詩人:番犬 | [投票][編集] |
その命は
何のために生まれた?
その手は
何を握っていたのだろう
その足は
どこに行く為に?
どこまでも高く
飛べると信じていた
手作りみたいな紙の翼で
あの遠い空までもと
たった一枚の壁が分厚い
小さな窓があるだけの
塞がれた孤児院のような一室で
わずかな光の繊維を見つめ
ずっと信じていた
泥で満たされた地上から
羽ばたく本能を奪われたはずの翼が
高く高く飛び立ちたいと
枯れた喉から
叫びにならない叫びを発し
壮絶に空を求めては
手作りみたいな紙の翼で
飛び立とうとしていた
生まれたばかりの頃は
閉じていた手の中には
一体なにを握っていたのだろう
それを知りたくて