詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
生きながら
業火を浴びて
鎮める術なく
更に深まる闇に病み
鬱ろな瞳に
何を映して空蝉の果て
作曲家から聴力を奪い
歌い手から声を剥ぎ取り
絵描きに盲目を科す
すべての事に
意味などない
無重力で
宇宙に遊び泳いでも
自分で科した罪と罰
喜んで服役する覚悟
いずれ失う視力なら
姿見えないおまえなど
いないも同然
信ぜず存ぜぬ関知せぬ
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
ほんとは
こっちが
先に好きになったのに
あっちが
フライングして
コクったりするから
「うん」と
素直に頷けない
なんだか
あと出しで
勝ってしまった
みたいで
モヤモヤしてる
「ね?
今の忘れて
ジャンケンしない?」
「はぁ?
なんだよ、いきなり...」
「いいから、いいから
いくよ?最初はグー」
「ん?」
彼の拳を
私の拡げたパーで包んだ
「ほら、あたしの勝ち」
「ギガセコいな、おまえ」
「こんな
あたしでよければ
付き合ってください」
「どんなアタシだよ?」
そう言って笑いながら
彼のグーがパーに変わって
私の手を包み返した
ふたりで
肩を並べて歩きながら
もう片方の手で
チョキを作って笑ったら
「なに?
もう一回
ジャンケンするの?」
彼が怪訝そうな顔をした
「しない。もう、
これ以上賭けるもの
ないから」
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
自己保身は醜い
嘘は狡猾で許し難い
ならば問いたい
醜く狡猾な行為を
一度もした事がない
人間がいるだろうか
動物は本来
利己的でなければ
生存競争に勝ち残れない
だから動物は
失敗したら本能的に
学習はしても
反省などはしない
過ちを犯した人間に
集中砲火を浴びせ
やり直すチャンスも
与えてはいけないと
完膚なきまでに叩く根性は自己保身や嘘と同じくらい
醜く狡猾で品が下る
なぜなら
人は自分が
常に正しいと
誤認すること無しに
他人を非難できないから
うさぎ以下が
ものを語るな
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
いつでも傍にいて
誰だって構わない
いつも微笑んで
心のドア開いてる
コンビニ・ラブ
更けゆく夜には
コンビニ・ライフ
きみに会いに行きたい
いつも覚えていて
叶わないこの想い
いつも願っている
心の空明けるまで
コンビニ・ラブ
終わらない夜にも
コンビニ・ライク
わたしは待ち続ける
(転調:店長メイン
みなさんご一緒に)
コンビニ・ラブ
いつも傍にいるから
コンビニ・ライク
名前さえ知らないけど
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
あなたが助けたこの命
代わりに何を手にしたの
Cheaper
無邪気なだけの正しさ
Kinder
自分だけで満ち足りて
みんな死に絶えて
この世界にひとりきり
記憶に生きる復讐劇
わたしを救った恩人は
今はどの空で瞬いてるの
Too light
気まぐれに輝く明るさ
Too late
生き遅れ死にそびれて
すべては息絶えて
ガラパゴスにひとりきり
記憶を燃やす玉手箱
I'm alone now,
but lonely.
Where are you,Taro?
(注:Taro=×麻生太郎
〇浦島太郎)
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
相手の目線の
高さを詰るより
自分の立ち位置の
低さを改めよ
勝ち負けに
拘ってしまうなら
最期の最期に
笑えるように
やりたい事は
全部やり尽くす
人生は一人相撲
対戦相手は自分自身
地震に揺れても
揺るがぬ自信
張り合うのは
同じ土俵に立つから
敵が自分だけなら
敗れる理由なんてない
かかって来んかい!
ドイツもコイツも
モンゴルも
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
急に降り出した雨に
きみが泣き濡れて
溜息まじりに
声をかけたけど
安っぽい親切が
恥ずかしくて俯いた
透明で見え透いた心に
ぼくは戸惑って
理由探して
虹を見つけたけど
頼りない未来が
哀しくて黙り込んだ
一緒には歩いて
いけないけど
良かったら
持っていってよ
返さなくていい
しばらくなら
濡れなくてすむから
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
負け癖ついた
優しさは
いつか
裏切る時が来るから
寄り添う気持ちが
あるなら
同じ病を憐れんで
一緒に落ちてくより
先に登って
引き上げて
負け方知らない
無邪気さは
いつか
傲慢さに変わるから
足元を掬われたく
なかったら
振り返らず
突き進むより
転んだ人を
連れてゆけ
不可逆的に
壊れてしまった精神が
魂を虐げ弄び
逃げ場を狭めてゆく
まるで
羊を誘導するように
そこだけ
柵が切られて開いてる
焦らなくても
いつかみんな通るのに
最後の返事をしつこく迫る
その向こうが何もない
奈落の底であることも
知っているんだ
少しでも長く
忘れていたいだけ
優柔不断は延命装置
でなければ発狂しか
選択肢は残されていない
どの判断も
過ちとは呼べない
なぜなら過失は
また次がある事を
想定しているから
確信犯で逃げ延びて
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
欲しいものは
たくさんあって
本当に必要なものは
いくつもない
手に入らないのは
要らないからだと
思うことにした
目醒めても
覚えていないから
夢は見なかったのと同じ
荒唐無稽な
コラージュより
実現可能な
イマージュ描いて
眠れない夜を
眠らない夜に置き換えた
爪の根元の三日月が
白々しく朝の空に
取り残される前に
不必要を
切り棄てたら
パチン!と
意外に大きく
渇いた音をたてた
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
白いシャツに
蝶ネクタイ
優雅にキメた
タキシード
二足歩行で
ヒョコヒョコと
あまりのギャップに
癒される
何にもない空
それよりは
足ヒレつけて
飛ぶように
自由自在の
海の中
お魚たちと
鬼ごっこ
勢いつけて
ジャンプして
陸に上がった
ペンギンの
背中のファスナー
開けたなら
ちっちゃいおっさん
飛び出した
鳥のフリして
ほんとうは
笑い堪えて
飄々と
スローライフを
生きている
ご機嫌よろしく
ペンギンブギー