詩人:タンバリン | [投票][得票][編集] |
幸せ過ぎて、飛行機雲が隕石に見えた時。
僕は見とれて、ジュースを地面にこぼしたんだ。
パプリカ半島、目を閉じてそこへ行く。
すぐに着くんだ。疲れているから。
白い風が吹いて、
頬をかすめたら、
何もかもが変わる。
こげ茶色の灯台には、
水色のカモメたちが。
でも、何だろう。赤と緑のカタマリが空をたくさん覆ってる。
僕は立ち止まって、胸に右手をあて、
飛んで来た一粒に手をかざしてみたんだ。
大きさが変るだけで、また空に戻っていく。
灯台に続く道から、
くたびれた背広を着たおじいさん
僕の方に歩いてきた。
「5年ぶりじゃのう、まいったわい。」
「――の大発生じゃよ、この歳になれば感覚で分かる。」
「若者が生み、若者が消す。あんたさっき触れていたんだろう。それも分かる。」
「こういうヤツはなぁ、世界で片付けねばならん。わしもまぁ、よく闘った。」
「世界ったって、そんなこと、きっと誰も彼も。」
「どこまでが世界か?あんたの中が、世界じゃ。あんたの心が、いつも大切な所を占めておる。」
「あんたは精神世界で、何かをこぼしたんじゃろう」
「しかも、一人ぼっちだと思っとる。」
「若者よ、そいつと同じものを、どこかで誰かが抱えておる。」
「一つ一つと苦しみながら、お前との出会いを待っておる。」
聞いておくれ。
―簡単な魔法がある。
―いいかい、そいつは。
「あの時」の気持ちでいる事だよ。
「忘れた」って、
何にも偉くないだろう。