破色の風が吹く街に千の瞳が上滑り……渇いた時を 遣り過すにはいくつ 口実(りゆう)がいるのだろう?事も無げに あいつは笑い滲んだ空を見上げているから素っ気無い振りをして嘘つきな眼鏡を捨てた上目遣いの視線の先で尖った痛みがちぎれた雲に跨り繋いだ指に 秋がひとつ落ちる引き返せない迷路に分かれて 流れて 引き合ってゆらぎに映る二人は零れた水銀に 似ている
[前頁] [朱雀の部屋] [次頁]