詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
イエスも
ジャンヌ・ダルクも
何かの使命を
帯びて産まれて来た
あの人もきっと
哀しみを乗り越える
歌うことが
世界を救うなら
諦めないでいて欲しい
なんにも出来ない非力が
たくさん集まれば
きっと世界は美しくなれる
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意味なくカユい感覚
そんなもんに
実体とかなくて
それとおんなじで
哀しみも喜びも
風が吹くように
通り過ぎる
台風だって
1日我慢すれば
明日は嘘みたいに晴れる
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深藍色の天幕に
まあるい丸い穴ひとつ
乳白色の光射し
やさし優しい雲一筋
エンドロール流れても
席を立てない客ひとり
円柱形の穴覗き
宇宙の果てを垣間見る
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
今日も出てゆく
夕暮れの街
ジェイソンマスクに
バンダナ巻いて
小柄なギタレレ
キュートな相棒
シャンパン片手に
サンダル履いて
ギターケースに
じゃら銭受けて
ルンペンさながら
パン代稼ぎ
イヤな48に
いかつい893
ペンギン歩きで
また明日
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化石燃料みたいに
いつか枯渇する
感性のような
先の見えてる燃料
だけを頼りに
どこまで行けるだろう
おばさんになっても
文学少女さながらに
図書館で左上見てたら
気持ち悪い気がする
アンテナは真っ直ぐで
受信出来るのは
お行儀の良い公共電波だけ
僻地に棲息する
生き物みたいに
わたしは独自の進化に
取り残される
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
深すぎて
なんにも見えない
海の底より
浅瀬でチャプチャプ
のが好き
水圧で息が詰まるし
得体の知れない
魑魅魍魎は
今までの価値観が
ガンガラガンと
崩れてしまうから
いらない
知らなくていいことは
最期まで知りたくない
林檎だと思って
食べて来たのに
消化が済んだ頃に
蜜柑だった
なんて言われても
酸っぱ過ぎて困る
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50億年生きてきた
彼でさえ永遠じゃない
みんなを引き連れ
ここまで来たけれど
一瞬たりとも
休む訳にはいかない
燃えて
照らして
導いて
折り返し地点を
丁度回ったところ
醒めたふりして
冷えきって
燃えたふりして
意気がって
水金地火木土
テメェもかい?
それでも
繋いだ手は離さない
最期まで輝いてゆくよ
みんな銀河の家族だから
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
あなたが幸せであるように
わたしは多くを望まない
全部の数が分かってるから
たったこれだけでも
ありがとうと喜べる
あなたが笑っているならばわたしは泣いても構わない
降っても直ぐに晴れるから
今は無理して辛くても
おめでとうと言祝げる
あなたが辿り着けるよう
わたしは後からついて行く
先でも後でも同じなら
前行く背中糧にして
お先にどうぞと見送れる
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
雨は既に
止んでいるのに
引き続き
病んでいる
祭りに加わらずに
終わったあとの
寂しさだけ抱き締めて
テレビも新聞もいらない
情報はわたしを
尻込みさせるだけで
悪戯に世界を大きく見せる
他人の真似して
チェンジとか言うから
天の邪鬼が気紛れに
初めて応援したタカは
半端に優しいハトに
空を追われた
そんなマゾッホの
自分が好きだから
予定調和の負け戦
破滅へ音速で
真っ直ぐまっしぐら
そんな損な性分
勝負になんない
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
流れ流され
行き着く先は
みんな同じ
三途の河原
長くは続かぬ
哀しみは
水面に浮かんで
弾けて消える
揺れて揺られて
落ち着く先は
無明に暮れる
黄泉の国
永遠に続かぬ
喜びも
煙に紛れて
空へと還る
泣いて泣かれて
彷徨う旅は
ふるさと遠く
偲ばるる
届かぬ想い
風に乗り
伝えておくれ
父母に