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番犬の部屋  〜 投稿順表示 〜


[41] 街の路上で 上
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街の路上で思ったんだ
靴底はどれほどすり減ったのかなって
街の路上で思ったんだ
ネオンがあんまりにも悲しかったから

街の路上で思ったんだ
退屈も怠慢も隣に置かず
街の路上で思ったんだ
孤独と俺の二人きりで

街の路上で思ったんだ
ゴミくずだらけの祈りに満ちた
街の路上で思ったんだ
月は全部を見ているのかなって


街の路上で思ったんだ
街の路上で思ったんだ
街の路上で思ったんだ


灰色に飛び散る冬の姿を
コンクリートの街の上空で見つけた
希望も情熱も失ったカラスが
風の吹かない街を飛ぶのをやめて
上空を見つめているのを見つけた
もうあそこには行けないのだと
諦めを浮かべたくちばしの向こうで
ぽとりと落とした宝石を


街の路上で思ったんだ
氷点下の冬に抱き合う相手は誰かと
街の路上で思ったんだ
そいつは肉体を持たないけれど

街の路上で思ったんだ
そいつだけは俺を裏切らない
街の路上で思ったんだ
今も隣で震えて凍える

街の路上で思ったんだ
孤独だけが俺の頼りだと
街の路上で思ったんだ
ネオンの虹がまた咲いてるって


街の路上で思ったんだ
街の路上で思ったんだ
街の路上で思ったんだ


慣れ親しんだ心地よい空気を捨てた奴の
安上がりなアクセサリーは売っても
媚びだけは売らないと決めた奴の
一歩踏み込んだ奴の足にブルースを
寒さに震える奴の心にバラードを
街の路上でしか見つけられない
そんな汚れたストーリーの主役達に
時代の影で忘れられてく悲しみを


続く

2006/11/21 (Tue)

[42] 街の路上で 下
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街の路上で思ったんだ
見飽きるほど見上げた星のない夜空を
街の路上で思ったんだ
街灯の切なさがやけに輝いてる

街の路上で思ったんだ
この世界全てが俺にとっては
街の路上で思ったんだ
月だけが見守る孤児院なんだと

街の路上で思ったんだ
宇宙の命は長いけど
街の路上で思ったんだ
この冬を越えられない寒さの犠牲者を


街の路上で思ったんだ
街の路上で思ったんだ
街の路上で思ったんだ


すり減った靴底に穴が空くまでは
まだまだ歩き続けなきゃならない
この街のどぶ川の匂いや生き物や
光の交差点と明け方のスピリットや
くたばってしまったちっぽけな虫けらや
逆らい続ける奴だけに見えるビートや
ピートの香りがきつめなモルトで
俺はまだまだ流れていきたい


街の路上で思ったんだ
踊る事に疲れきって向かう先は
街の路上で思ったんだ
とても冷たい路上の温かさだって

街の路上で思ったんだ
干からびたポスターと枯れ草は
街の路上で思ったんだ
この冬に捧げる秋の名残だ

街の路上で思ったんだ
夕暮れって奴はいつも泣けてくる
街の路上で思ったんだ
月は全部を見ているのかなって


街の路上で思ったんだ
街の路上で思ったんだ
街の路上で思ったんだ


俺は世界のどこにいるんだろうって


2006/11/21 (Tue)

[43] 無題
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まあ

なんとかやってますよ僕は

毎日楽しいです

ふざけすぎて怒られちゃって

ふてくされたりもするけど

楽しいほうが多いわけで

実感としてそれを意識した時

考えることは

たとえば

ちいさな花の種が

芽を出して

咲いて枯れては

種を落とす

みたいに

何かがあって

何かが起こる

そういう意味での

つながる ということで

どうにかこうにか

僕という存在は生きているんだろうな

と思ったり

たとえば

誰かの優しさを受けては

誰かに返す

誰かが誰かに返しては

僕に優しさが届くように

つながる ということで

どうにかこうにか

僕という存在は生きているのだと

まあ

楽しいですよ

ありがとうございます

それしか言えませんけど

誰に対してとかじゃなく

なんとなぁく

言いたくなる気分は

たぶん幸せと呼ぶんだと

勝手に思ってます

2006/11/27 (Mon)

