詩人:トケルネコ | [投票][編集] |
吹き続けてることって大事だよ
明け方に飲むコーヒーの味
お揃いのワンピース着た少女に 丸い風船を渡された午後
とんぼがフワリと留まるように
シアワセ逃さないために 人さし指伸ばそう
子供の疑うこともない声に
シアワセ届けるように 人さし指伸ばそう
まだ胸が震えるなら 吹き続けてるまま
風の丸味 舌先に転がして
明け方に知る 孤独の苦い味なんて流そう
みんな王様に似て ゴーマンなんて冠
重そうに着飾って ポトリ宝石零すだけなら
よろこんで席を譲ろう
ニンプさんに手をかざし お婆ちゃんをエスコート
きっと小さな坊やに飴だってもらえるから
ホタルがフワリと浮くように
ヌクモリ離さないために 人さし指伸ばそう
街角のピエロにだって負けないよう
超ゴキゲンにスキップして さぁ、人さし指でココロ描こう
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揺れうごく雲間に 想い挟まして
傷しみるレコードは 永遠に詠唱す
『センソウハンタイ!』
肌のない足はきっとマネキンで
指のない手じゃ裏ピースすらできゃしない
三分待ったらすべてを答え
四分過ぎたらすべてを忘れる
コマーシャルの神様は地球規模で殖えてゆく
セケンは朝も夜もない掃除機 飲み込んだものはゴミに変える
その空の風景はカラスの翼
その雲の面影は巨大なハトの糞
『ゲンバクハンタイ!』
誰かが足を踏み入れて
舌を無くして記者会見
首を捻れば空の藍
藍の下には象しかいない
声すら吸い込むカタチのない鼻
その島の建前は自由であること
その島の本質は二枚舌であること
『ヤスクニハンタイ!』
ピッカピカなホコリもないレコードは
過ちは繰り返しませんと繰り返す
『ニッッッポンハンタイ!!!』
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何を独りで喚いている?と、明太子に呟く
誰も彼もパラダイスに生まれる訳じゃない
好きなものも嫌いなものも
腐った豆もハラワタすら、きっと立派なオカズになれる
茶をすする
朝はまだ早く、手元には新聞はない
誰が言ったか、世界は○○に満ちている
たくわんを噛む
それを言うなら、世界は何かが満ちるほど狭くはない
ただそれは日々のコラムほど狭く堅苦しい事実だ
無人の駅にも列車は止まり、年に数回子供が轢かれる
味噌を飲み乾す
これが世界だ。空っぽの椀に残った豆腐の欠片すらオカズになる
満ちているものはなんだ?
満たされていたものはなんだ?
朝はやってくるのに溢れるのは雨ばかり
世界を日々荒々しく整形するものは・・・?
茶をすする
手元にはまだ、新聞はない
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言いたいことはいつだって胸の中
言いかけたことは何度だって頬の中
言い包められたって 恥ずかしいわけじゃなく
ただ届かないこの声が くやしくて
言いたいことはいつだって胸の中
伝えかけた愛は今もって夢の中
ムッツリと蓋をして メール越しに叫ぶ言葉は
どこまでもどこまでも 中性的
言いたい事は云えない事で
云わない言葉がイタいイタいとお腹に谺し
また下痢をして登校拒否
言いたい毒すら吐き出せない世の中って、歌うけど
ホントは癒えない孤独から吐き出されたいって、泣いてごらん
もう一度、もう一日と確かめるように息を吸い
もう何度、屁理屈だけ吐いたのか
僕らは愛だって正義だって望みどおり咲かせれるのに
沈黙の日照りに乾かしたまま またヒキコモリ
言いたいことを云えないままに
伝えたいことすら忘れがちで
プッツリと途切れた 回線越しに積もる想いは
いつまでもいつまでも……
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ねぇ、君の瞳は春の雪解けのように 柔らかな光に縁取られた宝石
僕は打ち砕かれたコンクリート片のような まるで別世界の雨にうたれる石像
一体 この蝕まれた空 この軋む雲に果てに
どんな景色を描けるだろう?
