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中村真生子の部屋  〜 投稿順表示 〜


[141] 赤い実と黄色い実
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緑の葉陰に

赤い実と黄色い実。

赤い実は

元気のお守り。

黄色い実ば

幸せのお守り。

今年も

垣根に実った

おいしいお守り。

そっともぎ取りほおばれば

梅雨曇りの空の下

夏がにわかに愛おしく。


2012/06/21 (Thu)

[142] 待ちぼうけ
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待ちぼうけ

待ちぼうけ。

けれど夕焼け空は美しく

この空を

待っていたことを思い出す。

待ちぼうけ

待ちぼうけ。

けれどそよ吹く風は心地よく

この風を待っていたことを

思い出す。

待ちぼうけ

待ちぼうけ。

なんて幸せな待ちぼうけ。


2012/06/22 (Fri)

[143] 心の窓
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静かに目を閉じ

歩いてきた道のりを

振り返れば

道の途中が

陽だまりのように温かく…。

静かに目を閉じて

歩いてきた道のりを

振り返れば

そのありがたさが

少し深いところでありがたく…。

静かに目を閉じ

振り返えれば

薄闇の中で

心の窓が開いていく…。



2012/06/23 (Sat)

[144] カンタ! ティモール
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彼らの悲しみは

昨日の私たちの悲しみ。

彼らの悲しみは

明日の私たちの悲しみ。

彼は歌う

悲しみが癒されるよう。

彼は歌う

悲しみが喜びに変わるよう。

彼の歌が森に響く

神々の住む森に…。

彼の歌が大地に響く

血と涙に染まった大地に…。

「カンタ(歌え)! ティモール」。

世界に

新しい夜明けを

告げるために…。


2012/06/24 (Sun)

[145] 木に伝わる詩
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人間が言うところの太古に

父と母は5人の子どもを産んだ。

母はすべてを与え

父はそれぞれを導いた。

人間が言うところの

時が流れている間

木はいつも詩っていた。

父と母のことを…。

けれど木は切り倒されて

詩を忘れた者たちは

きょうだいたちに刃を向けた。

直接的にあるいは間接的に。

残された木は詩う。

「父はひとり、母はひとり」と。

だれもが

母なる海と父なる太陽から

生まれたきょうだいなのだと。

伝え聴いた男は詩う。

東ティモールの森のそばで。

「父はひとり、母はひとり」と。

それ以上はなく

それ以下もないという

澄み切ったまなざしで…。

傍らで子どもたちが

笑ながらその詩を聴く…。


2012/06/25 (Mon)

[146] 向日葵さん
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明るい笑顔と元気な声と…。

彼女がやってきて

みんなの心が輝いた。

彼女は

あふれんばかりのエネルギーで

自ら楽しみ

みんなを楽しませた。

通りの花壇の向日葵は

まだ固い蕾だったのに

もう向日葵を見た気がした。

太陽に向かってすくっと立ち

満面の笑みを向ける向日葵を…。

彼女は

確かに向日葵だった。

私の心に

夏の太陽を連れてきた。


2012/06/26 (Tue)

[147] 「おめでとう」
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それは

一瞬の出来事だった。

彼は笑った。

取り繕う間もなく

気持ちを放って…。

初めて見る彼の笑顔は

完璧な笑顔だった。

どんな厳しい審査員も

10点満点を出すような…。

彼は笑った。

世界でいちばんの

幸せ者のように…。

心のシャッターを切った。

その傍らには

笑顔がもう一つ…。

今こそ言おう。

「おめでとう」と。

心よりの祝福を込めて…。



2012/06/27 (Wed)

[148] ありふれた奇跡
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互いが互いのそばに

たた佇む

庭の花たちよ。

心の笑顔を絶やさず

互いが互いのそばに

ただ佇む

人々のように…。

仰ぎ見れば

青い宇宙ときらめく光。

緑の草木も喜びぬ。

今ここにある奇跡を…。

互いが互いのそばに

ただ佇みながら…。



2012/06/28 (Thu)

[149] 転がる石
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山を離れた石は

勢いよく転がり始めた。

尖った角が山肌にぶつかると

思わぬ方向に転がり

違う角をぶつけた。

そしてまた思わぬ方向に転がり

また違う角をぶつけた。

石は飛び跳ねるように

転がっていった。

「なんて気まぐれなやつなんだ」

見ていた木が言った。

石は痛かった。

石はいろんな角を

何度も何度もぶつけた。

やがて角は角でなくなり

石はころころと

気持ちよさそうに転がった。

もう痛みを感じなかった。

あの夢のような日々が

そうさせてくれていることを

石は知っていた。



2012/06/29 (Fri)

[150] 時のグラス
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早いもので

今日で1年の半分が終わる。

明日から後半の始まり。

「もう半分しか残っていない」。

「まだ半分残っている」。

“半分のグラスの水”に

想いを馳せながら

残りの時に想いを馳せる。

「もう半分…」。

「まだ半分…」。

注ぎ足すことのできない

グラスの時に思いを馳せれば

残りの時がゆらり輝く…。

ロンドン塔のダイヤモンドのように…。


2012/06/30 (Sat)
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