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ヒギシの部屋  〜 新着順表示 〜


[190] サーカス
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煩わしい荷が
細っちい肩に増えてく

平気な顔をして綱を渡る
この人混みはサーカス
得意気な笑み浮かべ
足掻きモガキ踏ん張って


不幸せな顔が
視界にチラついて

幸せの裏面を垣間見ては
ギクリと嫌な汗をかく
何もかも化かし合いの
この世間はお化け屋敷


何かが追いかけてくる
後から付いて来る

ガバッと背中にへばりつかれて
先の見えぬ綱の上を
歩き続ける 今日も昨日も明後日も

2005/05/18 (Wed)

[189] 動かない
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いつでもおいで
そればかりで
自分の手を差し伸べた事
無かったように思う

伸ばした爪が刺さるような
そんな手は汚いから
そう言って共倒れを
心の何処かで警戒してた

いつも人の目を見てない僕は
動かない瞳と目を合わせた
こうも、語るのか
自分にぞっとした

今まで僕は
何を話してたんだろう、口先だけで

2005/05/07 (Sat)

[188] 白い衛兵
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爪先で蹴った小石が、
車道へ転がった。

綺麗な白い車は、
街路樹の脇の草を揺らして
素早く走り去る。

小気味の良い音がした。
粉々の石を、目を丸くして、
じっとずっと見ていた。

その丸い目が小石のようで
カァ、とカラスが鳴くから
僕は慌てて両目を覆う。


電車の中の、
綺麗な白いシャツを
じっとずっと見ていた。

2005/04/25 (Mon)

[187] りんりんごん
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アルコールが
胸を消毒したらしい
重く深い眠りから覚めると
朝の光がまばゆくって
思わず笑えたんだ

少し 開けた窓が
涼しい風を吹き付けてきて
去年の夏から吊ったままの、
鈴を揺らしてる

丘の上の白い教会で
鐘がなるようだ、と口にすれば
それは言い過ぎかな
また笑えそうな 馬鹿げた言葉

でもこの狭い部屋
窓から覗く青い空の上で
鐘が鳴る 鐘が鳴る

2005/04/24 (Sun)

[186] イチョウ校舎
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どこか冷えた目をしてた
夕暮れ校舎の下

1人で辿る家路すら
自信を持てない僕なのに

広い校庭を右から左へ
横切った陸上部のあの子の背は
いつだって正しく思えたんだ

何度も同じフレーズを唄う
下手なトランペット

真白な紙に幾つもの色を乗せる
木陰の美術部員

赤い水馬を叫んでた
舞台の上の可愛い役者

肌寒い風が吹くなかで
同じ制服を着込んだ彼らは
みんながみんな、腕まくりだ


あなた達は今、
何処へ歩んでるのだろう

上着を脱いで腰に巻いた
もう少し未来の僕が
あなた達と酒を飲めたなら。


カラカラと地を這う
葉っぱは思い出に舞う

2005/04/14 (Thu)

[185] ゴミ箱≠オモチャ箱
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先の潰れた
クレヨン或いは
サクラの枝で
柔い土に

あの頃描いた
設計図

シャープペンの
硬い芯で
細部を書き出すには
まだ早過ぎて

幾度も破いて
散りばめた

僕の部屋は 今
まっ白だ

すきま風が
遊びにくる度
ばらばらと
舞い上がる

ちっちゃくて壮大な
何かのカケラ

ペンを持つ指が
長くなったけれど
紙くずは
捨ててはいけない

そんな気がして
今 僕の部屋は

ゴミ箱、否
オモチャ箱のまま

2005/04/14 (Thu)

[184] 視線が滑る
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アンタの細くて長い髪が
さらさらと肩をすべるから。

2005/04/14 (Thu)

[183] 一休み
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きみ少し
こっちおいで

あれが北極星
それが春の月

これがきみの目


 いたい。


あっちが八重桜
そっちがブーゲンビリア

これがきみの髪


 いたた。


とてもきれいだね

2005/04/14 (Thu)

[182] それの在り処
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一体何をすれば 幸せはやってくるというのか

針の動かない時計を熱心に眺めること
己の鼻先も見えない暗闇を走り抜けること
木漏れ日の下変わらぬ日々を疎むこと

何が正しくて 何が間違ってるかなんて
大昔から詩人の詠う言葉遊びを
止まない雨の下で繰り返す人形だ

紙風船が濡れてしまったからといって
その上から涙まで降らす事はないんだよ

幸せが見つからないからといって
それは必ずしも不幸ではないはずだ

それまで忘れてしまう事こそ 不幸と言えるだろう

2005/04/13 (Wed)

[181] 甘々金平糖
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少し開いた窓から
子供のはしゃぎ声が聞こえる

気だるく目を瞑り
卵でも落としてやろうかと
また目を開けて黙り込む


揺らぐ洗濯物の影に
意識を浮かべて遊んでは
手繰り寄せて息を吐く

級友達を遠ざけて
大人と笑える訳でもなく
独り苦笑して遠くを見やり

ここはどこなのかと
口には出さずに

甘ったるい金平糖を
噛み砕いたかのような
甘い日々を辿っているのだ

2005/04/08 (Fri)
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