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高級スプーンあと何年の部屋  〜 新着順表示 〜


[121] 関係のない話
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街灯のない
知らない道を歩く
この手の絶望を
味わっても
朗らかに笑える人
には描けない
あなたの絵が好きだ
争いが苦手でも
ナイフを握れば
それ以上に鋭くなる眼
生きるのが苦手でも
捨てられずに
執着するのがお前だ
心奪われても
命までは捧げられず
程度が知れる好意に
笑顔も引き攣る
あなたには関係ないけれど

2023/02/01 (Wed)

[120] 不発の念
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その軽んじた選択の先に
幾千幾億の可能性を
ふいにしようとも
適当に済ませようとする脳
真面目に使わねえのなら
今すぐ吹っ飛ばさせろよ
出来もしないことを言う
お前は私
どこまでも落ちていくのは嫌か
一緒にされるのも
その瞳に光が宿るのは何故か
どこまでも空虚な己を前にして
鏡には映らない輝きを
誰に見出す
お前は私じゃないのか
潤む瞳
流れる一筋の灯火
か弱くとも枯れない理由が
悲しむ原因だろうが
諦めて離れてしまえ
そうすれば
楽になれる
楽になれるのに
冷めない夢に縋り
生ける屍に帯びる熱
這い上がるのは苦痛でしかない
それでもお前は私を見て言う
まだやれると

2023/01/30 (Mon)

[119] 案山子
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ある日
棒立ちの案山子が
弧を描きながら
未来に向かって歩き出した
後退るカラスは夢の中の僕
占うまでもなく報せは不運
視点の変化を求めても
開く距離は縮まらぬ
良い塩梅の泥濘に
足を取られれば
阿呆のカラスが腕に止まり
次はお前かと啼いた

2022/12/18 (Sun)

[118] 悪あがき
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部屋の温度で
季節が変わるのを感じる
桜も枯れ葉も散らない室内
ここで何をしているんだろう
何もしてないんだよな
世間から見れば
生きているのかどうかも怪しく
そもそも怪しまれるほど
ご近所にすら認知されていない
汚れていく部屋と身体が
時間の経過を
否応なく通知してくる
何の意味も成さずに
また一年が終わりそう
ため息を吐くだけの人生なら
さっさと死ねよ
それでもまだ続けるなら
どうしようもない
一生苦しめ


2022/11/14 (Mon)

[117] 渇き
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毎日「死にたい」と願う日々を
「生きたい」と望む人はいるだろうか
どんな試練を乗り越えれば
「生まれてきて良かった」と
心が歓喜するだろう
泣くほど嬉しい体験があれば
満たされないと苦しむこともなかったか
形のない虚無感
そこまで器は大きくないのに
いついつまでも枯渇している
表面化しない飢えは生き地獄
ひと思いに殺してくれない
毎日「死にたい」と思う日々を
生きている
体は健康そのもの
贅沢な病だと云われたら
返す言葉もなく
誰にも言えずに
人知れず苦痛を受け入れる
喜びのない生を今日も歩む

2022/10/23 (Sun)

[116] daydream/50
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ああなんか
これさっきも
やったような

景色の彩りや時間が
生活と乖離して
壁の向こうから
聞こえる声
邪魔するものを
遮りたくて
五感を塞ごうとする
両手じゃ足りない
けれど面倒で
浅瀬で眠り
吐き気で目覚める
半覚醒で過ごす日々
刺激的なニュースも他人事で
昨日と同じような呟き
吐瀉物に血が混じる
無味乾燥な感想を世に遺して
去っていく今日
取り返しがつかなくなったと
喚いたのは
昨日みたいな昔の話で
逆転の明日を夢に見て
白昼にふらつく不審者
味気ない微睡みじゃ
誤魔化しきれない現世さ

2022/10/16 (Sun)

[115] ミュート
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1000万再生された
愛の歌を
あなたは知らない
大衆を前に
どれだけ愛を叫んでみても
隣にいる
あなたに届かない
フォロワー数と引き換えに
わたしを愛してくれないか
誰にも嫌われたくないのと
誰かに好かれたいのは違う
その違いを目の前で
明かしてみても
あなたは上の空
隣にいる
けど
ここにはいない
シンプルに通じないから
気持ちばかりが複雑に
再生回数と
フォロワーばかりが増えていく
あなたから
フォロバされても
届かないなら
喜べないわ

2022/10/06 (Thu)

[114] マイノリティを叫ぶな
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食べる行為が苦手で
眠る行為が苦手で
性行為なんてもっての外
雑踏の中
歩みを止める人は少なく
精神疾患
病名は数知れず
錠剤は数多く
お薬手帳は今日も忘れた
だけど
私の前で
ジェンダーの話をするな
多様性について語るな
マイノリティを叫ぶな
理解されなくていい
歩み寄らなくていい
押し付けがましい平等だ
知ったかぶった講釈だ
可哀想だと思うのは勝手だが
差し出すその手はハラスメントだ
「構わないで」
「放っておいて」
本気で言ってるなら
今すぐこの詩を破り捨てろ
その姿
その想いを
人目に晒すな

2022/09/29 (Thu)

[113] 不気味の谷の君
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次に付き合う人は
君と対照的な人が良い
理想を入力して
創造された君が好い
その瞳に光を宿し
笑顔でも笑っていない
人の心などわからない
それで善い
誰も悲しまなくて済む
誰も傷つかなくて済む
罪悪感は抱かない
一方的に愛すから
不気味の谷を越えるな
歩み寄るのは僕だけで

2022/09/28 (Wed)

[112] 名付け親を探して
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愛おしく感じていたのは
第三者だったからで
遠くから見て楽しんでいた
間違いがあってはいけないという
考え自体が間違いで
過ちを犯し続けて
犯している間は
さぞかし気持ち良かったんだろう
と今も同期できない
自分の心に欲望にさえ

美味しいものはないか
肉を食べた
女も食べた
どれも知った味覚ばかり
これ以上はないか
これ以上はないか
異常はないか
正常でした
病気と呼んでくれなくていい
ただ
名前を呼んで欲しい
カテゴライズして欲しい
あのオリの中にいる奴みたいに
愛されたいんだ
それはお前で
それもお前だ
どおりで
キャッチボールが出来ないはずだ
自分を騙せるくらいに
自分を羨ましく思いたかった
望んでいないくせに
全て知っていて全て拒んでいる
見ていたんじゃない
見られていた
オリの外から
欲情した眼で
こっちを見るな

2022/08/21 (Sun)
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