詩人:しゅんすけ | [投票][編集] |
『美品』と書かれたポップをみた
中古のウーハー
隣のコンポの値札には
『新品同様』と書かれていた
外は雨
溜まった雨水が
アスファルトに冠する程の
『音出ます』
手書きの汚い文字
かろうじて読める
ふと上を見上げた『ジャンク』の文字
外は雨
アスファルトに冠した雨水が
靴下をぬらす程の
新品で購入したアンプに
昨日は梅雨の終わりを教えてもらった
外は雨
溜まった雨水が
アスファルトに冠する程の
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女が
顔面に海溝の様な皺を幾つも刻み
汚い指先で吸い殻を摘む
私は
卑しげな顔を向けながら
摘んだものが吸い殻と書かれたバケツの中に
放り込まれるのを見ていた
あたり一面の吸い殻が浚われる
半時間も続いた頃には
まるで初めからそうあったかの様に
整然としていた
女は
塵のないバケツの横に腰を下ろし
所々皮が剥げた合皮性の手提げ袋を弄る
中から
何かが詰まった透明のビニール袋を取り出す
それを苛立たしげに引き破ると
一面にまき散らした
鳩が
群がる
鳩が
群がる
女は
中身を掴み
鳩の群れに投げかける
鳩が
何かを食い散らかして飛び立つ頃
その場所には白い鳩の糞が塗りつけられてあった
女は
立ち上がり
此方に一瞥をくれて立ち去った
ちょうど
その後ろには
野点の立て札があった
真っ赤に塗られた木の板に
白で書かれた文字はこう読める
鳩に餌を与えないで
私は
驚いて女の後ろ姿を目で追いかける
姿はもう見当たらない
代わりに
少女が独り嘲笑を浮かべながら
テトテトと此方へ歩み寄り口を開く
おじさん
いっつも
同じ事
してるんだね
私は
誰なんだろう
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大海を知らねば
空の高さを知るのであれば
どれほどの
いきる価値を
見出す術を
備えたところで
現実がランダムで
かろうじて生きている今の
前向きな空気に押し流されて
後ろ向きを忘れたいから
人間が前向きな振りをする事を
喜ばしいと上から目線で捉えれば
死に近づいているのだと悟らずにはいられない
だから
隣人を愛せる人が
神に授かりしこの生を死を
と
嘆かわしくもいじらしい
かわいげのあるゴウマンを
ぶちかましたとしたとして
許せる人が羨ましくては
端
遠い道のりだろう人生
俺は
俺は
一瞬が一瞬にして
次に
昔になる世界が凡てだから
決めうちされた感受性の根底にある
意味不明な
出自不明な
証拠不十分な
自分らしさが煩わしくて
愛が最強の武器だというなら
俺を救って見ろと言わんばかりの殺人鬼には
与える価値もない物を
垂れ流す明日の朝日を
拝むために必死コいて生きている訳じゃねえよくそったれ
それでも
愛すればこそ
友と葡萄酒は古い方がいい
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少し欠けた月を観るとほっとする
朧に微睡む割れ鏡
右脳は明暗を認知する
左脳は暗喩を探知する
比喩表現は18度前後の安全地帯
月影の非円形に安堵した堕落
永劫の業火の妄想
右脳の認知した善悪
左脳の探知した選択
欠けた月は
欠けたまま沈んだ
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神様なんていない
もしもいるならろくでもないやつに決まってる
ああ
俺は確かに聞いたんだ
あのどよめきの中で助けを求めて泣いてた声を
逃げたのは
誰から?
神様なんていないさ
恢々な天網はちゃっかり俺を逃しているもの
何が恐いのか
言葉に出来ないんだ
あの時手を差し伸べることは出来たはずだ
逃げきれるのか?
いつまで?
領分をわきまえて
本分を全うせよ
ああ
力がほしい
本分を全うせよ
逃げたくない
領分をわきまえて
闘おう
本分を全うせよ
クソ食らえ
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まだ寝る前に聞きたい歌謡曲ベスト10の
1位と8位と9位が決まらない
こんな時は泣きたいだけ泣けばいいと言ったあいつは
泣いてないふりがうまかった
真っ黒に光る夜空の底の
小さな小さな砂粒よりもっと小さい光が
蛇行して降りしきる瞼の裏に
鍵をかけた扉を激しく揺さぶる音がこびりつく
嘘つきの
大切な物は
公園の真ん中に置き忘れても
誰にも忘れ去られて
カバンが四角くなった頃にも
自分で取りに来られるのだろう
こんな夜は
泣きたいのに
まだまだ決まらない
誰にも忘れ去られて
そこにまだあるはずの
拾いにいこうか
泣いてないふりしながら
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仕方無く起き上がったのは17時ちょうど
何一つ成し遂げていないくせに
街は満足げに感慨に耽る
夕暮れ時を待ち構える温い静寂が
やけに鼻につく
時折聞こえる負け犬の遠吠えに
伏せてある鏡を思い出して苦笑い
足の指に力が入らないのは寝起きの所為か?
背筋を伸ばすと竦むのは寝起きの所為か?
すぐにタバコに手を伸ばす癖を無くそうと
1分待つことを決めたのは昨日
そんな決めごとを思い出したのは
煙が天井にぶつかって部屋を汚した時だった
別に気に入らないことは何もない
漠然とした苛立ちが街並みを灰色に染める
別に誰かを恨んでいるわけじゃない
釈然としない哀しみが夕空を拳で弾く
ああ
気が狂いそうなんだ
ただそれだけ
痛みを感じない全身の皮膚を
針で何度も刺されるような
壊れたメトロノームのリズムに合わせて
その居心地の悪い感情だけがリセットできないでいる
ああ
気が狂いそうなんだ
本当にただそれだけ
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それは世界を買える程の秘宝
時の権力者たちが
血みどろの争いの果てに手にした血塗られた秘薬
それは今
俺の引き出しに入ってるんだ
その引き出しをあけて飲めば
すぐにでも変えられるのだけど
その引き出しの鍵は
まだ見つかっていない
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ソラトは小学六年生
いつも母親を待ちながら駅で
ライトノベルを読んでいる
ソラトは優しい
怒鳴ることはもちろんないし
人と関わるのがめんどくさいからわらってる
ソラトは母親の連れ子
待っていた事を母親に口汚く罵られても
表情を変える事もない
ソラトはいつも歩いて帰る
1,5キロの道のりを独りで
ライトノベルを読みながら
ソラトには妹がいる
母親だけ同じで
父と母の子である妹が
ソラトは買い物について行かない
行きたいか聴かれたこともないし
ねだるのも面倒だから
ソラトはいつも気になっている
窓を滑らせるレールは
外側なのか内側なのか
ソラトには友達がいない
不自然な優しさや笑顔が
気持ち悪いと言われるから
ソラトはいつも母親を待ちながら
駅で
ライトノベルを読んでいる
ソラトは
母親を待っている
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フリック入力に慣れるのはいつになるだろう
愛情に溶かされた性欲は跡形もなく消え失せて
うそをつくのも面倒になって
猫と子供に好かれる事が自慢の種で
ロハスな気取りやが税金を滞納するような
そんな夏
いかように求めようとも
望みがないのでは
叶えようがないのだ
My god
あー
信じたことなどなかったけど
趣味を通じて知り合ったという
友達のよめがびじんすぎるから
俺にも趣味をください
なるべくもてそうなやつ
とか有りそうでない話を創作日記に書き込んで
元カノとかヤりそこなった女とか
そういうのに会いたくない体で
祭りに行かないっていう言い訳を
今年もしてみたんだ