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夕凪の部屋  〜 投稿順表示 〜


[176] 旅の空
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 あの日の
 お侍様は


 知っていたの
 でしょうか ─‥






 檜の僅かな
 香だけを残し


 何を言葉に
 するでもなく


 ただ静かに

 過ぎ去って
 行った ─‥








 この旅の空は

 晴れ渡る
 ことでしょう ─‥








 頬を伝うもの ‥


 これは涙では
 ありません ‥






 あの日

 夕日の向こうへと
 消えて行った


 あなたの背中が
 反射させた




 その眩しさが
 露となり

 届いたのです ─‥








 お侍様 ‥

 届くでしょうか ─‥








 私の空が
 晴れ渡る日


 あなたの空も
 晴れ渡り






 長い旅路の中


 変わらず
 健やかで

 あります様にと ─‥。








2012/02/29 (Wed)

[177] 生きる意味を教えてくれた母へ
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 お母さん ‥


 私に優しさを
 教えてくれて

 ありがとう ‥






 私に幸せを
 与えてくれて

 ありがとう ‥






 低酸素脳症の
 苦しみの中で


 必死に
 生きてくれて

 ありがとう ‥






 私の言葉に
 応えようと
 涙を流し


 唇を動かそうと
 何かを伝えようと


 必死に
 想いを残そうと
 してくれて

 ありがとう ‥








 私 ちゃんと
 幸せに
 なるからね ‥






 お母さんが
 望んでくれた


 本当の幸せを
 精一杯

 生きていくからね ‥








 お母さん ‥


 世界一優しくて
 強い魂を持つ

 お母さん ‥






 お母さんの娘で
 いられる事


 こんなにも
 感謝してるよ ‥






 誰よりも温かく
 正直で
 純粋なお母さん ‥






 あなたの娘で
 在り続ける事が


 この上なく
 幸せです ─‥






 お母さん ─‥


 生きていてくれて
 本当に

 ありがとう ─‥。








2012/03/01 (Thu)

[178] 高く澄んだ空を見上げて─‥
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 幸せの答え探し

 それは
 何処にいようと
 例え寂しさに
 時に目を細め
 滲んでも

 生きてゆく限り
 長い時を経て
 やがては
 知るのだろう ‥

 故郷を去り
 新たな風を受け
 遠い空の下
 大切な家族
 そして友へと
 強く想い
 馳せ続ける ‥

 懐かしさは
 鮮明なファインダー
 愛しさは
 透明な笑顔の先

 空は果てしなく
 繋がり合うという
 僅かばかりの
 望郷の念 ‥

 どうか
 幸せであれと
 願う心を抱き
 私は今、
 踏み出した道を
 愛そうと絶えず
 誓いを新たに
 生きている ‥

 もう一度の
 人生を
 生まれ変わる様に
 生きている ─‥

 愛する人と共に
 この街を
 かけがえのない
 故郷へと
 変えていく ─‥。









2012/05/28 (Mon)

[179] 蝉の声
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後悔だけは
残さぬようにと
日々努め

涙を流すなら
止めどなく
泣くだろう ‥


人間らしさ
その本当の愛に
気付いた時、

私はこの上なく
不器用に
振る舞うのだ ‥


生と死を
受け入れる時
何故か穏やかな
感情で

ひどく
泣き続けたの
だった ─‥。








2012/07/24 (Tue)

[180] 全てが色を変えようとも ─‥。
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あの頃が
あの頃から
手を振っている ‥

風の匂いが
違えども
雲の流れが
変われども

この地に
射す夕陽は
この胸に
抱く笑顔は
変わらない ‥

何一つ
変わりはしない ─‥


君が
歩み続ける今に
幸あれ ─‥。








2012/08/17 (Fri)

[181] 潮風に逢いに行く日
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夕立の後に
綺麗に架かる虹

そんな景色に
キラキラと
瞳を輝かせ
見上げる


故郷の友の
嘘のない言葉

落ちる涙もまた
嘘のない涙 ‥


明日が晴れなら
懐かしい浜へ行く

明日が雨なら
古家の窓越しの
見慣れた路地を
散歩しよう ‥


どこに居ても
潮の香りは
届いてくるよ ‥

瞳を閉じれば
そこはいつでも
温かな
海辺の町になる ‥

いつでもそこで
愛する人達が
待っている ─‥


この町が
私の
帰れる場所 ‥

潮風の町
私のふるさと ─‥


たとえ離れていても
愛している ─‥

温もりが
聞こえてくるんだ ─‥。








2012/08/20 (Mon)

[182] ただ一度の贈り物
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私が二十歳の誕生日を
迎えた時、
生まれて初めて父が
プレゼントを
買ってくれた‥