[44] 告知
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俺の彼女は六年前は癌だった

すぐに取り除いたらしいが

それでも癌には変わらず

そして先週に健康診断の結果

再検査という通知が来たと

11月27日の午前3時

電話の向こう

本人の口から

ついさっきにそれを聞いた

告げる決意の恐ろしさに

震える声に滲んだ涙が

痛々しく

重い空気で呼吸が苦しかった

混乱した頭に断片的な情報

子宮周辺の癌だとは理解したが

それがどれほどの深刻さかは分からない

何も分かっていないのかもしれない

彼女が背負った物の重さも

これからの足取りも

何も分かりはしないのかもしれない

かけたい言葉が見つからず

気持ちだけが激しく泣いている

正体不明の何かを憎み始めてる

病魔という奴はあくまで静かに

足音もたてずに

人の内部に

心の内部に

強靭な悪意を持って忍び込むものらしい

それは邪悪で残酷な力強さで

俺達を蹂躙しようとしている

抵抗する手段は

病院の医者や看護士にすがる事

祈れる物全てに祈る事

それ以外には何も無い

俺にできる事はなにもないんだ

誰を責めることなんてできやしないのに

何度も謝る彼女が悲しく

他の人を探してと言われても

戸惑うばかりの俺は一体何様なんだ

2006/11/27 (Mon)

[45] 無題
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ひどく不安定

指がふるえてる

笑えない

時間が必要だ

さっきまでは楽しく会話してたんだ

急に閉じた窓に

雨が降り出して

感情が外に出られなくなったような

窮屈な感じ

もっと強い俺を必要としている

それは彼女がではなく

もっと強い俺を必要としている

それは誰よりも俺自身が

もっと強い俺を必要としている

ただそれだけだ


沈黙

2006/11/27 (Mon)

[46] 無題
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無情である事

それは運命の属性

俺と彼女の間に無情

俺は無力

2006/11/27 (Mon)

[47] 無題
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ちいさく頼りない炎

気まぐれな風に吹き消えそうな炎

それは人間

それは彼女で

俺の愛すべき女で

全世界にただ一つの美しい炎

残り僅かなキャンドルの炎だ

2006/11/27 (Mon)

[48] 無題
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もう書きたくもない

もういやだ

また失うのか

不公平だ

不公平だ

不公平だ

2006/11/27 (Mon)

[49] 無題
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お前の苦痛に満ちた顔

お前の不安に満ちた顔

お前のその細腕で

発掘された言葉

悲しき告知

その横で一心不乱

ペンを奮い紙を犯す

ろくでなし

そう呼ばれてもしかたがない

俺のペンは止まってくれない

それこそ死ぬまで

2006/11/30 (Thu)

[50] アミネ・カリル氏一家について
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皆さん
よく読んで欲しい
そして読み終わった後、この国の何かが間違っていると感じたなら、官邸の公式ホームページから意見を送って欲しい

俺は彼らの在留特別許可を願っている

アミネ・カリル氏
イラン人43歳
長女にマリアムという、来年の3月に日本の高校を卒業する予定だ
しかし、来年の1月12日までに国外に出るという意思を示す物(パスポートやイランへの航空券)を、関係官庁に提出しなければならない(事実上の出国手続き)

しかし、マリアムは2歳の頃に日本に渡ってきてから、日本人と変わらない生活をしてきた
確かに最初は短期ビザでの渡航だ
本当はすぐに帰らなければならなかった
でも過去はどうでも、今の現状を見てみれば
祖国語のペルシャ語は話せず、日本語を話し、部屋には浜崎あゆみのポスターが貼ってある、マリアムは普通の、本当に普通の女の子だ
当然友達だっているし、もしかしたら好きな人や彼氏もいるかもしれない
カラオケやネイルアート、服の組み合わせや部屋の模様替えや恋に悩む、一人の女子高生だ


そんな色んな絆や思い出や生活が、逆らえもしない力で変えられ引き裂かれる


こんな悲しみがあるだろうか
こんな国を愛せるだろうか
愛国心を持てと言うのは簡単だ
しかし政府が愛させてはくれない

俺たちが税金を納めるのは、決して官庁の建設や道路工事、議員のパーティーの為じゃない
弱き者が弱き者として、助け合い、慰め合い、作り上げた国を良くする為に納めているんだ

弱き者を見捨てる国など、一体誰が愛するって言うんだ!


お前らはどうだ?
自分の事でしか怒れないような小さな人間なのか?


俺は強く信じてる

詩人は声を上げ、叫び、血を流し、言葉に乗せ感情を伝える者だとな


もしも、だ
官邸の公式ホームページに意見を送るにしても送らないにしても、君らの時間を少しだけ割いて、この問題を考えて欲しい

2006/12/11 (Mon)
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