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猫の影の部屋  〜 新着順表示 〜


[527] 満たされる恋。
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許されない恋をするなら
それはとても幸せなこと

傷つくことも
傷つけることも
どれも浅く弱く
戯れのよう

ただその人の笑顔
それだけのために
今日を生きることができる


報われない恋をするなら
それはとても美しいこと

恨みやつらみ
妬みも嫉みも
すべて諦めて
受け入れられる

ただその人の幸せを
それだけのために
日々を生きていくことができる




何も望まない
何も要らない
あなたすらも
求めない

だからただただ
幸せでいて
笑顔でいて

それだけを祈っている

2013/09/03 (Tue)

[526] 黄昏の向こうがわ。
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落ちた恋のことを
いくら考えてみたところで
その吐息はもう確かにあって

畳まれた洗濯物
奏でられる三重奏
空振るバット

世界は不思議とそのまま停止して
触れた感触はざらりとしたまんま
闇の中へ溶けていく


落ちる恋のことを
あれこれ切り貼りしてみたところで
その消息は確かに聞こえていて

洗われた食器
岩に染み入る蝉の声
空を切るバット

世界は平然と世界然としていて
空に手を伸ばしても掴めない
溶け出す闇を掬う



落ちた恋のことを
いくら考えてみたところで
その吐息はもうそこに在って

2013/08/15 (Thu)

[525] 林檎と涙。
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ポロリ落とした林檎が

グシャリ音を立てて地に散った

涙が出た

林檎の為じゃない 自分のために泣いた


生きるということは、

産まれて

熟れて

そしてポロリと落ちて

グシャリと散ること

そんな単純なこと

そういうシンプルなこと


涙を落ちるままに砕けた林檎を片づけた

箒で掃いて

洗剤を付けた雑巾で拭いた

林檎のあった場所には何も残らない

香り一つも残さない


生きるということは きっと そういうこと

きっと そういうことだ


2013/07/14 (Sun)

[524] 心象。
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小さくため息
まただ、よそうとおもってたのに。

深い深い緑
まただ、この季節がやってきたんだ。


くりぬいたようにぽっかりと

あの日々の感情が虚しくなっていって


春の終わり 夏の始まり

僕の心は微笑みを忘れている。




ふわりと一息
まただ、うまく煙が吐けない


焼き払ったように荒涼と

僕の感情はくすぶりもしなくって


春が終わり 夏が始まる

心はただうつむいている。




2012/05/12 (Sat)

[523] 前進む。
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ふわりと笑顔になる僕 

何を思ったのかは忘れた

くるりととける煙

何本のんだかは忘れた



過ぎ去った時間

擦り切れるほど再生

繰り返して繰り返して繰り返した

で、またどっか

またどっかへ



2012/04/28 (Sat)

[522] あいのうた。
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ぼくはぼくのうたうたう。

いつかきいたメロディにのせて。

ぼくはぼくのうたうたう。

君への想いものせてさ。


君の顔を僕はあまり好きじゃない
どちらかというともっと小顔がいいな。あと受け口じゃないほうがいいし、ええと、もっとシュッとしてるのが好きなんだ。



ぼくはぼくのうたうたう

いつかきいたメロディにのせて

ぼくはぼくのうたうたう

君への想いものせてさ。


君は靴した半分抜いで歩くのが好き、さらにそれを布団の中で脱ぐのが好き。亀と話しては笑い、亀から僕に挨拶をさせては笑い、かなしそうな顔したかと思うと笑う。

そんな君が好きだー

そんな君が好きだー

ぼくはぼくのうたうたう

いつかきいたメロディにのせて

ぼくはぼくのうたうたう

君への想いものせて。

2012/04/07 (Sat)

[521] gentoh.
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あのときの笑顔も笑い声も、
あのときのぬくもりも安らぎも、
安心して きっと色あせて きっと忘れてゆけるから

あの日見た夕焼けや夜の星も、
あの日見た幻や未来も、
安心して きっとすり切れて きっと消えてしまうから

ありあまる喜びも
零れ落ちる哀しみも
抱きしめたい幸せも
噛み締める苦しみも
いつか いつか いつかきっと
いまに いまに いまにそっと





歩いてゆく

2012/04/03 (Tue)

[520] 発光ダイオード。
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足取りが重いのは疲れているだけじゃないはずで

発光ダイオード

目に染みるのは 特に意味がないみたい

目線を落として歩くのは、特段首が重いってわけじゃ

発光ダイオード

ところどころ切れているのにも
多分意味なんてない



滲んだ光のように なあ

描いたはずの夢のカケラ

今まだポケットに入ってんだ

どうしたらいい なあ

どうしたらいい



ため息が多いのは苛つくことが増えただけってわけでもなく、

発光ダイオード

この光はどれくらい息が続くのだろうって、

また意味のないことを



滲んだ明日を なあ

描いて捨てた夢のカケラ

まだ集めて重ねようぜ

たまにはいいじゃないか

たまにはさ

いいじゃあないか。





発光ダイオード

今日も小さく輝くんだ

2012/01/03 (Tue)

[519] もどらないひび
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残った傷痕をなぞるように

過去を目蓋の裏にあぶりだす

切ないほど気持ちよく僕は笑い

その隣には君がいる


君の残像を愛でて

足りない部分は苦痛で埋めて

マゾヒスティックなやり方で

少し自棄なのかもしれない

それでいいと思う


あり得た未来を下手なタッチで描き出しては破り捨てる

そのチクリとする執拗な痛みが心地よいのか

足は一歩も前に出ない


悲劇的に自己愛的な生き方をしている

2011/09/06 (Tue)

[518] ブラインドの隙間。
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星はどこかに押しつぶされて

月の光は届かない


矛盾や裏切りを抱えて

僕らの胸はジクジクと痛む

傷口はうまく塞がらない


君の笑顔やよく汗ばむ手の平も

その全てを抱きとめたくて

どんなに血が流れても

そのために何を失っても

それだけは守りたくて



生命はまんまと削ぎ落とされて

声もふるわない


思い込みも真実すら呑み込んで

僕らの胸はジクジクと痛む

傷口はいつまでも濡れている


君の声もよく涙流れる目尻も

その全てを受け止めたくて

どんなに馬鹿げていても

そのために蔑まれても

それだけを守りたくて



矛盾や裏切りを抱えて

僕らの胸はジクジクと痛む

傷口はうまく塞がらない

それでも、僕らはこの手を離さなかった

離せなかった、この手だけは

2011/07/22 (Fri)
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