| 詩人:黒木ミニー | [投票][編集] |
(ホセが近づいてくる)
酔って暴れたからかひどい怠さが体を支配していて俺は足の爪先から鼻の毛まで動かすこともできない状態にあった。雪があがったあとのぬかるんだ道を鼻歌を歌いながら歩いてくるホセ。ノックもせずに部屋に入り俺の顔を撫でる。俺の目が覚めているのを確認するとやつは指の先から粉を出してみせた、それはさらさらと小さな雪のように流れやがて大きな青狸となる。(俺は感覚を取り戻しつつあったのだが、黙ってそれを見ていることにした。)英語だろうか、ホセは悲しげに外を見ながら歌を歌う。歌っているあいだも青狸は増殖し、すでに床は青狸となっていたがホセは気にもしていないようだった。俺はゆっくりと立ち上がり蛇口をひねり水を出すと豪快にリベラが流れていった。細くて、笑いのたえないリベラだ。(HAHAHAHAHAと笑う大将の声が部屋に響き渡る、ホセは何も言わず歌を歌い続けている)蛇口から最後のリベラが落ちたあと俺は丁寧にリベラを拭てからホセを殴った。