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八朔の部屋


[24] まるい桜のせかい
詩人:八朔 [投票][編集]

桜の紅さと
散るというイメージが
死んじゃいそうなくらい
ぎゅっ、と心を掴む

並木道に寝転がり
周りの朱さを確かめるように
たくさんの花びらを
両手で掬う

ここは
鉄の味のする海の
メタファの海

メタファの海を
イメージの塊が、
這うように、
泳ぐ、泳ぐ、泳ぐ
俺は一人の海胆なのだ

思想は世界になり
桜は水になる

水を得た魚のように
花びらをかきこんで
紅に染まって
育つ、育つ、育つ
俺は一つの樹木なのだ

樹木は円を造り
円が地球を包み
包まれた小さな無限

目を閉じた世界に
桜の花びらが
ひら、ひらと
落ちる、落ちる、落ちる
俺はひとつの世界なのだ

2007/03/19 (Mon)

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