僕の何もかもすべてを



見られてもいいと思ったのは



君だけだ

僕の髪が
風に靡くたび
君は僕の心が変わると
不安になるの



君の目の届く範囲で
僕は微動だにせずに
立っているのに



風が揺らす
コートの裾にまで
不安になってしまうの？


僕は風に飛ばされるほど
薄っぺらな紙切れに
見えてしまうの？

なんだ



僕が疑われていたんじゃなくて



君にいい人できたんだ？



僕よりもいい人が



そういうこと？

いつもみたいに


じゃれあいながら


何気に歩く


並木道




特別じゃないけれど


最高にうれしい



ほんのひととき…



一晩に



同じような夢を


何度も見たんだ

かの魔法使いは
魔法は使えぬが
彼の予言は
必ず現実となる

ほら今まさに

「くたばれターミネーター！」

最新式高性能の
ターミネーターの
眼の輝きが
消えてゆく

一時期の高騰は
どこへやら

地価はぐんと
下がっているのに

ペンペン草の生えた
痩せた地だろうが
御構いなしに

新宿一等地並みの
価格じゃないと
売らねえや

そんな頑固じじいの
土地が僕だから

お買い得が好きな
君には
見合ってないよ

君がいきなり
振りほどこうと

繋いだ手をブンブン
振り回すから

勢い余って
手を離しただけで

僕が裏切り者？

はあ？

何ヶ月も前から
「一番傷つける
最高のラストシーン」を
考えていて


「年内のクランクあっぷを
目指していた」なら



エンドロールも
さぞ艶やかなことだろうね？



だったら
もう泣き言言うなよ



僕はもう映画は
観ない

手のひらと手のひらで
包み込むように
手を繋ぐのも
いいけど



指と指で
プチ手繋ぎも



いいよね？

僕のこと










ちゅきでちゅか？