詩人:リコ | [投票][編集] |
転げ落ちたジャガ芋
小さな歯形をつけて
影を落とす
夕映えが
正しい眼の使い方
諭し
笑いながら
こう言った様な気がした
「聖書を読んだ事、無かったのかい」
冷たい壁
号令以外の音に
耳をすます様に
パチンパチン
指鳴らす
濁った眼を持つ
悪魔と言われた
7ドル盗んだ少年
鉄格子の奥
もう何十年も
少年のまま
ずっと
ずっと
神様はきっと
マメだらけの手に
キスなんて
してくれやしなかったから
枯れた井戸水に
魔法なんて
かけてくれやしなかったから
明日も太陽が
きちんと顔を出す様に
熱がひく様に
雨が降る様に
祈りを捧げる
神様は
そのおいぼれの
あの少女の
手と手を合わせた
隙間に居るのかも
しれない
言葉巧みに
雰囲気をかもしだす
70gの小麦粉に
眼もくれなかった僕
閉じた本を
膝に乗せ
合わせた手と手
出来た隙間にそっと
眼をやる
散らかった日常が
ただただ
小さく夢の様に
揺らいで
見えるのは