詩人:清彦 | [投票][編集] |
雨でした
覚えていますか?
どうして、
時間は無情にも
全てを
飲み込んでしまいます
全てが変わらないまま
全てが変わっていくのです
残された痛みから
離れることは出来ません
一歩
また一歩進み
その度に時計は針を刻み
それなのに
繰り返し繰り返し
そのドアを開け
曲がり角を振り向くでしょう
覚えていますか?
つめたい手でした
夜の風はあなたの声を
さらってしまいました
現実か夢の中か
わからないような暗がりで
零時の鐘が鳴ります
全てが変わらないまま
全てが変わっていくのです
残された痛みから
離れることは出来ません
そう 今こそ行動に出るときだ
我々の社会は 完全に汚染されている
今こうして聞いているリスナーの中にも
社会保障を十分に受けられていない者
仕事をクビになった者……
ほら
後ろを向いて
雨でした
覚えていますか?
繰り返し繰り返し
そのドアを開け
曲がり角を振り向くでしょう
私の声が聞こえますか?
私の字が読めますか?
あなたが来るのをずっと待っています
詩人:清彦 | [投票][編集] |
カップラーメンをたいらげたら
げふんっとゲップを一発
下らないバラエティにはうんざりだが
リモコンは探すのも面倒臭い
散らかりすぎて片付け方がわからない
だから今日も寝っ転がるのさ
下らない番組
仕方なくしばらく眺めていたら
なんだか少し笑えてきた
決して面白い事など言ってないのだが
なんていうか
笑うしか無かったんだと思うんだ
たった数分前の出来事なんだけど
ちょうどお湯を沸かし始めたら
電話が鳴って 出てみたら
昔付き合ってた女だった
『結婚するの』と唐突に
言われたもんだからさ
唖然としてる間に
彼女は喋り続けた
相手の事や少しの昔話
沸かしたお湯が沸騰して
『ありがとう』を最後に通話が切れた
換気扇が湯気を吸い込んで
呼吸のように外へ吐き出すんだろう
お湯を注いでから1ラウンド
遠い記憶を思い出す
食べてる最中の事は覚えてない
失ったものや得たものは
どうやって計ればいいのだろう
社会では幸せの尺度を
どう解釈して運営するのだろう
ひとりひとり価値観が違って
その度に解り合って
だからこそすれ違って
何かを探すようなこの暮らし
何が正しくて何が間違いかなんて
そもそもどうでも良いのだと
思い知ったひととき
それでも選択した運命を
受け入れ明日を生きてく
それしか無いんだ
今日も風が吹き
その度に
木葉が揺れる
詩人:清彦 | [投票][編集] |
やまない雨は ないんだよと
貴方を浮かべて語りかけていた
死ぬほど退屈だった故郷を出て
冴えない歌を都心の路上に響かせた
心に吹き荒れる嵐
誰かに会いたくて仕方なかった
愛って結局 何なんだろう?
考える程に もがき苦しんださ
押し寄せる現実の迫力ったら
気付いたらあるとき
違う街でホームレスをしていた
悲しいやら愛しいなんて
そんな場合じゃないんだ
空腹に勝る欲求は無くて
眠る場所は必死で探した
そんな生活から抜け出したら
贅沢のありがたさに気付いたよ
それでも 未だ時折
僕の心には雨が降る
時にはあの頃の嵐が吹き荒れる
仲間を大切にしたり
世の中を幻だと思ってみたり
そしてまた誰かに恋に落ちたり
ギターを持ってライブしたり
自分は何者かと模索した
ヒラヒラ
サラサラ
風の音に耳を澄まして
身体と心に問い続けるんだ
やまない雨はないんだよと
貴方を浮かべて語りかけていた
愛しいも苦しいもひっくるめて
儚い儚い、ひとつの夢
色々な何かに
依存、執着しながら生きていく
一瞬の、儚い夢
ヒラヒラ
サラサラ
そんな夢の続きに
未だ時折
あの頃そして貴方を思い出すのです
詩人:清彦 | [投票][編集] |
私とは単に記憶の集合体であり
私を私たらしめているのは
周囲の私に対する認知であり
それは常に波のように揺れ動き
因果によって現象のごとく
すり替えられてゆくのだから
私とはすなわち現象である
故に無常であり、無我であり
全ては空である
詩人:清彦 | [投票][編集] |
あまり人の視線を気にしないで
自分を着飾ったりしないで
それよりも風の調べを
素肌に受け止めて
味わっていたい
難しい本を読むのをやめにして
コーヒーと葉巻が
海の方から届けてくれる
ボサノバと波の音
ゆったりと歯切れ良いリズム
ほんの少し
切ないメロディ
サングラスの美女に
あしらわれたジョニー
見透かされてるね下心
波打ち際、鼓動も情熱も
全てが自然のまま
今は風になりきっていよう
このまま時間が流れて
夜になればバーベキュー
日本的にビールと焼きそばと
だけどやっぱり葉巻とボサノバも
波の音は地球の鼓動
潮風が素肌を透き通っていく
皆、好きなように過ごせば良い
気付けばジョニーは
隠れて誰かとキスしてる
波打ち際、音楽も愛も
全てが自然のまま
この場所が好きだ
とりあえずしばらくこのまま
風になりきっていよう
詩人:清彦 | [投票][編集] |
どうして僕らふたりは
ひとつになれなかったんだろう
あんなに愛していたのにね
昔の詩を読み返していたんだ
実はあの頃より
答に近づけたんだよ
星空が素敵だったね
心が美しかったからさ
そして君がいる世界が美しかった
君と触れあうというのは
僕にとっては
ただの生殖本能とは
違っていたんだよ
愛について考えたことはあるかい
あまりにも抽象的で
定義なんてほったらかしだから
僕らは確かめ合うんだよ
お互いの存在価値を
愛という木の下で
もしかしたら僕は
あの頃よりも今
君を愛してるかもしれない
感謝してるんだ
君に
そして君を育んだ全てに
父に、母に、自然に
僕らを隔たっていたのは
やっぱり肉体じゃないね
なんていうか
欲望や憎しみや
快楽や喜びさえ
実は違っていたんだよ
風のように、波のように
時間は全てを拐います
痛みや涙も拭ってくれました
今、恐らく本当に心から
あの頃より深く心から言えるよ
ありがとう
幸せになって下さい
詩人:清彦 | [投票][編集] |
書き留めた詩
舞う風 なびく髪
僅かにあの夏の匂い
古びた椅子 机
網戸 洗濯物
時々 車の通り抜ける音
木々 鳥の鳴き声
太陽の日差し
通り行く人々は
みんな旅人
何処へ向かっているの?
