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番犬の部屋


[20] 紙の翼で(試作)
詩人:番犬 [投票][編集]

その命は

何のために生まれた?

その手は

何を握っていたのだろう

その足は

どこに行く為に?

どこまでも高く

飛べると信じていた

手作りみたいな紙の翼で

あの遠い空までもと

たった一枚の壁が分厚い

小さな窓があるだけの

塞がれた孤児院のような一室で

わずかな光の繊維を見つめ

ずっと信じていた

泥で満たされた地上から

羽ばたく本能を奪われたはずの翼が

高く高く飛び立ちたいと

枯れた喉から

叫びにならない叫びを発し

壮絶に空を求めては

手作りみたいな紙の翼で

飛び立とうとしていた

生まれたばかりの頃は

閉じていた手の中には

一体なにを握っていたのだろう

それを知りたくて

2006/11/12 (Sun)

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