詩人:ユズル | [投票][編集] |
あなたの内側で
暗い青と 蛍光イエロー くすんだ緑
淡い紫 柔らかなブラウンに 激しい赤
たくさんの 色が
混ざり合っているのが見える
ときたま 真っ白になって 真っ黒になって
あなたは 瞳を くるくるさせて
震える指先を もう片方の手のひらで
ぎゅっと 握りしめている
わたしには 見えている
それは慈悲や 優しさではなくて
微笑んでわたしは あなたを見つめている
美しいものに 惹かれているだけ
光に群がる 虫のような生き物
あなたは 美しい
わたしは目を 離せない
その美しさに とらわれた生き物
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暖かい窓辺の 優しい雨になる
もう一度 あなたを 優しく包む
涙も 微熱も 痛々しい火傷も
洗い流す 柔らかな 音
純粋さに 傷つけられた 朱い鼓動
頭をもたげる期待が ナイフよりも鋭い
金ぴかのつめたい糸に
足を絡め取られて 転んだ
流れたものは 生きる証拠として襲いかかり
震える声を 恨む 愛おしい 魂
だれよりも 飢えて いつも泣いている
あなたは いるべき 大切なひと
暖かい窓辺の 優しい雨になる
もう一度 あなたを 優しく包む
涙も 微熱も 痛々しい火傷も
洗い流す 柔らかな 音
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あなたの唄を 聴いたとき
本当にね わたしの身体の内側から
光が 溢れ出していくような
そんな気が したの
乾いて 渇いて 枯れたわたしの真ん中に
まだこんなに 柔らかな光があって
わたしの命の 尊さを想った
あなたの唄が そうさせた
宇宙にばら撒かれた 雲間の星たち
きっとあなたも わたしも それを持っていて
できるだけ優しい光を かわしながら
こんな夜を 歩いている
あなたの唄を 聴いたから
不安定な 土を 踏みしめて
あの日 射した光の 温度を握りしめ
この世界で 生きている
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砂浜に寄せる波のきわ
鮮やかな色の爪をした裸足のあし
こんな色とは アンマッチなことを
平気で 脳みそは 考える
泣きながら 目が醒めるわたしと
ペディキュアを 塗るわたしは 同じ
未来なんていらないわたしと
先の心配で 動けないわたしは 同じ
さいごの逃げ場所は いつもそこにあると
そう思って 楽になれるんだと
勘違いの果てに 周りをガラスで覆われた
ガラスの世界を 受け入れること
ずうっと恐れたことが わたしを助けるのかも
そんな不思議が 繋がる糸から
瞬きの間に 溢れて きらめくということ
永遠に 消えない星が
生きるということなのかもしれないということ
檻だと思っていたものが 広い草原で
檻の向こうの憧れは 怖い怖い湖だったこと
死に触れることが
生きるきっかけになること
きょうの涙が 恵みの雨になること
さいごの不思議は
いつ訪れるのだろう
消える灯火は
穏やかであるといい
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さようなら 世界
さようなら わたし
さようなら 今日から もう
此処には 来ることはしない
ずっと前から そうだったのかもしれない
とうに薄緋色の心は 此処ではなくて
湖の向こう側の 空の中で呼吸していた
ずっと前から そうだったのかもしれない
さようなら 世界
さようなら わたし
さようなら もう
誰も泣かなくて いいように
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星の影になったときは
いつもひとりで
瞼をおろしているけれど
今は少しちがって
ぽつり、ぽつりと控えめな唇から
聞き漏らしてしまいそうなほど
微かな声が 零れ落ちる
その行方を 瞳で追いかけながら
指先だけ 触れていた
この夜には ふたりきりみたいなのに
もっともっと大勢の人が それぞれの場所にいて
青い星は それらを乗せて
不安定に ぽっかり浮かんでいる
ぽつり、ぽつりと零れた声は
とても小さいけれど 流星群が 渡るあの場所まで
もしかしたら 辿り着いて
遠い街に 降り注ぐ光かもしれない
指先から 伝える
魔法じゃない 魔法で
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生まれたときの景色を
初めて見る色を
やわらかいぬくもりを
鮮やかなわたしの世界を
もし思い出せたなら
もう一度 生きる気持ちに
なれるのかな?
生まれたときの心
心はおなじで 大きく違って
ちいさなちいさな手を
伸ばした先のみらいは
今は もう光らないの?
生まれたときのこと
思い出せたなら
きっと涙あふれて
すべて洗われていく
そんな気がするの
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宝物は 失くしたくない
ふえていくもの 怖くなるほど
けれど
宝箱の 大きさは
決まっていて 変わらないから
だきしめられるのは
いつもほんのすこし
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枕元に散らばった 夢の破片を
ひろいあつめながら 今日も 君は扉開く
それはとても重たい扉 日によって重さは違う
めくるめく日常のリズム
楽しいと 楽しくない
やりたいと やりたくない
その比率はなかなか変わってくれない
君の指先が ステッキで 本当は魔法使い
なのに 閉じ込められて 光れない
閉じ込めて 鍵かけたのは
やっぱり君の指先なんだろう
めぐりめぐる日常の呼吸
触れたいと 触れたくない
生きたいと 生きたくない
その比率は自分でもよくわからない
集まった蝶は 君の光に 導かれて
驚く君は なによりも正しくて
誰よりも君にとって 醜く 尊い
君の指先は 描いてる
いつも 今までも これからも
君の指先が 描く世界
朝と 夜の 比率は変わらない
君の指先だけで それらを塗り替えて 続く
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なぜ 透明なんだろう
錆と泥だらけで 詰まっていたもの
汚いマーブル ぐちゃぐちゃなもの
溶け出して 頬をすべるものは
なぜ 綺麗なんだろう
朱い こころの真ん中の
柔らかな 傷に 風が沁みる
背中を向けた 鉛色の自分が
真正面から 見つめてくる
なぜ 透明なんだろう
わたしはいっそ それになりたい
複雑なあやとりも 忙しないステップも
そのひと粒に なれるなら
流れ出したなら 綺麗になれるなら
あぁ