詩人:シゲヲ | [投票][編集] |
雨が降っていました。
その日はサンダルで、歩きにくい雨の中、友達に会いにいきました。
ザワザワと人混みの中を進みます。
色んな繋がりがあってそれを振り切って、裏切ってまでここに来ました。
当たり前だけど。
少し面倒でした。
歩みを止めればいいのに、止めらない。
いつのまにか・・・・・・そこの交番に立っていました。
そいつは酔っていて、自分が誰か確認できないほど弱っていました。
自身の邪魔をするものに牙を向き、敵対心をありありと見せる。
まるで野性の獣のように。凶悪な目で自分を睨んできます。
昔・・・・・・
誰かがつぶやきました。
「夢であるように、昔のことだけを思い続けたい」
自分は笑いながら、
「夢だろう?所詮」
「夢を抱えることが出来るやつはいいさ。俺は昔の夢しか見れないから」
「昔の夢?」
「楽しかった思い出を夢見る」
夢は過去を照らし、未来を作る。
彼は遠まわしにそう教えてくれたような気がしました。
その顔は一瞬笑って、
それに答えるように自分も苦笑しました。
「良く殴られたな」
それに彼は嬉しそうにつぶやきます。
「あー……また手が壊れた。変なもん殴ったからな」
「無茶するからだ」
「人生無茶してなんぼだろ?」
そうやって厄介な縁(えにし)は続く。
死ぬことさえなければ。
生きていれば何度でも続く。
「酒、買うか?」
「いい。十分身体に入ってる。それに……傷にしみるからな」
自分だけ酒を買って飲みました。
不思議に、その酒は身体にしみることはなく、
心に、しみついてきました。