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右色の部屋  〜 投稿順表示 〜


[64] 鏡の前で:鎌首 ミコト
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何時間かずっと
鏡の前に立っていた

鏡に映る
知らない誰か
どうしても思い出せなくて

ダレダロウ
ダレダッタロウ

とてもよく知っていて
とてもよく嫌っていて

それでも
ずっと長い間一緒にいた
そんな気がする

ダレダロウ
ダレダッタロウ

だんだんと
鏡に映る誰から表情が消えていき
口元には
とても嫌な笑みが滲んでくる

取り返しのつかなくなる
その前に

思い出さなくてはいけない

2007/10/19 (Fri)

[65] 良い友達:各務アガサ
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いつまでも
甘い甘い少年時代

甘党は別にいいけど
酒場でオレンジジュースを頼むのは
せめて三回が限度

大人とか大人とか
構える必要はないけれど
せめて大人の格好はしないとね

足掻いたところで
ネバーランドは閉館中

いい加減で
いい加減しないと

そのままずっと
そのまま


納得してくれたら
まず
髪でも
切りにいこうか

2007/10/23 (Tue)

[66] マシニスト:メグルカイナ
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――ただ一つの機能をもった

そんな、機械になりたい――



崩れぬ確信をパーツに組上げられた

不滅の心臓で

淡々と情熱をリズムする



人形でいいなら人形でいい

この場合、意思など無価値だ

ただ前に歩ける足だけを付けてくれ



完成したら

森へ行く

そこで沈黙するために


ただ一つの機能を必要をする

誰かを待つ為に


しかして


沈黙は


まだ遠い

2007/10/28 (Sun)

[67] 月枕:貝塚と森崎
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貝塚明彦は

失いたくないから逃げているのだと
思っていた

彼は誰とでも分け隔てなく接するが
同時に誰とも仲良くならない

彼自身別段意識しているワケでもないが
気付けばそんな風だった


森崎ユウにとって

感情は理解放棄の態度でしかなかった

彼女は何時如何なる時も思考を休めることなく進める
それこそが唯一意味ある行為で
ろくに会話すら出来ない隣人を相手にする必要はない

彼女は誰に教わることもなくそう確信している

無論

この二人に感情は無い

しかして人の結合原理が妥協と諦観である以上

森崎ユウは一人であるし

世界が有限で時間に支配されている限り

みんなと仲良くしたいと願う貝塚明彦は

誰とも繋がることはできない


そんな二人は

この蒼い月の夜

同時に涙する

貝塚は微笑み
森崎は否定しながら

二人は同じ色の涙を流して
同じ夢を見た

2007/10/30 (Tue)

[68] 停止性落下水:エシラ
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停まっている

でも
進んでる


動いていない

でも
同じ場所に居ることができない


たぶん

そして

おそらく、きっと



僕は落下している


知ろうとしないから

知らないままの未来へと

落ちてゆく



飛べない僕は

しかし

落ちてゆく僕で

しばらく

ずっと

このまま




この落下が

怖い



そう思えるまで

僕はしばらく

ずっと

落下する

2007/11/09 (Fri)

[69] その席:草木 花々
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誰でもいいなら
僕でもいい

少しだけの間

君にとっての
誰でもいいの席に
僕が座る

その席は隣り合ってなくて
向かい合ってもいない

ただ視界の隅に
ちょんと
雨どいの雑草みたいに
佇む
そんな場所


特別でも大切でもないけど

ほんの少し
安心してください

君にとって
誰でもいい所に座っている僕は

だからこそ

君にとっての安心になりたい

毎年咲く小さな花とか
毎日見かける名前も知らない雑草とか

その位の安心

2007/11/11 (Sun)

[70] ざわめき:ブルースカート
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僕等はざわめきの中で生きている


ずっと疑問だった

なぜ音楽があって
大体どこに行っても流れていて

まるで
水の代わりに音で満たされた水槽のようで


僕等はそこで生きている


交じり合ういくつもの音楽は
耳に届くころには
心臓を持った曖昧で

何を言っているか分からない

街は音楽で満たされ
人で満たされて

だから、もう
言葉の入る余地なんてない

この場所は
余りにも、ざわめきで出来ている

でも僕等は
きっと望んで
このざわめきの中で生きている

2008/07/22 (Tue)

[71] スモーカー:葦原 トリノス
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僕は煙草は吸わないけど

退屈で丸めた日常に火を点けて
同じ様な不健康してる

今日も
肺一杯に無駄を詰め込んで

ため息をつくことさえ出来ず
大切な「時間」は煙になって
ただ消えて行く

2007/11/21 (Wed)

[72] 魂の健康:ポワン
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昔の人が言うには

一日に
二つ嫌いなことをすると
魂の健康に良いらしい

なるほど

道理で
不健康なわけだ

僕が何十年か掛けて
作り上げた
僕の日常には

嫌いなモノが入っていない

だいたい
好きな人と一緒にいて
だいたい
好きなことをしている

それらは
大体のところ
代替の聞くモノだけど
少なくとも
嫌ってはいない

無いものは仕方がない
幸い今日は日曜日
無いのなら探しに行けば良いだけ

出来れば
時間やお金や体の健康に
優しいモノが見つかればいいのだけど

そうして
僕は
嫌いなモノを探しに
街へ出る

2007/11/26 (Mon)

[73] エッジ:霧咲 キリキリ
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未来なんて期待していませんから
私は私を使い切るつもりです


2007/12/12 (Wed)
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