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哀華の部屋


[144] 境界線
詩人:哀華 [投票][編集]

放心していた
深まる空気の中で

今ここに
立っているのは
可哀想な少女
一人涙をためて
こぼすまいと
必死に上を向いている

大丈夫。今は
死んでいないだけ

自分さえも
愛せる日が来る
それは幻想だ

震える息
暖まる風

私は
私は
どこへ行って
しまったんだろう

確信も何もない
存在は役に立たず
現実を重ねて
人知れず
希望の見える
空に手を伸ばして
泣いていた

届かない
指先さえも
無くしてしまえば
それで最初に
戻るから

ヘッドフォンから
垂れ流される
ファルセットが
耳について
不愉快でたまらなかった


ふと頭の中
煮えすぎた魚の様な
臭いで

吐き気
目眩
境界線
狂った思考

その合間に見えたのは
紫に凍えたビル
いつもの屋上
それだけだった

2005/03/20 (Sun)

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