詩人:ゆなぎ | [投票][編集] |
「嬉しかったこと
哀しかったこと
あなたの分まで覚えてきたから。」
笑えないで 涙の日も
歩けない 暗闇の日も
あなたの姿を
見つめてきた
壊れて 汚れたまま
手の平を 合わせて
見つめ合う あの日々を
忘れないわ わたし
あなたの 涙も
全部その 想いも
明日になったら
あなたの未来が始まるの
さよならだね さよならだね
震えた指 求めてた
嫌われていても
変わらないあなたを映すわ
大好きだよ 愛してるよ
震えた指 触れ合った
汚れた、まま。
壊れた、まま。
大好きだよ 愛してるよ。
嬉しかったこと
哀しかったこと
あなたの分まで覚えてきたから。
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好きだよと笑った私に
あなたは寂しそうに笑った
知っていた 知っていたんだね
すれ違った好きが こんなにも寂しい事
例えば色が違った
甘く優しく包むような淡いオレンジと
触れれば燃えて灰になりそうな程の紅と
例えば温度が違った
暖かい春の陽だまりと
焼け付く夏の日差しと
例えば重さが違った
2人ならどこへでも飛んでいけそうな翼のような軽やかさと
深い青に沈むような鉛と
そばに居られるだけで充分で
それ以外は何も望まない私と
2人だけの特別をずっと欲しがっていたあなたと
すれ違った好きが、いつしかあなたを蝕んで
私を傷付ける前にと 手離してくれたこと
気付かずに恨んだ 欲しいと手を伸ばしてくれなかったこと
あなたの色を、温度を、重さを
その全ての違いを知ったら
私は怖がって傷つけて、逃げたはずなのに
きっとこの先出会うことはないくらいの
重い愛を、私に寄せてくれてありがとう
同じ重さではないけれど
たしかに私も愛して居たから
どうかあなたが幸せで居てくれますように。
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夕焼けが僕を 昏く染めて
意味のない唄を 抱き締めた
柔らかい風が 声を攫って
涙も一緒に ころしたんだ
思い出の数を 繰り返して
くだらない事と 嗤いました
ありふれた傷が 酷く痛んで
飛び出す自分を 許したくて
だからどうか
だからどうか
剥がれ落ちて 深く抉れた
痛みを隠してきた日々は
捨てたくて もう消したくて
夕暮れの空に 堕ちて…
腐ってく傷が 酷く痛くて
心地いい夜が 首にかかる
苦しくて辛いのも もう終わりだ
飛び出す自分を 許してやろう
だけどどうして
抱き締めて 震えていた
長い夜の雨に 溶けて
捨てようとした 意味のない唄を
紡ぎながら
剥がれ落ちて 深く抉れた
痛みを隠してきた日々は
捨てたくて もう消したくて
暁の空に 堕ちる…
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笑った君の目元に
はらりと雪片が落ちて
少し高い体温で温められて
さらりと溶けて涙になった
泣きながら綺麗に笑うから
この一瞬を切り取って
ベッドの下の宝箱に
大事に大事に仕舞ってしまいたかった
儚く過ぎた過去に
今の自分を重ねて見ても
あの日の君にはなれなくて
あの日の雪にもなれなくて
切り取った一瞬を抱きしめた
ベッドの下の宝箱
薄汚れて暗い中
あの一瞬を抱きしめた
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このまま永遠に 今が続けばいいのに
って、君が笑う。
照れくさそうに、切なそうに、
愛しそうに。
僕は嫌だな。うん。嫌だ。
だって永遠に今が続いたら
これから先の君を
何一つ、知れないのだから。
大人になって、綺麗になっていく君を
小さな命を抱きかかえて、笑う君を
少しだけ、笑顔のあとがついてきた君を
髪の色を気にする君を
しわしわになって、少し、腰の曲がった君を。
そうやっていつか、
繋いだお互いの手が
そっと重力に従って
パタリと音を立てた時
永遠にも代えがたい
大切で、愛おしくて、かけがえのないものを
抱きしめていけるはずだから
永遠の今はいらない。
君と刻む時間をその時まで。
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もう、眠りについてもいいかい?
ダメだよ。まだ。
そう、神様が嘯く。
もう、終わりにしてもいいかい?
ダメだよ。あと少し。
そう、誰かが嘯く。
あとどれだけの、私をコロして
あとどれだけの、嘘を重ねて
眠りたいと叫ぶ心に
生きたいを重ねるのだろう。
呼吸を止めて、それでも
朝はくる。夜は堕ちる。
目を閉じても、耳を塞いでも
私は、私でいなきゃいけないのなら
私は私をコロして
生きたいを重ねて
まだダメよ。と嘯く。
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苦しくって 助けてって
足掻きたくて もがいていて
自由に泳げなくなった魚は
呼吸すら出来ずに 深く深い 海の底
溺れて 沈んで 泡になってく
溶けて 消えて もういっそ
空気に溶けてしまえたら
誰かの為に生きる事ができるの?
何かの為に生きたと言えるの?
呼吸すら忘れて ただ 息を止めて
目を閉じ 耳を塞ぎ 深く深い 海の底
溺れて 沈んで 泡になりたい
他にはいらないから 何も いらないから
消えて 消して はじけて 消えて
おとぎ話の 人魚のように
泳ぎ方を忘れた魚は 泡になって
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ゴメン 細い肩で震えて
泣いてるように呟くから
無力さに 苛立って
ただ 悔しかったんだ
「また明日」と言うけどさ
保証なんてどこにもないだろう?
君の言う「明日」が
果たされる日を待つよ。
今どこで、何をしている?
願わくば笑っていて欲しい
幸せだと感じていて欲しい
暗い荊の道を歩いてきたから
陽だまりの、一時でもいい
感じていて欲しい
謝らなくていいからさ
どんな形でもいい、帰っておいで
「また明日」保証なんてないんだけど
僕らの「明日」が
訪れる日を待つよ。
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触れたいだけの掌なんていらない
そこに感情がないのなら
それは無機物とかわらないから
あの雨の夜
君に触れた手は確かに震えていて
僕の隠せぬ思いが抱き寄せる君に
伝わってしまうのではと 不安だった
あれから、どれ程の時間が流れて
僕らすれ違ってしまったのかな
当たり前過ぎでわからなくなってしまう程
もう震え無くなってしまった手を
そっと二人、握りしめたままだった
ずっと夢の中にいられたらいいのに
叶わないから、二人解いた
そっと、握りしめたままだった手を
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「もういいよ」嘯くきみ
「嘘つき」届かない
あの日伸ばしてくれた手を
確かに私は掴んだのに
どうして今、ひとりなんだろう
あの時確かに、側にいるといった癖に
あの時確かに、約束を交わしたのに
今、右手が冷たく悴むのは
何故?
今、ひとり震え朝を待つのは
何故?
呼吸をしてるのか不安になる
指先に微かに灯る吐息に
胸をなでおろす
早く起きて。朝だよ。
いつもみたいに、「やぁ、」
笑って。
届くように掴みたいのに
触れたら私は死んでしまう
言葉を交わせないその瞬間に
ひとりに押しつぶされて死んでしまう
ねぇ、早く起きて。
あなたをひとりにはしないから
ねぇ、早く起きて。
私をひとりにしないで。