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ヒギシの部屋  〜 投稿順表示 〜


[174] 宇宙人
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造作もなくカラカラと
引かれてしまった白線を
お気に入りの赤いブーツで
懸命に消しています

お昼のドラマや可愛い雑誌に
出演することはないでしょう
突拍子のない私の思いは
貴女の世界で赤い色をしていたらしい
もしくは黄色だったのかしら
危険物として牢屋入り

"日本に住んでいるのではなくて
地球に住んでいるのよ"

罪名は
教えてくれないのね


貴女のメールのお相手や
夢の中の道化師でさえ
口にすることはないのでしょうね
私には過程のある想いも
貴女には突然の発作に見える
救急車に護送されて
隔離病棟に入ったのかしら

"みんな同じ目をしてるわね
真っ黒で見分けがつかないわ"

病名は
何だというの


造作もなくカラカラと
引いてしまった白線を
お気に入りの赤いブーツで
懸命に消しているのです

貴女もどうか手伝って
くださらないかしら
私は宇宙人だけれど
貴女もそうでしょう?

2005/01/18 (Tue)

[175] 道化の夢
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僕の目に何が映っているか?

酷く色鮮やかな花々と
何処まで続くか分からない空
君の笑う顔、落ちたわくら葉


僕の耳に何が聴こえているか?

風が木々を揺らす音に
寄せては返す波の誘惑
遠い遠い友の声と 床を転がる鈴の鳴き声


僕はこんな夢を見る

噎せかえるような甘い匂い
咲き乱れる花の陰で
身を焦がす光に目眩を覚える

唸る風と足元の波が
何もかも全て攫ってく


僕の手が何を掴んでいたか?

Non lo so..
Che cos'e...?


あの日一つから二つに増えたピアスが
揺れる度に僕は。

2005/03/18 (Fri)

[176] 桜が舞う頃
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素直に手を取らせてはあげない
貴方が花を一輪持ってくれば
微笑んで小指を触れさせてあげる

簡単に瞳を覗かせてはくれない
貴方の首もとに上手に甘えて
うっとりと見上げさせて頂戴

寄り添えば貴方は温かい
私は頬を擦り付ける
でもまだ もう少し
想いを馳せて 戯れましょう


桜が舞う頃
甘酒に浮かぶ花弁に酔いしれ

私達 結ばれるのかしら

2005/03/18 (Fri)

[177] 久遠の血
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冷たい海に身を浸して

静かに瞬く星々と
青白い月の誘いに

微かな意識を手放すとき

纏わりつく水はあたたかい
海よ 空よ大地よ

この小さな身体は

果てない海の水と
あの 真白な雲と
堅く優しい土

ひんやりとした大樹の幹
か細く鳴き続ける雲雀
悲劇の乙女の白い手だとか

そういったもので出来てる
そうだろう?

今 一掬の涙を落とすとすれば

これで
一輪の可憐な華が
甘い香りで生けるもの達を

惹きつけることもあるのだろうか

2005/03/22 (Tue)

[178] 星街
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涙で滲む目に映る
街の灯りが揺れている

白いベランダに座りのぞんだ
遠い星達に念でも送る方が
あの灯りの下の人間に訴えるより
余程簡単ではないか

届かないと知ってて夢見てる
それは幸せなことだろう
記憶の中小さな手が
汚い小瓶を掘り出して
きらめく宝石を期待していた

塞いだ耳に流れ込む
自販機の操作音と足音
此処には生い茂る木も囀る鳥も
セーヌの水面もガムランも
澄んだ星空だって無い

あるのはか細いこの腕と
休むことのない心臓だ
脈打つ血流が愛しい
救急車のサイレンが邪魔をする

睨み付けた夜空に光が流れた
なんだ、飛行機
低い音を響かせて
遠い国へ飛んでゆく

ただ一つだけ馬鹿みたいに煌めいた
あの星の名前は何てんだ
辞典に載るより遙か昔に放った筈の
強い光が眩しくて美しかった

揺らめく光の水面下には
同じく小さな人間が居るのかと
滲まない視界が嘘のようだった

2005/04/06 (Wed)

[179] 窓から射し込む道しるべ
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麗らかな春はこれ程迄に
光が溢れているというのに
覗き見した明日はどうだ
何者の姿も浮かばない

懐かしい傷を指先で辿って
そのまま滑らせて先へ先へ

目の前に舞うひとひらの薄紅が
今やっと気付かせて落ちてく
風のように這ってきた道の行方

2005/04/08 (Fri)

[180] かけら
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もう見ることのない
雲のかたち

僕は思い出せずにいる

あの頃の憎悪が 悲哀が
どんな味だったか


夕暮れに潰した
歪な砂の城

塩辛い涙の味は
今も変わらないのにね

2005/04/08 (Fri)

[181] 甘々金平糖
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少し開いた窓から
子供のはしゃぎ声が聞こえる

気だるく目を瞑り
卵でも落としてやろうかと
また目を開けて黙り込む


揺らぐ洗濯物の影に
意識を浮かべて遊んでは
手繰り寄せて息を吐く

級友達を遠ざけて
大人と笑える訳でもなく
独り苦笑して遠くを見やり

ここはどこなのかと
口には出さずに

甘ったるい金平糖を
噛み砕いたかのような
甘い日々を辿っているのだ

2005/04/08 (Fri)

[182] それの在り処
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一体何をすれば 幸せはやってくるというのか

針の動かない時計を熱心に眺めること
己の鼻先も見えない暗闇を走り抜けること
木漏れ日の下変わらぬ日々を疎むこと

何が正しくて 何が間違ってるかなんて
大昔から詩人の詠う言葉遊びを
止まない雨の下で繰り返す人形だ

紙風船が濡れてしまったからといって
その上から涙まで降らす事はないんだよ

幸せが見つからないからといって
それは必ずしも不幸ではないはずだ

それまで忘れてしまう事こそ 不幸と言えるだろう

2005/04/13 (Wed)

[183] 一休み
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きみ少し
こっちおいで

あれが北極星
それが春の月

これがきみの目


 いたい。


あっちが八重桜
そっちがブーゲンビリア

これがきみの髪


 いたた。


とてもきれいだね

2005/04/14 (Thu)
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