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白茹たまの部屋  〜 投稿順表示 〜


[87] 白雪姫の陰謀
詩人:白茹たま [投票][編集]




私 知ってたの
あの林檎が毒入りだったこと
私 知ってたの
隣国の王子が私に恋してたこと

私 知ってて食べたの
あの毒林檎
私 知ってて食べたの
あの真っ赤な毒林檎

私が倒れたら
王子様は私に口付けをするのでしょう
だって私は白雪姫だもの
そうしたら私は目覚めるのでしょう

だから

私 知ってたの
あの毒林檎を食べれば
王子様が来ること
私 知ってて食べたの
あの毒林檎を食べて
王子様に口付けをされること



 

2010/05/10 (Mon)

[88] 人魚姫と短剣
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王子様 隣ノ女ハ誰?
アナタヲ助ケタノハ私ジャナイ…


脚が痛む
まだ慣れない
胸が痛む
こんなに愛してるのに

「これを使って」

姉に渡された短剣
これであなたを刺さないと
私は泡になる

あなたが私を見ないなら
刺してしまっていいわよね
そうしたら 私たち
永遠に一緒ね…

鈍く輝く短剣
よく研がれた短剣
私はそれを 握りしめ
あなたの喉 突きつける
ざくり 刺してしまえば
私たちずっと一緒ね
ねぇ そうよね

高笑いが響く 船の中
鈍い音とともに
「きれいよ王子様…首に赤い花が咲いてるわ…アハハハハ」
狂ったような高笑い
「もっと咲かせてあげるわね」と
散っていく赤い花弁
私はそれに染まって
短剣を自分に向けて


「私も咲かせなきゃね」


ざくり




 

2010/05/11 (Tue)

[89] 雨よどうか止まないで
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雨に融けるように
消えていきたかったの

あなたが私を思って
突き放してくれたの
分かってたのに
私は勝手に傷ついたの
本当はあなたを忘れた日はないのに
"届かないから"って決めつけて
あなたを忘れたフリをした

私を好きだと愛してると
そう言ってくれた人
私はその手を取ったの
あなたの記憶を掻き消したくて

雨がアスファルトを叩いて
薬品のにおい 染み付いた
その真っ白なベッドには誰もいない
このまま雨に融けてしまえば
私はどれだけ楽かしら
私も恋人も そしてあなたも
幸せになれるわ きっと
薄れゆく意識
今、私は雨に融けるのね

薬品のにおい 染み付いた
その真っ白なベッドには誰もいない
騒ぎ立てる患者
走りまわる看護婦

雨に融ける私を
荒々しく抱きしめたのは
私が愛した あなた
"行くなよ"
溶けてしまいそうだった
そのまま
あなたに溶けてしまいたかった
このままでいたい
そうすればきっと私は
あなたに 雨に 溶けて消えられる
私に残された時間はもう短い
あなたの腕のなかで
融けるように消えさせて
だから
雨よどうか止まないで

2010/05/25 (Tue)

[90] 今からがらにもないことを言います
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今からがらにもないこと言います

一回しか言わないからね



さん


にい


いち



君が好きだ




 

2010/06/16 (Wed)

[92] 真っ直ぐに、君だけを
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僕は真っ直ぐに

君だけを見ているよ


っていうのは

なんか重いから

僕は真っ直ぐに

君だけに恋するよ



 

2010/06/17 (Thu)

[93] 33322
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3のボタンを3回

2のボタンを2回


それだけで完成する短い言葉

携帯に滑らせた指先

紡ぐことができない33322


届けない 届かない

私の指先は震えていた

33322

33322

33322

心の中でなら何度だって打ち込める

それなのに

この指先は動かない

たった二文字を紡ぐことさえ

今の私にはできないの




 

2010/06/18 (Fri)

[94] 知ってるよ 好きだから
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知ってるよ

全部知ってる

好きだから

知りたくないことまで

全部 全部 全部

知ってるよ 好きだから



 

2010/06/18 (Fri)

[95] 僕がもっと
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僕がもっと 優しい奴だったら

君は僕の手を取ってくれた?

僕がもっと 素直な奴だったら

君は僕を振り返ってくれた?


君に伸ばした右手

冷たいままだった

泣きたくなるくらい綺麗な夕陽から顔を背けた

涼しい風が吹いて

君の足音を攫って行った




 

2010/06/18 (Fri)

[96] どうして
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どうして

どうして優しくするの

どうして突き放してくれないの

どうして君は…

どうして私の記憶から消えてくれないの



 

2010/06/18 (Fri)

[97] エキストラの憂鬱
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この世界の主人公が

僕なんじゃないかって

時々思いたくなるけど

そんなのは違ったんだって

ようやく気づいた

思えば

僕は何もしていないじゃないか

世界を救うヒーローでもなけりゃ

世界征服を狙う悪の組織でもない

非日常を生きるものでもなけりゃ

金持ちの坊ちゃんでもない



脇役なんて呼ばれればいいとこだろう



僕なんて

せいぜいエキストラだろう

下手したら画面にも移らない

"地球にいる人間"の一部として

人数に加算されるだけかもしれない



それなのに どうして

僕は自分を主人公だと思えたのだろう

無邪気だったあの頃のぼくは

残酷な現実に気づけなかった


この世界の主人公は 僕じゃない



 

2010/06/19 (Sat)
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