詩人:大示 | [投票][編集] |
一握りの心の欠片
もう一度、輝けと飲み込んだ
遠い微かな柔らかい記憶
膨らんで弾けた
消えないものなんだね
僕自身が忘れていても
こんなにも胸が熱くなる
微笑む、あなたの顔を思い出して
どんなに崩れていても
記憶が心が無くなるわけじゃない
諦めないで
心が叫んでいる
粉々の欠片が光ってる
ここにあるんだと
叫んでいる
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隣の、あなたに背を撫でられた
ただそれだけで、凍えた心暖まった
少し顔赤らめて景色見るふりの
とても照れ屋な
あなたに心震えた
いつもの駅で降りて行く
猫背気味の後ろ姿を見送って
窓越しで初めて目が合った
何故、今見つめるの
ずるいよ、あなた
『ありがとう』も『好き』も
言わせないままに
独り、帰っていくの
明日になれば、また会えるかしら
いつもの車両で待っています
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暖かい貴方が恨めしい
触れられない切なさは
夕日を白く塗り潰した
温もりを冷まして
私が寄り添えるまで
冷たい身体が哀しい
この唇すら真っ白で
朱色の紅で染めました
あなたが火にあたるころ
私は枯れ木に花を咲かす
真っ白な雪の花
哀しみの数だけ花開く
暖かい季節に変わり
触れられない恋しさは
雪の花を薄桃に
紅の唇で白に口づけし
美しい桜になった
花咲く身体が誇らしい
一枝残らず咲き乱れ
枯れた想いも咲きました
あなたが触れた桜の花は
私の心、伝えましたか
あなたが抱きしめてくれた頃は
あの日と同じ夕焼けの刻
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その瞳に魅入られた娘は
恋した事すら忘れて
美しい一体の
彫像と成り果てた
愛した者さえ
暖かいまま抱くことさえ叶わず
月に照らされた
生まれたばかりの彫像を眺めて
溜め息を吐いた
狂おしいほどの愛は在るのに
君が、こんな姿じゃ
受け止められないね
君じゃないと無意味だよ
僕の愛は君の為に在るのだから
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砂漠化した空気に
声を震わせて
オアシスの花のような
君の名を叫ぶ
こんな場所にいても
愛しい姿が滲んで見える
砂海に佇む君に似た女神が
僕に向かって手を伸ばす
忘れられた古のアート
風化した姿とは裏腹に
沈みゆく陽を背負い
神々しく煌めく
情けないほど
どうしようもなく
君に会いたい
デザート・ローズは要らない
オアシスの花に会いたい
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狐の花道
篝火が照らす
カタカタ囁く竹の林
夢幻に鳴り響く
狐の花道
お顔のお面は
朱色の化粧に金の眼
うつつを見通し微笑む
狐の花道
鳥居の扉は
オイデオイデと
はぐれ子見つけて音立て開く
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生きる為の力を求めて
排他的な嵐の中で
傷付いた僕の影のような
あなたに出逢いました
砕け散った白い牙は
定めた夢に突き刺さらずに
星屑のように美しく
流れて夜の裏側へ
傷の舐め合いなど許されぬままに
ザラザラに荒れ果てた、この道を
独り、歩いていく
折り重なった瓦礫の山
乗り越えて進む君の姿に
遠い日の僕を見た
足場になろう、君の為に
必要ならば翼だって手に入れて見せるよ
銀色の満月のように
暗い闇夜を打ち払いながら導こう
そして、いつしか夜明けの太陽となって君を照らそう
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バニラエッセンスな君に
5秒で、心奪われた
甘い香り、計算された罠
僕なんか容易かったかな
鏡の向こう側で舌出して笑う
バニラの魔女
魅了する、その香り
誰も逃れられず堕ちていく
柔らかい幻覚と
硬質な現実の苦味
勝てやしない僕なんか
どうか、いっそこのまま
バニラエッセンスの君でいて
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鉛色の大空に光る金貨を
投げ付けて
吸い込まれるように
昇っていくのを見送る
頼りない軌跡だけが
私の無意味な儀式を見下ろした
理屈も一緒に跳んでいったかな
あなたの本音も見破れないのに
心が勝手に走り出す
行く末を決める為
欲一枚投げたけど
どちらも表じゃ意味がない
不毛な俗な想いなど
一生無縁と信じてたのに
詩人:大示 | [投票][編集] |
輝く、あなたの足跡が
生き下手な私の灯りになって
消えたはずの希望の欠片が
夢の意味を忘れた街を彩った
こんなに綺麗だったのか
いつも怯えながら歩いてたけど
こんなに静かだったのか
子守唄だって耳に届く
冷たいけれど心が騒ぐ
月の光と遠吠えと
甘い夜気を吸い込んだ
再会の願い事は
花火が止まったような星空に