仲間 恋人達 家族
それぞれの営み
色とりどりの食事
自由な選択
自由な足取り
愉しげな歌声
揺れる身体 なびく髪
閉じる瞳
一瞬だけ
あの夏
思い出と未来
想像と幻想
曖昧な記憶のせいで
今じゃ美しいね
電車に揺らされて
レールに続く景色
住宅 オフィスビル
カフェ コンビニ 電柱
木々 森 土砂と湖
空調の涼しさと
太陽の暖かみ
昼の空の青さ
雲の自由さ
織り成す調和
思考する
生と死のレールの上で
確かに在る喜びと悲しみ
幾重にも重なった
グラデーション
心と鉄と自然と命の調和
旅人たちの詩
詩人:清彦 | [投票][編集] |
熱い潮風と太陽の光
夏の眩しさが 思い出させる
どうにかなってしまいそうな心と身体
触れたいから いつも会ったね
涙さえ 痛みさえ 味わっていた
テーブル越し蜃気楼の幻惑
キャンドルライトに揺れてぼやける
飲みかけのジュース
湿るグラスコースター
喉が乾いて仕方ない感覚
覚めない夢の中 のらりくらり
胸が苦しいのは何故?
こんなに近いはずなのに
空は果てなく自由で広いんだね
鳥の真似をして両手を広げた
雲はとぼけるように
形を変えながら
あの遠い海の向こうへ
消えてゆくんだ
遊び呆けた後の夕焼け虚しく
潮風に僅か君の匂い悲しく
どうにかなってしまいそうな心と身体
寂しいから いつも会ったね
涙さえ 痛みさえ 味わっていた
焼けた素肌ヒリリ 痛む度
夏の眩しさが 思い出させる
マリッサ 止めどなく押し寄せる波に
マリッサ 身を任せてしまいたい
会いたいから いつも会ったね
涙さえ 痛みさえ 味わっていた
詩人:清彦 | [投票][編集] |
四苦八苦
ちゃんと、未だに、生きてますか?
僕は僕という存在を問うて
濁流に飲まれる事を夢見ていたよ
大食い、傲慢、強欲
だけど
流れる景色だけはちゃんと見ていたんだ
ちっぽけな蛾のように
小さな世界で
不気味な模様を描いていたい
幸せや不幸の識別はしないで
あらゆる色にまみれてみたい
あの頃僕は
自由という幻を問うて
さ迷う囚人と化したよ
怠惰、怠惰、怠惰
だけど
流れる思考をちゃんと見ていたんだ
振り返るとさ、
つまり
もっと昔の話なんだよ
色欲に始まってさ
死ぬほど愛してしまった人
あそこが僕の創造と破壊の原点だ
嫉妬、怒り、憤怒
愛しい程に、苦しんだよね
だけど
流れる情熱をちゃんと感じていたんだ
四苦八苦
ちゃんと、未だに生きてますか?
なんて言いながら
僕は僕を問い続けて
罪と思ってたこと達
見つけた答はなんと
無我、無常、ひいては空
模様を変え続けてヒラヒラ
空しく、美しく、不気味に、鮮やかに
詩人:清彦 | [投票][編集] |
探していては見つからないだろう
そう、お前が焦れば焦るほどに
この切符は自由への手掛かりか?
さては、奈落への罠か?
呼び声虚しく、背中を追うだけ
後ろ指なんて刺す程近くもない
囲んでいる人だかりが邪魔だって
さっきから何を言っているんだ?
ここはさあ
だって
ずっと前から
お前ひとりだろう?
鐘が鳴って
またひとつ消えてゆく
その度に仕方ないと惰性を
飲み込んできた
薄れゆく意識の中に僅かに見た
あの場所 あの声は
今や立派にまがい物に覆われた
そうだ、ようやく
この場所を抜け出すんだ
孤独や不安や憤りの闇で
ひっそりと漂って
幸せや満たされることなんか
初めから望んでいなかった
ぬかるみへ沈んでゆけ
そしたら今度
再び、
鐘が鳴ったときは
お前は