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望月 ゆきの部屋


[334] 空と足音のあいだ
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

呪文をおしえてください
あのひとまで、とどくような
たとえ とどかなくてもいいとさえ
思えるような
わたしを消してしまえるほどの
それは
風にも似て
耳もとをとおに過ぎてから気づく

聴こえた
と思ったそれは
足音、で
あのひとにとどくようなものでは
とうていなかった

足音はとどかない
足音は姿を見せない
足音は、だれの
足あとなら、よかったの


目に見えることだけを現実というのなら
わたし(わたしたち)はどこで存在しているのだろう
たしかにここにいるのだと
どれだけ叫んだら

手に触れるものだけを信じるというのなら
わたしはもう
呪文をさがすことなく
空と足音のあいだを、ゆく
風になって
今から、そこへ




2005/04/04 (Mon)

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