兄2人の兄妹の末っ子
そんな私は
それまでずっと
男の子みたいな
格好ばかりしていた


そんな私が成人した時、
父が意を決した様に
「買い物に行くぞ」と言い
母と私を連れて、
大きなモールの時計店に
づかづかと入って行った‥


「成人のプレゼントやから、お前の好きなのを選べ。」
と言われ、選び始めるも
私が選ぶ物はどうしても
兄譲りの
男性的なデザインばかり‥

見かねた父が
「お前が選んだらあかんなぁ、これにしろ。」
そう言って手渡してきた
時計は‥

当時の私には
付けるのが
恥ずかしくなる様な
華奢なシルバーの
上品な時計だった。


先日、古い荷物を
整理していたら、
いつの間にか
無くしてしまったと思っていた
その時計が出てきた‥


電池はとうに切れ
動きはしないけど、
あの日の父の
少し照れながら
選んでくれた顔が

そしてその父の隣で
優しく見守る様に
微笑んでいた母の顔が
鮮明に思い出された‥


父からもらった
プレゼントは、
これまでの生涯で
あの時計一つだけ‥。


正直言うと
当時は恥ずかしくて
あまり付ける事を
しなかった‥

でも、今の私には
とてもしっくり
馴染むのだ‥


もう一度この時計を
動かしてみたいと思った‥

あの日の両親の
私という娘に対する
温かな想いが
今になって
私に浸透した‥


これからは
この華奢な時計を
大切に身に付けて
あの時の
両親の気持ちを胸に

娘としての
愛を返しながら、
時を刻んでいきたいと
思った─‥。








2012/09/04 (Tue)

[183] 秋の蝶
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あなたが
この世を去った
七日目の午後

部屋の窓を開けた
私の傍に
綺麗な黄色の蝶が
ヒラヒラと
この体を
包むように訪れた‥

それは優しく
私の寂しさを
慰める様に
しばらく私を
包み込んだ後

西の空の方へ
飛び去り
気づけば
あっという間に
見えなくなった‥

あれは
あなたですね‥

西の彼方の
極楽へと
旅立つ前の
最後の母の優しさ‥

そう感じたのです‥。

その日の夜、
浅い眠りに
いつの間にか
泣いていた私の

右の手のひらを
トントントンと
温かな指先が
何度となく
触れたのです‥

あれもきっと
あなただったのでしょう‥

あの感触は
確かにあなたの
指先でした‥

私は
あなたの死の
その最期の
安らかな顔を
見たとき

生まれて初めて
人の生きる意味を
知ったのです‥

それは全て
最愛のあなたが
見せてくれた
贈り物です

苦しみや哀しみ
そんな感情さえ
感じさせない
神々しい死に顔を見て

私は心から
あなたに
感謝の涙を
流しました‥。

寂しさは
訪れるでしょう‥

もうあなたの
亡骸さえ
触れる事は
出来ないのだから‥

それでも
あなたは
生き続けるのです

八百万の神と共に
私の傍で
風となり
光となり
時には雨となり‥

全ての神と共に
あなたは
私を包むでしょう‥

あなたの‥
お母さんの魂は
目には見えずとも
感じられるのです‥

息を引き取る直前
最期の瞬間に
あなたが流した涙を
私は忘れない‥

どうか‥どうか‥
安らかに穏やかに
その魂を解き放ち
お眠り下さい‥



ありがとう‥
ただ、ただ
ありがとう‥

あなたは
私が一番愛した人‥
最愛のお母さん‥

ありがとう‥

ごめんねじゃなく
ありがとうを
心から伝えたい‥

あなたの生き様の
その強く優しい
生涯の全てに

ありがとう‥。
本当にありがとう‥。

あなたの娘に産まれ
大切に育てられた
この命を
私は繋いでいきます‥。

お母さん‥
本当にありがとう‥。

2012/09/30 (Sun)

[184] 生き急ぐ人々へ─‥
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死とは必ず
訪れるものです

誰しもいつかは
乾いた骨と
なるのです‥

死にたいと嘆く
苦しみの人々よ

いつか必ず
死ねるのです


だから
生きて生きて
生き抜いて

死にゆく人生に
美しい涙を
流しませんか‥?


大丈夫
人は皆平等に
死にゆくのだから‥


そしてそれは
終わりであり
また
始まりでも
あるのです─‥。








2012/10/16 (Tue)

[185] 散りゆく秋、息吹く春
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長く続いた苦悩の日々を
なぜだろう
懐かしくさえ感じ
穏やかに泣けるのだ‥

空ばかり見上げて
語り掛けるのではなく

時には
目の前を吹き抜ける風に
目を閉じ感じる‥

この世界にある
この世界を繋ぐ
様々な愛、憎しみ
悦びや苦悩‥


脱け殻の様な
この頼りない心に

あなたはそれでも
優しい温もりで
新しい力を宿すだろう‥


儚く散りゆく秋
また新しく息吹く春‥


あなたに逢いたいと
願うだび
私は春を待つだろう‥

冷たい冬を
乗り越えたその時
私はきっと

あなたを知るだろう‥
あなたに逢えるだろう‥


その木漏れ日のような
はにかんだ笑顔を
残した言葉の優しさを

春を待つ私の心は
募る逢いたさに
幾度も涙を流す‥

それでも今は
静かに春を
待ちたいのです‥

再び愛を導く為に‥
何度も命を感じる為に‥。








2012/10/21 (Sun)
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