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[84526] 秘密 鯨 勇魚+紅魚ver壱
詩人:松尾 優月 [投票][編集]

次に見上げる時には
もう、秋の色、曖昧だけど散歩には猫を連れていこう。
一礼して、お月様に
あいさつをさせよう。
ざわり打ち寄せる夜空に、
水色の林檎飴つけた水仙と、おおきなおおきな。
ごぅんごぅん、
と鳴るから、
手、とどいたなら
世界いっぱいに満ちたキミを抱き締め鳥居の奥に隠したい。
キミは、くるむ秋の風です。
柔くつつんで巻き上がり高い空に運ぶ、
大きな掌のそれです。
染まり(孕む)微かな水の気配が、
少しだけ、哀しい。
そして秋には、一枚、二枚と数えきれなくて裾を引きはじめる神社。
なんだか向かい合わせた
毛の生えた生き物の匂いが、します。
もうじきまぁるくなるよ。
一番おおきい夜だよ。
あたしたちも、
まぁるくなろうよ。
はやく、
はやく、
世界にきづかれないうちに。
じゃないとさ、
秋がキミを連れてっちゃうよ。
「つれて、っちゃう、ね。」
猫とこっそり内緒話。
どうやって
キミを宇宙に連れだすか。
(まずは、あたしがおつきさまをにらむでしょう、)
そうしたら月は目をつぶるから。
(ねこは、おつきさまをしばっちゃえ、)
その隙に、
その隙に、
空のキミと海のキミを、
すり替えてしまおう。

2006/09/19

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