詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
心の芯に
火を点けて
溶けて
流れて
消えてもいい
暗闇に
安らぎ灯すから
自分の影に
怯えたりしないで
それは触れても
決して掴めない
幻だから
手を伸ばして
光ある方へ
命を燃やして
暖めてあげる
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
不器用で
非力な左手は
もう片一方の言う事を
聞こうとしない
利き腕は自由に
やりたい事するのに
左手は夢の中でだけ
掴みたいものを掴める
リアルは利ある者にだけ
優しく微笑む
だって
左利きのコーヒーカップ
なんて
誰も作ったりしないから
左回りの時計で
ぼくは時々
懐かしい場所へ帰る
乗り方は
知らないけど
いま
立ってるホームの足型は
白線を越えずに
踏みとどまっている
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有頂天になれるのも
自己嫌悪に浸るのも
たぶん他の誰よりも
自分が一番好きだから
呼吸困難なくらいに
貴方で満ち溢れても
私は私に溺れてる
私が嫌いな私を
貴方に好きになって
なんて言えないから
私の好きな私を
好きな貴方でいて
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
軽薄さを
コアに届くほど
厚く重ね着して
冬の季節に
引き籠もる
春になって
すべて脱ぎ捨てたら
その核心には
何もないことを
確かに信じてる
本当に
解け和えるのは
ライスグラタンまがいの
寡黙なミトコン・ドリア
ばっかしで
空回り滑るのは
発酵熟成を待ちきれず
饒舌に拍車をかける
バッカスで...
東北生まれでも
肥後モッコスでもない
要するに
ただのバカっす、わたし
かしこ
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
その妖しく儚い光は
命の微熱を宿した輝き
この痛みも忘却の網に
絡め取られていつしか
失われてゆくのでしょう
握り潰した記憶たちが
掌を開くと
トパーズ色の飛沫を
散らして滲むのです
あの夏の初めての夜
開け放した窓から
ふわりと迷い込んだ蛍
同じく明滅したのは
ふたりの鼓動
指の隙間から
零れ落ちる時の砂
刻み付けた
いくつもの場面は
時空の海に流れ去って
闇に隠れて
姿を見失ってしまうけど
光はあなたの在処を
教えてくれる
あの夜の蛍は
きっと空へ昇って
わたしを見守って
いるのでしょう?
あなたの傍で
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
少子化の
足りぬ人手を
埋めるべく
文化習慣異なれる
異国の土地に草枕
旅にし来れば
春は花
夏ほととぎす
秋は月
冬の白雪
麗しき
四季の折々
折り畳み
重ねし歳月矢の如く
気付けば吾子も学舎で
言の葉繁き若木なる
この地に根付き
行く末は花咲くらんと
夢うつつ
心躍る
楽しき日々は早足で
消える朝露日が昇る
斜陽の日の本この国に
故なき津波
わだつみの大海原を
越えて来て
逃げる間もなく
住む家も職も車も
奪い去り
すがる身寄りも
無きゆえに
家族肩寄せ思案して
われ取り上げし故郷の
産婆(サンバ)の国に
Adeusさらば
いざや帰らん
節分や
平成不況に
雨止まず
泣いた赤鬼
追い出すの誰?
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
One side game
永久に鳴らない
ホイッスル
審判さえいらない
雨天続行
あなたにゾッコン
One way love
言葉にならない
恋をする
友達ならいらない
捲土重来
あなたを頂戴
Seesaw game
不安にならない
ブレイクスルー
遊びならいらない
一期一会の
She saw love
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
詰まらない
経験が
誇りのように
降り積もって
呼吸を困難にする
詰め過ぎた
知識が
拘束衣みたいに
締め付けて
思考を停止させる
怯えた両足は
自由を拒むけど
増殖する想いだけが
無闇に羽ばたいて
雫は乾く場所を探してる
Crying,flying,drying
From the dark side
暗いと泣いても...Cry
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
真夜中に目覚めた
乳飲み子のように
閉ざされたドア
握った拳で叩くけど
傷が増えてくばかり
その向こうに
何があるのか
わからないまま
焦りだけが
背中に付き纏う
あなたが選ばなかった
わたしを抱えて
ただ立ち竦んでいる
弱さはあなたに
辿り着くための
灯火ならば
暗闇でいい
見えないものなら
手探りで掴める
この覚束ない足取りで
闇と光を
互い違いに履いて
今歩き始めよう
踏み出さなければ
1ミリも動かない
あなたが作った
わたしだけ
いない世界で