詩人:綾 | [投票][編集] |
薄手のカーディガンを
パジャマの上から羽織り
ベランダで見る澄んだ月
ただ眺めるつもりが
あたしを振り返ったり
阿呆な妄想に走ったり
夜の魔力に負けていく
伸ばすと決めたのに
切ってしまった髪が
頬にかかり好い香り
未練なく好きになれる
にゃあお
闇に隠れて鳴いた猫
きっと格好いい黒猫
金色の目をした黒猫
にゃあお
甘ったれた猫撫で声で
月におねだりする
あたしだって
女の子したいの
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ひとり空を見上げ
澄んだ星空に冬を思う
まっ白い羽根が優しくて
泣き顔をかくした失恋日
強がりな私も
悲しい涙の音も
飲み込んでいく
こんな寒い季節も
私はきっと好きになる
春の私がふりむく頃には
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坂道のぼって
今日も暮らしに帰る
同じ色に町は染まるよ
ゆるる るる
君は待っているかな
外れた天気予報
お持ち帰りの傘
夕ご飯の匂いに
なんだか安心したりして
君は喜んでくれるかな
お土産の苺ショートケーキ
ただいま
雨ふらなかったね
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穏やかな海と
月明かりの下で
君を見つけた
密やかな時を握る夜は
優しい太陽に出会う
名前を呼ぶよ
悲しみを包んだら
潮風に紛れて愛しくなる
名前を呼んで
側にいたいから
強くても弱くても
ありのまま重なると
言葉のない声が打ち寄せる
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透きとおる風に
月夜の鳴き虫が触れる
さよならの恋のように
落夏地点を感知して
ふっと寂しくなった
夏の盛りが閉じてゆく
日焼けした肌に
過ぎた暑さを残して
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西日さして
傾いてく空
胸が焼けそうな切なさに
昔の話をこぼして
笑いで繋いでみる
きれいだから
つかまえきれない
そんなとこも好きよ
あなたのこと聞かせて
懐かしく染まった声は
まだ熱を含んでいるの
そんなときも好きよ
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呼吸を覚えた私は
雨の明けた夏空を泳ぐ
しなやかに再生して
きらきら満ちる光を
指先で揺らしてみる
そうしてみると
波の模様が目映くて
漲る力を実感する
さよなら涙
もう大丈夫
また笑うよ
まだ笑うよ