詩人:黒夢 | [投票][編集] |
一つのメモリを小さな液晶画面に表示して。
「YES」と「NO」の間で僕の指は止まる。
人間は酷く臆病だ。
たった一つの結論を
いつまでたっても導くことが出来ない。
世の中は便利になったものだ。
ボタン操作一つで、全てとの繋がりを断つことが出来る。
それは君とだって同じ。
こんなものが残ってるから、いつまでも忘れられない。
ああ、始めからこうしていればよかった。
水の中に沈んでいく鉄の塊が、酷く虚しい。
これでもう、迷う必要もない。
「YES」と「NO」の選択で、悩むことはない。
悲しくなんかない。後悔なんかしていない。
目頭が熱くなって。
伝う涙は、目にゴミが入ったことにしておこう。
痛むのは
この胸の奥。
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道行く人々に人生を問うたところで
誰も、答えをくれないと知った昨日。
矛盾を感じる大人の言い分。
僕等はとても曖昧な位置に居て
都合のいいように
大人と子供に変化する。
けれど本当は
そんなことを簡単に受け入れられるほど
僕等は大人じゃない。
いらぬ正義を掲げたところで
誰も、そんなものを必要としていないと知った今日。
正直な生き方を選んでいく人間の切なさ。
僕等は周りに流されて
いつの間にか
自分という型を変形させていく。
しかし僕等は
それを流されているのではなく、合わせていると言う事で
ギリギリに己を保っている。
知っていくというのは
とても残酷なことかもしれない。
いつの間にか見えなかった周りが見えてきて
その変化についていけずに
僕等はうろたえる。
目に見える現実は
目を背けたくなるようなものばかりで
僕等に絶望を与える。
きっと知れば知るほど
僕等は知りたくなかったと口にするだろう。
偽物の世界に誤魔化され続けることを望んだだろう。
例えそれが僕等の身を滅ぼすと知っていても。
僕等は現実を知っていく中で
耳を塞ぐ術を知らない。
ただ、流れ込んでくる現実を
真っ向から受け入れるしかない。
誰か、僕等が目を背けなくても済む様な
マシな現実を教えてくれ。
こんな腐った世の中を
壊す術を教えてくれ。
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僕が笑って君を元気付けるのも
似合わないキザな台詞を言うのも
君に笑って欲しいから。
僕が誰かを傷つけるのも
君の涙の訳を背負うのも
君に笑っていて欲しいから。
全部、僕がやりたいからやってるだけで
君が責任を感じる必要なんてない。
僕のほんの少しの勇気と行動が
君のためになるのなら
僕はただ、それでいい。
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僕等が笑った場所。
僕等が授業を受けた場所。
きっといつの日も、僕等はこの場所で笑っていた。
白い壁にもたれて、いろんな話をした。
古びたロッカーの上に座って、先生に怒られた。
きっとそれが、僕等の日常だった。
1日の半分をこの場所で過ごして
そしていつもこの場所が笑顔の中心。
いろんなことで一喜一憂してくれる友の存在。
それを包み込む、この場所の温かさ。
心地よい、僕等の教室。
ああ、もうこの場所には戻れない。
寂しいね。
もっとここに居たかった。
特別なものなんてなかったけど
この場所自体が、僕等にとって特別。
息苦しく感じた時もあった。
こんな所に居たくないと思ったこともあった。
それでも、僕等の居場所はこの場所に在った。
きっと来年も、その先もずっと
この場所は変わらない。
沢山の、この場所から巣立っていく人々の『思い』を残し
この場所は在り続ける。
お礼を言って、歩き出そう。
いつも僕等を見守ってたこの場所に、挨拶をしていこう。
『ありがとう。
頑張ってやっていくから、応援しててよ。』
ありがとう。
僕等の教室。
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一つだけ、初めて君に嘘をつく。
君の為にと言いながら
僕の為につく、残酷な嘘。
