詩人:しゅんすけ | [投票][編集] |
モノトーンの毛玉
緩めの挙動は全部計算のはずだ
模様の中の潤んだ瞳は
よく見れば真っ黒じゃないか
あーデスパンダ
君の手が黒いのは
絡みつく血を隠すためなんだろう?
白と黒との間の悪魔
笹を噛むのは牙をとぐためなんだ
おれはだまされなぜ?
たとえお前がタイヤと戯れていようとも
なぁデスパンダ
そう何時だって
その目は誰かをねらってる
もしも俺が消されたら
誰か勇気を出して叫んでくれないか?
そう奴の名は
デスパンダ
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街の灯が点々と流れ
ただの暗闇に帰る頃
僕を夢から引き剥がす為に走る車の窓からは
さっきまでは気付かなかった
夏のにおいがたちのぼる
早死にした病弱な詩人なら
こんな日は妻に
一輪の花でも買って帰るのだろうが
なんせ僕の女房は花なんか愛でる趣味などない
隣で憮然とハンドルをきる彼女に
眠くないかとこえを掛けるのがやっとで
今日感じたことさえ伝えられない
自己満足なことばならいくらでもたれ流すのに
愛する人を今すぐ笑顔にする言葉は出てこない
夜の終わりはこんなにも呆気ない
こんなにもやるせない
せめて彼女の笑顔が見られる瞬間までは
朝日が昇らない事を祈ろう
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俺は正直30にはなりたくない
人生悟ったような面して退屈そうに淡々と
気が狂いそうになるのを必死に抑えながら
満員電車に飲まれて吐き出される毎日なんか
まっぴらごめんだ
って
10年前には言ってたけどさ
ああなるほど
楽しいわ
人生って
今年の夏は
熱くなりそうだ
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昔々あるところに
それはそれは乱暴な少年がいました
少年の周りの人は口うるさくて
何かを言われる度に彼は悪さをしました
少年は気づきませんでした
その口うるさい人たちこそ
自分が大切にするべき人だという事に
ある時は
みんなを見返してやろうと旅に出て
国家権力のお世話になりました
またある時は
人間は自由だと
無責任に他人を傷つけました
そうして誰もが少年を相手にしなくなった頃
少年は騙されて大きな大きな借金を背負いました
少年は困りました
誰に助けを求めても
誰も助けてくれません
困り果てた少年は自ら命をたつ覚悟し
家に帰ることにしました
帰る途中見た景色は
どれもいい思い出はありません
誰にも会わずひっそりと旅だとうと思い
こっそりとうちに入りました
すると
うちの中からいい匂いがします
においにつられて奥へ進むと
なんと言うことでしょう
あの口うるさかった人たちが
涙を流しながら歓迎してくれるではありませんか
少年は何故だか泣いていました
涙が止まりませんでした
それから幾年か経ち
少年が住んでいた町の駅の片隅に
小さな食堂ができました
その食堂の最初のお客様は
もちろんあの口うるさい人たちです
その小さな駅の
小さな食堂には
今も
笑顔といい匂いが
いっぱいに詰まっていますとさ
めでたしめでたし
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俺が外に出て煙草をすうのは
俺を愛する猫のため
別に格段猫が好きなわけでもないが
すり寄ってくるのは愛らしい
子供がいないのを良いことに
好き放題してきたが
愛なんて物をおしえてくれるのは
セックスと鳴き声だけ
結局独りだと悟る直前で逝くから
クソ真面目に人生なんて考える暇もない
みんながおなかいっぱいなら
結局戦争なんて利益主義の紛い物
飢えてる俺が言うのもなんだが
愛って意外と安ぽいね
さあ今夜も
寝酒を煽って
猫と眠ろう
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別に好きで俺に生まれたわけじゃないけど
好きだって言う人間が何人かいて
好きな人間が何人かいるから
死なない理由は
これで充分
明日は今日より
ましな一日になるはずだ
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君の小さな心の動きを
これほど嬉しく感じる事が
いつかもっと積み重なったら
誰にも負けない
夫婦に熟れるだろうね
ありがとう
これからもよろしく
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孤島に住んでいる
見渡す限り海で
遠くを渡る船は此方を気にもしない
雑踏の片隅にうずくまっている
目の前を通り過ぎる人々は
必死に足元を睨んでいる
世界が本当に
血の通わない
そんなものなら
きっと誰も幼いパンダの死を悼みはしないだろう
きっと液晶から愛の歌は聞こえてはこないだろう
だけど僕は
戦争を恐ろしいと感じるし
レジの横の募金箱に
小銭を放り込む
そしてそれは
きっと誰でもそうだ
夕日が赤いのも
夏が熱いのも
誰かが恋に焦がれているからだと信じられたなら
きっと世界は
このくそったれな世界は
あの人が言うような
愛に満ちた世界になるんだろう
明日は誰かに誇れるような
輝いた世界に
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ただ願うだけで生かされることができるのに
あなたはどうして
そんなに飢えているの?
運命の女神は意地悪な微笑みを僕に向ける
望まなければ手に入らない明日を目前にぶら下げて
剣先を僕に突きつける
手を伸ばさなければ手の入れられないもの
手を伸ばすと失うもの
彼女はもう一度言う
願うだけで生かされることができるのに
あなたはどうして
こんなに渇いているの?
突きつけた剣をカタカタと震わせて
怯えた唇で無理に微笑む
彼女は知っているのだ
僕が手を伸ばすことを
彼女は知っているのだ
僕が何度もそうしてきた事を
僕は手を伸ばし
明日をつかむ
血まみれの唇で叫ぶ
運命なんてくそくらえ
何度でもいってやる
運命なんて
くそくらえ
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眠り続けることに飽きたから
闘ってみよう
太陽が八回昇る頃には
この命は潰えているのだろう
最期の時まで
我が生命に従い
飛び続けよう
この羽根が千切れたなら
這ってでも
さあ
太陽よ
照らせ
この命を