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中村真生子の部屋  〜 投稿順表示 〜


[111] 幸せな約束
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昨日まで蕾だった
紫露草が
今日は咲いており
昨日まで咲いていた
クレマチスが
今日は散っていた。
「ありがとう、またね」。
花々の生と死の間に
幸せな約束が
こだまする。

2012/05/20 (Sun)

[112] 太陽と月と…
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1日の始まりの感謝は

人生を輝かす

太陽のごとく…。

1日の終わりの感謝は

人生を輝かす

月光のごとく…。

それぞれの心の中に

それぞれを輝かす

太陽と月と…。



2012/05/21 (Mon)

[113] 苺の旬
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緑の葉陰に

紅いルビーのように輝く苺。

旬は冬でもなく

春先でもなくちょうど今。

緑の葉陰に

紅いルビーのように輝く苺。

降り注ぐ

紫外線の多い光を浴びて

それから体を守る

ビタミンCをたっぷり備え…。

緑の葉陰に

紅いルビーのように輝く苺。

洗って口に入れれば

体の中から光を放つ。

紅いルビーのごとく美しく…。


2012/05/22 (Tue)

[114] 野の花
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何もお世話していないのに

そばを通れば

笑いかけてくれる野の花。

時には踏んだりしているのに

何でもないように

笑いかけてくれる野の花。

たくましくて優しい花

野の花。

きっと子どものころに

遊んだことを

覚えていてくれているのかもしれない。

バラも向日葵も

ましてクレマチスやクリスマスローズなど

知らなかったころ

花といえば

野の花だったから…。


2012/05/23 (Wed)

[115] 花物語〜巡る季節〜
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「愛しているよ」と花は咲き

大地に、空に、風に、雨に

佇むものの心に

ありったけの笑顔で

物語を紡ぎ始める。

時に饒舌に

時に控えめに…。

その紡がれた物語を

私たちは季節と呼ぶ。

そして

「ありがとう」と花は散り

大地に、空に、風に、雨に

佇むものの心に

ありったけの気持ちで

物語を刻む。

時に賑やかに

時にひっそりと…。

その刻まれた物語を

私たちは四季と呼ぶ。

野イバラはいよいよ白く

傍らには咲き始めた紫露草。

心の大地には

夕暮れの園の満開の桜。


2012/05/24 (Thu)

[116] 妖精の口紅
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リップスティックを

回して

紅を出すように

少しずつ

色を増していく

紅いバラ。

夜中にこっそり

紅さすのは

お年頃の

妖精たちか。



2012/05/25 (Fri)

[117] 山の社にて
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二礼をして集中する。

柏手を二つ打つ。

「神様、私はここに居ます」と。

その音は山にこだまし、

神様の元に届けられる。

手を合わせたまま

お祈りをする。

「いつもありがとうございます」と。

大きなものと一つになる。

安らかな気持ちになって

一礼する。

たたらの里

奥日野の小さな社にて。



2012/05/26 (Sat)

[118] 都合山たたら跡
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山道を登って下り

いよいよ山に分け入る。

前日の雨が染み込んだ

ふわふわの森を歩く。

パイプを連ねた細い橋を渡り

少し行くと

木々がまばらになった場所があった。

江戸から明治にかけて

全盛を誇った奥日野のたたらの一つ

都合山(つごうやま)たたら跡。

炉の跡、砂鉄の洗い場跡、

鍛冶場跡、金屋子神社跡…。

建物があった場所は

窪地としてのみ姿をとどめ

今はそれも

コケやシダのすみかとなっている。

説明や立札がなければ

きっと気遣いに違いない。

けれど

ひっそりとした森で

往時の活気とにぎわいを感じたのは

私だけでないに違にない。



2012/05/27 (Sun)

[119] 小さなご褒美
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いつもより丁寧に

掃除をしたら

棚の下の

キャスターの陰で

100円を見つけた。

そういうことか。

そういうことだね。



2012/05/28 (Mon)

[120] 雨の日に咲いたバラ
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雨の朝に咲いた
バラをあなたに。
今年
最初に咲いた
桃色のバラを。
激しい
今朝の雨のように
深い悲しみの最中にいる
あなたに。
あなたに似た
美しいバラを。

2012/05/29 (Tue)
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