンガワカラナイ
かくしたばしょが
わからなくなったって
じぶんがじぶんか
わからなくなったって
まるでろぼっと
まるでわたし
じぶんなんて
わからないなら
じぶんなんて
さがさなくても
じぶんなんて
ひつようないか
けしょうをしよう
あなたはわたし
じぶんをかくす
わたしはにんげん
つけっぱなしの
けいこうとう
ひかりちかちか
あいであうかび
ひかりちかちか
いのちとぎれる
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
終点。
ここは卒業のない街
さよならは回送のまま
来た道をゆっくりと
引き返していった
駅から徒歩20分の場所に
家を借りて住みはじめ
終わらない新生活を
楽しんでやると
意気込みました
探さないぞ、卒業
探すもんか
これ以上、涙
増やすもんか
悲しみは
愛すべき仲間と共に
置いてきた
そんな時にだけ
顔を出す
流れる涙の唄と共に
うまれた街に
置いてきたんだ
忘れないぞ、卒業
忘れるもんか
いつかまた
会う日が来るって
知ってるんだ
本当は
流さないぞ、涙
流すもんか
今はまだ
はじめまして
新しい自分
終点。
ここは卒業のない街
新しい自分
はじめました
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
中途半端に
首つっ込んだ
それから十年
二十余年
なんか
苦しくなって
けれど
やめられなくて
仕方がないから
首切った
頭がないと
俺が俺じゃなくなる
そんな
愚痴や言い訳を
君にぶつけて
憂さ晴らし
君は身体を
好きだと言った
頭がなくても
好きだと言った
心臓は身体にあった
それでも僕は
頭が好きだ
頭がないと
生きていけない
そんな事はない
現に俺は生きている
苦しい
頭はないのに
苦しい
苦しい苦しい
僕は苦しい
人生を取り替えても
同じ頭は取り戻せない
首を切っても
抜け出せない
夢の締め忘れに
ご注意下さい
無い頭絞って
楽になりたい
無理
君は悲しそうに
怒ったように
俺を見る
テレビを消して
沈黙が続く
離れた頭が
頭から離れない
君は俺を見る
僕は頭を気にする
君は見る
俺は見る
僕は頭を
頭が好きだ
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
外見ばかり更けていく
あなたはロボット
頭に操縦席があり
思春期の少年が
あなたを操っている
お酒も呑める
煙草も吸える
ギャンブルだってやる
けれど
「はい」と言えない
訊かない
効かない
謝らない
認めない
言い訳ばかり
言い返してくるばかり
どんなミスも
いいように解釈
なんというポジティブ
「分かってる分かってる」
って
分かってないから
言ってんですけど
バカだと後ろ指をさされ
女性社員に
キモいと嫌われる
それでも
「はい」と言わずに
生きていくシアワセ
会社で取得した
メールアドレスは
出会い系用ですか?
それとも
こないだ指名した
あの子専用ですか?
それより早く
仕事して
髪の毛が抜けていく
あなたはロボット
遠隔操作かもしれない
思春期の少年が
あなたを操っている
少年は無免許で捕まって
こっぴどく叱られて
それでも「はい」と
最後まで言わなかった
詩人:高級スプーン似 | [投票][編集] |
また来たよ、深い青
はるか水面から
さざなみかき分けて
君に会いに来た
会いたい。
ことばにできるほど
重なる青は無邪気で
地上のさよならさえも
差し込まない
会いたい。
どこにいるの、と
声が聞こえ
ここにいるよ、と
声を返す
どこにいるの、と
声が聞こえ
ここにいるよ、と
僕は叫ぶ
けど、
会えない。
皮膚をすりぬけて
受信するもの
無邪気な青のメッセージ
心も身体も
重ねているのに
「ドコニイルノ」
この温もりは
君に届かない
届けたい想いは膨らんで
穴の開いた、バブルリングせめて
温かいところで
分解されたい
心も身体も
重ねているのに
「ココニイルヨ」
この温もりは
君に届かない
。
一粒の息
そして聞こえなくなった
僕を探す声が消えた
もう、あきらめたのかな
叫びは泡となり
地上に帰るばかり
もう、あきらめようかな
ひとり呟き
『あきらめようかな』
一粒の想いが
風と波にからまって
終わらない漂流
だから、あと少しだけ
「ココニイサセテ」
水面めがけて
吐き出した
精一杯の、バブルリング
重なる青をかき分けて
広がり続けるはずなのに
ここからは
小さくなって
やがて見えなくなった
AIKU080127
三歩さんとの
コラボ作品でした♪