バカな話さと遠くを見つめるだけの日々で
アキレルほど追憶だけが右へ左へと吹き流れる
天然石を売る店の 小さな欠片を見つめてた君
ラピスラズリに囲まれた その姿がただ優しくて……
独りきりの魂が 誰もが繋がりたいと想う時
不思議なカラクリが響きだし 貴石の扉がゆっくりと開くらしい
失われた波間に浮かぶトパーズの舟
白夜の少年は歩みを止める
手にした流砂に呑まれないよう瞼を上げて
ガーネットの唇と 瞳の奥のラブラドライト その煌めきに導かれ
少年は空を染める 虹を射止める流星となる
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マダラ雲 絲を引く 月が曚い 花に舞う
ホンネは輪廻 くたびれたホースの先の 黴た水仙
頭清く 骨軽く 耳は皎く 風は恐懼に
産まれる私 死にゆく私 私は私は渡し船の私
憎しみ 光 蒼い密林 どこまでも飽きず熱帯夜
おそらく 死ぬまで おそろしい 朝まで 鼓膜は震える
手を此処へ 指を広げ 真夜中の此処へ ありがとう
胸カラカラと 轢き殺す 龍シタタカに 包み込む
お金も自信もネオンも星も従えて
期待も秘密も美醜も夢も支配して
それでもそれでも
私は私は私の私の分からない私
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サダムフセインが何をやったか知らないが
縊り殺すことはあるまいと姉は泣いた
その白い腕にはいつしか無数の蛇が蠢き
薄い胸の裏には小さな蝶が羽を広げていた
ボロボロの人形を抱えては窓辺の椅子がお気に入りで
彼女はいつもそこでTVに卵を産みつけていた
黒か白か見分けのつかない
多分まだらな卵を
誰かが死ぬと嬉しそうに首を傾げ
山河が崩れ氾濫すれば頬を膨らませ
彼女は真剣に喘いでいた
秘密を知ったアリスのように
無邪気をみな代償にするのょ
だれもフトしたことで消えるのょと
笑いながら
それはおかしなふりをした道化で
天性の毒婦の声で騙る女優で
誰からも疎まれる役回りを愛おしむように
聞きたいことを聴き
喋りたい夢だけ描き
見失ったページばかり繰っていた
無表情とは無縁な手つきで
爪ばかり輝かせ
あの人たちはどこへ行くのと月に問い
祭りの帰りねと自ら答え
あたしも行きたかったのにと勝手に惑い
どうでもいいわと一人頷く
母が新調した浴衣には触ることもなく……
あの冬、砂漠の独裁者は砂に埋もれ
姉はアラビアの窓から覗く祭を観ていた
赤や黄色や土と硝煙の 多分偽物の花火を
どうでもいい、どうでもいいわと
細い脚を撫でながら
首を傾げ
ただ人形のような乾いた唇で
人形のように冷めてしまうまで
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聞こえるか?
悲しい世界にあの人はさらわれた
ならば開く花踏み潰せ
聞こえるか?
虚しい旗探して彷徨うばかりなら
その白けたブロックを突き崩せ
俺たちの望むもの
俺たちが汚す世界
金、ゴールド
そうさそいつを得るために
壁殴り蔓伝い 果ては下水までの大冒険
聞こえるか?
すべての疑問符が崩れる音が・・・
星が墜ちる
俺たちは輝く陽
焼き尽くすヒュドラ
土管の奥で育てた茸
それは夢膨らます甘い吐息
破裂するまで頭を揺らせ!!
聞こえるか? 聞こえないか?
亀に犯される女たちの喘ぎと懺悔……
愛、情欲
そうさそいつを満たすために
俺たちは果てしない坂道を転がりゆくんだ
聞こえるか?
利いた風な悲劇に涙する鼓膜を
アイスピックで突き裂く祈りと喚声
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ずっと飼っていた安物インコ
クチバシの青いインコ
虎の目をしたインコ
砂色のインコ
喋りだす
突然
「ナマステ」
「トマラナイヨ」
「ソーセージクレ」
「カギッコトヨンデヤ」
「ピルノンデフトリマシタ」
「オレセカイキライ」
「ドードーメグリ」
「トマラナイヨ」
「チャオ」
俄然
喋りだす
コタツの猫
庭駆け回る犬
食卓の上の焼き魚
雑誌の写真の人気芸人まで
「ニヤニヤスンニャ」
「オンリ〜ワン♪」
「ニテモヨシ」
「トゥス!」
騒然
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男は檻の中に立っている
檻の外のゴリラが糞を投げる
男は檻の中で無表情に立っている
檻の外のゴリラが糞を投げる
男は檻の中で糞まみれになる
檻の外のゴリラはバナナを食ってる
男は糞を投げ返す
ゴリラは糞をキャッチする
ゴリラはバナナを投げ返す
男はバナナをキャッチする
互いニヤリと笑い 背を向けた