面影を探すくらいなら

夢で逢うことを願うくらいなら


ねぇ
逢いに行けない
そんな距離じゃなかったはずなのに

あんなに幸せな痛みは
これから

ねぇ
いくつくらいあるんだろう


キミの名を呼びたくて
呼びたいのに呼べなくて
リズミカルに吐き出される
小さくて高い悲鳴に紛れては



世界で一番幸せな痛みに
溺れては

朽ちるの

キミとの有り触れた毎日も
当たり前に描いてたいつかも


本当に有り触れているから
有り触れすぎているから

急すぎるキミとの別れは
寂しさよりも
悲しさなんかよりも



違和感でしかなかった


ねぇ
でもそれは
掛け違えたボタンのような
有り触れた違和感ではなかったけれど

今でも

キミの名前は一発変換

アボガドと
カモミール
バイクとドライブ
熱帯魚


それとチョコレート


キミがすきなものは
あまりにも
わたしの周りに溢れていて

仕方がないって言う貴方を
責められなかった


許したわけじゃない
悲しくなかったわけじゃない


貴方の中で終わってしまっていることに
抗う気力がなかっただけ

望むものほど僕らはそれを


哀しいくらい
信じていないけど

わたしが置き去りにしたの

置いてきぼりじゃない


そんなんじゃない
だから

敵わないと思い知り
朽ちたり

叶った瞬間色褪せる

そんな願いなら


夢見がちなあの頃のほうが
何百倍も幸せだけど

誕生日も
バレンタインデーも
七夕も
花火大会も

ひとりでだって過ごせるよ


でも去年キミと過ごしたクリスマスを
ひとり過ごすことだけは

今でも
できそうにない