僕の心を守る為に、君の心を傷つける。
それでも君は優しいから、きっと
笑って僕を赦すだろう。
今はもう見慣れたはずのその笑顔が
痛々しくて見ていられない。
僕の為に、君の為にも
僕が君から離れよう。
本当は君が、誰よりも愛しい。
でも
これ以上一緒にいても、互いの傷を深くするだけだから。
大切だから、離れる。
好きだから、別れる。
矛盾してるけど
君の笑顔が痛いから。
君の幸せを思う故に。
「好きじゃなくなった」
−本当ハマダ、好キダヨ−
「さよなら」
−ゴメンネ、ドウカ泣カナイデ−
君の為に、最初で最後の
僕の為に一つだけ
本音を隠す為の、嘘をついた。
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私はあの日、貴方に恋をしました。
貴方の存在全てに惹かれた。
理由なんてもの、全て後からだったんです。
楽しそうに笑うところ。
優しい言葉をかけてくれるところ。
苦しい時、元気付けてくれるところ。
数え上げればキリがない程、貴方は素敵だった。
全てを目にするたびに
好きだということを感じました。
それから月日は過ぎて
見ているだけだった私が貴方の隣に立てた時
最高に幸せでした。
毎日が充実していて
とても楽しかった。
それ以上望むものなど、何一つなかった。
もうあの日のように笑い合えないことくらい
鈍い私でも分かります。
貴方の一番近くにいたから
貴方の変化に誰よりも早く気がついた。
このままじゃ駄目になると言って
貴方は私を突き放した。
私はそんなものどうでもよかったのに。
私はまだ、貴方が好きです。
しつこいと言われようが
どんな風に思われても構いません。
この想いは変わらないから。
私の心はまだ
出逢った時のまま
あの日のままに、貴方に恋しています。
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本当のものなんて何一つ見つけられなかった。
嘘とエゴに包まれたまま
誰もに忘れ去られた真実。
確かなものなんて何一つ僕の前にはなかった。
真実を覆い隠す為の
何重にも重ねられた薄いオブラード。
ただ
その中で僕を抱きしめる君の温度だけが確かなもの。
僕の隣に居る君だけが
僕と世界を繋ぐ本当のもの。
お願いだから
この温もりを僕から奪わないで。
君以外の真実なんて
もう僕には必要ないから。
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『生』のある者への証。『生』を選んだ僕等の誇り。
僕等の居た風景。僕等が在る光景。
まるで風に押されるように生きてきて
それでも簡単に振り返ることが出来るほどの
短い道だけれど。
生きている証。生き続ける誇り。
存在意義を唱えられても、此処に在る意味を問われても
格好良い答えなんて分からない。
ただ、ガムシャラに生きているだけだから。
歩んできた道。歩み続ける先。
僕等に振り返るべき優しい過去はない。
見えない道を探しながら、未来を照らす灯を探している。
今は、整えられた道を歩いているだけ。
望む明日。数時間先の未来。
日付が変わって一日が終わる。
そしてまた、今日が始まり今日を終える。
変わらないけど変わっていく、日常というサイクル。
ただ今日を生きる。
僕等が確かに此処に居た証として。
生きるという長い旅路を。
僕等が歩む軌跡を。
生きることで此処に刻む。
それが『生』ある僕等の希望。
『生』を選んだ僕等の、たった一つの誇り。
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きっとそれは誰かの為で
決して僕の為に用意された場所ではないけれど。
きっとそれは誰かの為で
決して僕のものにはならないけれど。
きっとそれは誰かの為で
決して僕の為にかけられた言葉ではないけれど。
それを知っていて
それでも求めてしまうのはきっと
僕が弱いことを意味する。
強くなりたい。
欲に負けないくらいに。
強くありたい。
いつも笑えるように。
強くなりたい。
何も求めずに済むように。
強くありたい。
現実に負けないように。
強く、強く。
何にも負けないくらいに。