詩人:凪都 | [投票][編集] |
台風が逸れた
とある昼下がり
右に逸れた
車の後部座席
身体を擦り剥いた
白いワゴン車
助手席から
風を飲み込み
運転席へ
吐き出す午後
雨を降らす
雲はどこか遠く
退屈を知る
晴れた日なら
滑稽を一つ
反射の表面上で
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殴られた右頬を
殴り返せば飛び立つ奥歯
誰かが言った
同じだけ
折れない奥歯なら
飛ぶ程度に殴られるか
誰かが言った
同じだけ
いつまでも揃わない
杭の数だけ埋まる視界
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薄皮一枚剥いだ
個の中身に広がる
薄っぺらい煩悩
苦く笑う事に長けた
今が摘んで捨てた
君を知らない
あの個は真っ白で
身体に線を抱え
ショーウインドーを飾る
数ある一輪の華で
いられたかもしれないと
悔やむのではなく
ため息混じりに皮肉
手折るための華だと
青いペンに言い聞かせ
返らぬ答えは
新たな白に応える
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我先よと駆け足競争
個室へ一名様ご案内
洋式より和式へダイブ
今は楽を選ぶな
中腰ならでわの
糞張りに賭けろ
腹式呼吸で魅せろ
飛び散る花弁のごとき
我咲けよと気張れ
降水確立
もうすぐ100%
うん!うん!!うん!!!
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クラシックを気取るはずの
そのヴァイオリンからは
ジャズからポップス
アニソンまでもが
平等に奏でられる
奏者は奔放主義
一点から広げた趣味が
迷走したと表せばその通り
日々の隙間に音学がいて
日々の隙間に音楽がいて
埋まった隙間は
日々に繋がり
それがまかり通る不敵
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指切りをしよう
呼吸を止めて
叶うことを前提とした
言霊で小指を繋げよう
くだらないでしょうが
君に呟くカラスは
君の帰る道を見つめ
君の帰る家で立ち止まる
君の帰る箱の隅
カラスはきっと
鳴いてないてしまう
風に拐わされそうな
風船のようだと
だったら知りたくない
目を瞑りたい未来を思う
指切りをしよう
いつか必ずを前提とした
風じゃなくて
言霊に乗せて願いを
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太陽が昇る為の月
川が流れる為の山
光りが在る為の闇
僕の明日の為と
君の明日の為と
すれ違う他人と
誰かは誰かの為と
それなのに
中身の伴わない日々に縋りつき
暇と屍を踏み鳴らし言うのさ
また今日がきたって、ね
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熱のない
白いご飯と
冷たい味噌汁の前
正座が
当たり前の日常
水滴まみれの
サランラップをひっぺがす
嗚呼
いつでも
手を合わせてはみるけれど
正しく習った
お箸の持ち方で
嗚呼
米を一つ
摘んで口へ
運んではみるけれど
無性に
歯の奥
詰まる 無常
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この街は
アスファルトの海と
セメントの森に囲まれていて
ただ
コンクリートの大地
脱け殻のように
遠い目のまま
生きることだけは容易い街
本当の
君の脱け殻は
君の白い骨は
君の黒い髪は
この街は
君の肉体が
還りたい故郷へは
行く事が出来ない街で
肥やしにもなれない街