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高級スプーン似の部屋


[2] あの辺
詩人:高級スプーン似 [投票][得票][編集]

夢の始まりと同じように
今より手前が
思い出せない
けれど
どうやら半分以上が
崩壊(ダメ)になったそう

進んでいるけど
歩いているのか
みなどこか
自力じゃない気が

無機質なエントランス
人工的な光が反射
様々な顔が行き交う
座っている人まばらに
無邪気なわが子の笑顔に
疲れた顔で応える母も

会社帰り
帰れなくなった風の男
若者が4、5人で大爆笑
お前等こんな時に何を

ちらり怒り睨む中年

いつもより少し
殺伐としている程度
案外こんなもんか
パニックは意外と少ない
知らないあの子が
息を乱す
通り過ぎれば
視界から消える程度に

付属のエレベーターは
景色を楽しめるタイプ
気が付いたら
そこに乗っていて
最上階のボタンだけ
光っている
昇っていく
見えてくる全体

変わった町並みに
ようやく気付く
一目見て分かる
人を統べる人外
支配者の住む城
以前あそこは
テーマパークだった
これから先
どうなるんだろう

ありえない状況も
起こればすんなり
受け入れて
既に世界は
終わっていてもまだ
俺は生きている
夢ならとっくに
覚めているけどまだ

黒い雲々に塞がれて
暗く淀んだ
あの辺を
俺は見ている

2007/06/16 (Sat)

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