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君がもう少し大きくなったら
きっと
他のみんなと同じようにヒーローになりたいと言うだろう
だけど僕は
きっと
それをダメだと言う
君には
誰かのために命がけで戦ったり
孤独や矛盾に苦しんだり
そんなふうに生きてほしくはないのだ
そんなの
最悪だ
僕が君に贈った名前の季節のように
ただギラギラと楽しくて
眠れないほど暑苦しくて
過ぎ去れば待ち遠しい
そんな普通の男になってほしいのだ
PS.
君のお母さんは
春のような人でした
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明日はまだ来ない
今日はまだ終わらない
どんなに苦痛に満ちた今日も
明日の朝日は癒してくれるはずだ
年老いて病の床に伏した男はそう言った
明日が来てしまう
また空っぽの明日が
何もないアタシの中の最後の雫を
一欠片も残さない様に
高校生から体を売ってきた三十路の女がそう言った
宿題やってない
友達がいない
仕事行きたくない
明日はデート
再検査ってなんだろ
姑とかさいあく
明日もまたこの子に会えますように
それぞれの思いが渦巻く朝が
当たり前の朝が
ナンのヘンテツもないいつも通りの朝が来る
朝が来る
朝が来る
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私が少年だったころ
世間とか言う得体の知れないものは就職氷河期とか言っていた
切れる18才と同じく18才だった私は切れる理由を探すために街に出た
賢いとかバカだとか
他人の評価でしかないことのために真剣になるのがバカらしく感じてもいた
恥ずかしい過去ではあるがそれらがかっこいいとさえ思っていた
結局就職は一回しかしなかったが人の親になってそれなりに平和に暮らしている
正直な話、社会とか、世間とか、世界とか、そういう実態のないものを刷り込まれて
心底それに怯えていた
恨むわけじゃない、ただ、頭が悪かったのだろう
なるべく小さな幸せとなるべく小さな不幸せ
なるべくいっぱい集めよう
なんて真剣に歌った時には気づかなかった事が
ほんとはちゃんとした幸せで
そんなくそつまんないもんなんだって事が
最近は妙に笑えたりもする
そんなもんかねえ
人生って
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俺は優しい女が好きだ
それもペラペラの
ハリボテみたいな優しさじゃだめだ
なぜなら極上の優しさを持つ女はきっと
死ぬほど辛い目にあっているからだ
誰にいつどんなふうにどれぐらいの間傷つけられたのか
想像するだけで体中の毛穴が
歓喜で沸き立つのがわかる
女が欲しいものが何なのか
想像するだけで
体中の突起が隆起するのがわかる
最高のキス
特別なセックス
ぴったりのリング
二人だけの時間
俺の全身全霊で
全てを受け入れた後の最高の笑顔が好きだ
だけど本当は
そのすべてが跡形もなく粉々になった時の
女のぐちゃぐちゃの泣き顔が好きだ
それを見て
心からの涙を流すとき
少し自分が好きになれるから
俺は優しい女が好きだ
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金で買えるセックスにも飽きたので
よければ私に金で買えない大切なものを教えてください
とてつもなく尊く
艶かしい光を放つ真実を
長押しすればカメラモードになるボタンは
嫁の実家に一人で泊まった時に出された嫌いな食べ物の味に似ている
むき出しの善意が
ただ無性に苛立ちを掻き立てる
恋愛ストーリーが嫌いでたまらない何て言う頭の悪いくずに
世界中で絶賛されたらしいくだらないSF映画を見せたら
夢という漢字の書き順なら知ってると
小2の少年がどや顔をかました
私がただなんとなく生きていることを生まれてはじめて思い知ったのは
テストの点数を頑なに隠すやつを見たとき
釣ったブラックバスは
食うものだって先輩がいってたから
意味があるかないか
そんなことはどうでもいい
押さえきれない欲求は
先月の笹の葉に吊るしてやった
私が唯一捧げたい金メダルは
あなたが人生を終える前に
きっと
私が唯一隠し持った戦略レベルの弾道ミサイルは
弾頭に積むべき毒をまだまだ必死に研究中である
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安物の扇風機の
すぐ下に切とかかれたスイッチを
その隣の一番弱い力を示すボタンと同時に押し付け
ゆっくりと
動力を司るボタンを解除していく
たった100ボルトの電圧で涼をもたらすモーターは
血液を失い惰性によりその意思を永らえようと府抜ける
ただひたすらに夏を謳歌した心臓は
微熱を纏い
その息を
その機関を
止められた
その機械に付属する無機質に時を刻む時限装置は
己がこの世でもっとも叙情的な機械だと言うことには気付きはしないだろう
人の数と同じだけ夜の数あり
時を刻む機械である以上
お前も差ほどの変わりはないのだよといっているくせに
私は
どのボタンも押し込めないまま
ただ
時の刻まれる音だけを
聴きながら寝るとしよう
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よろしくお願いします。友達がほしくて出戻りしました。
趣味はカラオケとスポーツ、あと、作詞です。
彼の書いた詞を読んでみたいと思った。
寂れたSNS。それ自体がリリカルで好きなのに。
ぶち壊す懐古趣味の権化。
寂しさと性欲の懺悔。
繋がりの濃度をコントロールされたくない年寄りの言い訳。
心技体。
愛。
それすらも中二用の演芸。
彼の書いた詞を読んでみたいと思った。
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ロジックがエラーをおこしたその日
彼らは順応を見つけた
打算を見つけた
妥協をおぼえた
そして笑った。
セイギシンジツアイジンセイセカイ
そして笑った。
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努力なんて
突き詰めれば他人にあわせて自分を変態する作業だと
彼女は言った
流行りに被れた化粧と
雲丹のような付け睫が悲しく漂う
自己を正当化する事を否定してしまえるほど
子供でもない
正義を
嘘だとわかって説けるほど大人でもない
彼女はきっと
植え付けられた正しさに抗うことでしか
その洗脳から逃れられないと信じているから
いつものようにそうだねと笑顔をつくる
その瞬間は
彼女こそ幸せになるべきだと心の底から感動しているはずなのに
次の瞬間にはどこのホテルにするか相談している
どうせみんな死ぬんだし
誰かと比べることほど無意味なことなんてないじゃない?
どうせ死ぬんだし
無意味を否定する意味なんて
ないじゃない?