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矢井 結緒の部屋


[95] オプション2
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


負け癖ついた
優しさは
いつか
裏切る時が来るから
寄り添う気持ちが
あるなら
同じ病を憐れんで
一緒に落ちてくより
先に登って
引き上げて

負け方知らない
無邪気さは
いつか
傲慢さに変わるから
足元を掬われたく
なかったら
振り返らず
突き進むより
転んだ人を
連れてゆけ

不可逆的に
壊れてしまった精神が
魂を虐げ弄び
逃げ場を狭めてゆく
まるで
羊を誘導するように
そこだけ
柵が切られて開いてる
焦らなくても
いつかみんな通るのに
最後の返事をしつこく迫る
その向こうが何もない
奈落の底であることも
知っているんだ
少しでも長く
忘れていたいだけ
優柔不断は延命装置
でなければ発狂しか
選択肢は残されていない
どの判断も
過ちとは呼べない
なぜなら過失は
また次がある事を
想定しているから
確信犯で逃げ延びて

2009/08/30 (Sun)

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